帝人グループ、「環境経営宣言」を発表
環境経営宣言
《2020年 CO2排出量20%削減に向けて》
帝人グループは、持続的な企業価値増大を目指し、「事業戦略」「コーポレート・ガバナンス(企業統治)」「CSR(企業の社会的責任)」を三位一体で実践することを経営の基本としており、また、帝人グループの約束として、「自然と生命を大切にする」という趣旨のブランドステートメント“Human Chemistry,Human Solutions”を定めています。
こうした中、帝人グループは、この約束を大切にしながら、地球環境への対応をさらに一歩進め、先進的な“環境経営”を経営活動の柱として、新たな取り組みをスタートさせることを宣言します。
今後は、「環境保全」「環境配慮設計」「環境ビジネス」という三つの視点から“環境経営”を推進していきますが、中でも大きな課題であるCO2の排出量については、現在、国内において2010年までに1990年対比で10%以上削減させるという目標に向けて取り組んでおり、現時点において、その目標は達成可能な状況にあります。こうした取り組みをさらに前進させるため、帝人グループとして、2020年までに1990年対比20%以上削減するとの新たな目標を設定し、“環境経営”の重要課題としてその実現に努めていきます。
一方、会社組織としての取り組みのみならず、帝人グループの社員一人一人にまで“環境経営”の浸透を図り、共に同じ方向に向かって推進していくため、社員参加型の環境活動を展開することとしました。これまで、各事業所で取り組んでいるゼロエミッション活動、ライフスタイルの自己評価や環境家計簿活動を行う「エコマラソン」などの取り組みを通じて、社員一人一人の参画を促進してきましたが、このたびの“環境宣言”に合わせ、新たな取り組みとして、全社員参加によるレジ袋削減運動「みどリング大作戦!」を展開していくこととしました。
詳細は以下のとおりです。
記
1.これまでの帝人グループの取り組み
(1)帝人グループは1992年に「地球環境憲章」を制定し、以来、環境を重視した経営を行ってきました。「地球環境との共生を図り、自然と生命を大切にします」という企業理念のもと、具体的な目標を掲げて環境問題に取り組んできており、エネルギー効率の向上、化学物質・廃棄物の排出削減などにおいて成果を上げています。
(2)また、世界に先駆けて開発したケミカルリサイクル技術を活用し、使用済みPETボトルを新たなPETボトルに、使用済み繊維製品を新たな繊維製品に再生する完全循環型リサイクルを展開しています。帝人グループは、こうしたポリエステル製品のリサイクルで高い評価を得ており、独自に構築した完全循環型リサイクルシステム「エコサークル」は「グッドデザイン賞」を受賞しています。
(3)最近では、地球環境問題に対する社会の関心が高まる中で、持続可能な社会を守っていくための努力がグローバルな課題となりつつあります。特に地球温暖化問題は、海水面の上昇や生態系の変化など、社会的・経済的に大きな影響を与えることが懸念されることから、国連など多くの国際機関で活発な議論が繰り広げられています。こうした中、帝人グループとしても、地球環境問題にグループを挙げて積極的に取り組んでいきます。
2.帝人グループ“環境経営”の3つの柱
帝人グループの環境経営は次の3つの柱で構成されます。
1つは「環境保全」です。日常の事業プロセスにおいて環境負荷を低減させる活動全般を指し、CO2排出削減などもこの分野の活動に含まれます。
2つめは「環境配慮設計」(*)で、環境負荷の低減を製品・プロセス設計に反映させる活動を意味します。帝人グループは、他に先駆けて完全循環型リサイクルシステム「エコサークル」などに取り組み、この方面で顕著な実績を上げていますが、近く環境配慮設計に関するガイドラインを制定することとしており、さらなる推進を図っていきます。
3つめは「環境ビジネス」です。中長期の事業戦略の中で明らかにしているように、「環境・エネルギー分野」は将来の高い成長が見込まれる注力市場分野の1つであり、当社の強みを活かした特徴のある新事業を生み出していきます。
帝人グループの“環境経営”は、長期的な視野に立って、以上のような3つの分野にわたる活動を総合的、かつ継続的に推進していくことを特徴としています。また、必要な資源を積極的に投入し、さらには社員一人一人が地球環境への理解を深め、それが環境に対する配慮と行動につながっていくことを願い、グループ社員への「環境教育」や地域社会の皆さんとの「環境コミュニケーション」により一層注力していきます。
なお、具体的な実行計画の詳細については、今後、グループ組織横断的な議論を経て、年内に確定する予定です。
*環境配慮設計
原料、生産、使用、廃棄という製品のライフサイクル全体を通して、環境に与える影響を設計の中に採り入れ、環境負荷を低減させることです。たとえば「エコサークル」により再生される「エコペット」製品群、工程で有機溶剤を使用しない人工皮革「ロエルII」、染色を不要とした「モルフォテックス」や、N700系新幹線のガラスより軽いポリカーボネート樹脂製窓などが、環境配慮設計をした製品に該当します。
3.全員参加型環境活動「みどリング大作戦!」の実施
帝人グループでは、これまで社員参加型の環境活動として、各事業所で取り組んでいるゼロエミッション活動や、ライフスタイルの自己評価、環境家計簿活動などを行う「エコマラソン」などを展開してきており、一定の成果を上げていますが、このたび帝人グループとしての経営の姿勢および施策を示す“環境宣言”に伴い、一人一人の社員を巻き込む全員参加型のレジ袋削減運動「みどリング大作戦!」を展開します。
(1)この運動は、エコバッグを使用し、ゲーム感覚でレジ袋を削減することを通して、グループ社員一人一人が“環境経営”に参画することを目的としています。「みどリング大作戦!」で使用するエコバッグは、完全循環型リサイクルシステム「エコサークル」によって再生されたポリエステル繊維製であり、使用後不要となったエコバッグは回収されて、「エコサークル」で再びポリエステル製品に生まれ変わります。
(2)「みどリング大作戦!」は次の要領で展開していきます。
■帝人グループ全社員に、「エコサークル」により生まれたエコバッグと、当活動への参加の証である「みどリング」(ポリエステル製ミサンガ)を配布します。
■社員はイントラネットの専用サイトを通じて参加登録するとともに、「みどリング」を身につけることで参加の意思を表現します。
■コンビニやスーパー、書店などでエコバッグを使用することによって削減できたレジ袋の枚数を、社員各人がパソコンや携帯電話から申告します。
■社員は、イントラネットの専用サイトでグループ全社員により削減したレジ袋の枚数を随時確認できます。削減量をガソリンに換算し、自動車で地球1周を目指すというゲーム感覚で地球環境保護への貢献効果を実感します。
■参加対象は、国内の帝人グループ社員約12,000名。参画意識の向上を目的に、「エコ度チェッククイズ」「エコバッグデザインコンテスト」「親子でデザインエコバッグ祭り」などの企画を実施します。
【参考:「エコサークル」について】
帝人ファイバーが世界で初めて開発したポリエステルのケミカルリサイクル技術を核とした完全循環型リサイクルシステム。賛同する国内外のアパレルメーカーやスポーツメーカー80社と共同で、商品の開発、およびその回収・リサイクルを進めています。
回収した製品は、化学的に分子レベルまで分解し、石油から作るものと同じ品質の製品に再生されます。そのため、物理的に処理する従来のリサイクルの課題であった品質の劣化を回避でき、また、何度でも繰り返しリサイクルできるため、新たな石油資源の使用を抑え、廃棄物を削減することができます。石油からポリエステル原料を作る場合に比べると、エネルギー消費量、二酸化炭素排出量ともに約80%削減することができます。
以 上