日立化成、高密度配線板対応の新規銅表面処理技術を開発
高密度配線板対応の新規銅表面処理技術を開発
日立化成工業株式会社(本社:東京、執行役社長:長瀬寧次、資本金154億円)は、次世代の電子機器に使用される高密度な配線基板向けに、従来処理と比較して銅配線の表面粗さ(Rz)を十分の一以下(20~40ナノメートルレベル)の微細凹凸を均一に形成することで、配線を多層化する際に必要な絶縁層との接着力を確保できる銅表面処理技術を開発しました。
近年、電子機器では大量の情報を伝送、蓄積するための高密度実装技術が一層重要となっており、次世代の半導体パッケージとして、複数のチップを高密度な配線基板上に実装するシステムインパッケージ(SiP)が提案されています。SiPでは、高速信号の伝送に対応するために伝送損失の低減が重要となり、配線基板の絶縁層には誘電率・誘電損失の低い樹脂が使用されます。従来は、銅配線と絶縁層の接着性を確保するため、配線表面にマイクロメートルレベルの凹凸を設ける銅表面処理が用いられてきましたが、SiPに使用される微細な配線基板においては、表皮抵抗を低減し、配線精度を維持するために、絶縁層と配線との密着性確保と配線表面の平滑化の両立が課題となっていました。
今般当社が開発に成功した銅配線表面処理技術は、長年当社が培ってきた銅の酸化・還元処理の技術を生かし、従来の処理工程に貴金属処理を加えて改良を重ねたもので、表面粗さ数十ナノメートルレベルの微細凹凸を均一に形成することにより、銅配線表面の凹凸を低減し、絶縁層と配線との接着力を従来レベルに確保することを可能にしました。また、従来の技術では、表面処理に伴う銅の溶解が大きく、配線の微細化が進むにつれ、配線精度を保つことが困難になりますが、本技術では銅の溶解が微少であるため、配線ピッチ10マイクロメートルレベルの微細配線においても適用可能であり、今後必要不可欠な技術になることが予想されます。さらに本技術では、酸化・還元処理が従来に比べて低温、短時間で可能となり、配線基板製造時の時間短縮と環境負荷の低減に大きく貢献するものと期待されます。
当社では、現在本技術のサンプルワークを行っており、今後は、市場、顧客のニーズに対応しながら早期製品化に注力してまいります。なお、本研究は、新エネルギー・産業技術総合開発機構基盤技術研究促進事業(民間基盤技術研究支援制度)からの委託研究によって実施されたものです。
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