ルネサステクノロジ、３２ビットフラッシュメモリー内蔵マイコンを３０品種製品化
小型、高性能１６ビットフラッシュメモリ内蔵マイコン「Ｒ８Ｃ／Ｔｉｎｙシリーズ」で、
電源やモータ制御等向けに特化した７グループ、合計３０品種を製品化
－ 市場ニーズの高い特定分野向けの製品を追加した豊富なラインアップにより、
システム構成に応じて、より最適な適合製品の選択が可能なソリューションを提供 －
株式会社ルネサステクノロジ（本社：東京都千代田区、会長＆ＣＥＯ 伊藤達）は、このたび、フラッシュメモリを内蔵した小型、高性能の１６ビットマイコン「Ｒ８Ｃ／Ｔｉｎｙシリーズ」のラインアップとして、電源制御やモータ制御等に向けた３２ピンパッケージ版の「Ｒ８Ｃ／２Ｅ」「Ｒ８Ｃ／２Ｆ」「Ｒ８Ｃ／２Ｇ」「Ｒ８Ｃ／２Ｋ」「Ｒ８Ｃ／２Ｌ」、ならびに２０ピンパッケージ版の「Ｒ８Ｃ／２Ｈ」「Ｒ８Ｃ／２Ｊ」、合計７グループで３０品種を製品化しました。２００７年８月２８日から順次サンプル出荷を開始します。
「Ｒ８Ｃ／Ｔｉｎｙシリーズ」は、全品種がフラッシュメモリを内蔵し、高性能でありながら手軽に使用できるマイコンです。今回の３０品種の追加により「Ｒ８Ｃ／Ｔｉｎｙシリーズ」は合計２６８品種となり、従来の広範囲な汎用用途向け製品に加え、電源制御やモータ制御等の特定分野において、ユーザニーズにさらにきめ細かに対応する製品を提供します。
本７グループの特長は以下のとおりです。
（１）３２ピン版では初のＤ／Ａ変換器とコンパレータを搭載（Ｒ８Ｃ／２Ｅ、Ｒ８Ｃ／２Ｆ）
「Ｒ８Ｃ／２Ｅ」「Ｒ８Ｃ／２Ｆ」の２グループは、１２チャネルのＡ／Ｄ変換器（１０ビット）に加え、「Ｒ８Ｃ／Ｔｉｎｙシリーズ」の３２ピン版では初めて、Ｄ／Ａ変換器（８ビット×２チャネル）およびコンパレータ（２チャネル）を搭載しました。アナログ系周辺機能の充実により、少ピン、小型である３２ピン版のアナログ信号処理の適用範囲が拡がり、バラスト（電子安定器）制御等の電源制御分野に最適です。
（２）機能をスリムダウンしたラインアップにより応用分野を拡大（Ｒ８Ｃ／２Ｇ、Ｒ８Ｃ／２Ｈ、Ｒ８Ｃ／２Ｊ）
「Ｒ８Ｃ／２Ｇ」「Ｒ８Ｃ／２Ｈ」「Ｒ８Ｃ／２Ｊ」の３グループは、既存の「Ｒ８Ｃ／Ｔｉｎｙシリーズ」の製品から周辺機能をスリムダウンしたラインアップです。これにより、ユーザは機器設計において、マイコンの搭載機能が無駄にならない製品の選択肢が拡大します。また、コンパレータモードを搭載した電圧検出回路を内蔵しており、電源電圧の監視や外部入力電圧の比較結果をデジタルで出力可能です。
（３）３２ピン版に、モータ制御に適したタイマ機能を搭載（Ｒ８Ｃ／２Ｋ、Ｒ８Ｃ／２Ｌ）
「Ｒ８Ｃ／２Ｋ」「Ｒ８Ｃ／２Ｌ」の２グループは、３２ピン版にモータ制御に適したタイマ機能を搭載した製品で、インプットキャプチャ／アウトプットコンペア機能のある１６ビットタイマを３チャネル搭載しています。これにより、本マイコン１つで３相ＰＷＭ（Ｐｕｌｓｅ Ｗｉｄｔｈ Ｍｏｄｕｌａｔｉｏｎ）出力と３相パルス入力の両制御を実現できるため、ブラシレスＤＣモータ等の制御が可能です。
＜製品化の背景＞
近年、少ピン、小型パッケージマイコンは、家電機器や産業機器などの小規模システムではメインマイコンとして、高機能ＯＡ 機器などの大規模システムではサブマイコンとして、様々な分野において使用されており、そのニーズはますます高くなっています。当社は、この市場ニーズに応えるため、広範囲の汎用用途向けに、少ピン、小型の１６ビットフラッシュメモリ内蔵マイコン「Ｒ８Ｃ／Ｔｉｎｙシリーズ」を開発し、これまで、合計２６グループで２３８品種を製品化してきました。そして、使い勝手の良いマイコンとして、様々な分野、用途に使用され、好評を得ています。一方、機器の高性能化、多機能化がますます進む中、特定用途向けに適した機能を搭載する少ピン、小型の製品も強いニーズがあります。
今回、このようなニーズに対応するため、「Ｒ８Ｃ／Ｔｉｎｙシリーズ」において、従来品に対し、特定の機能を強化、または機能をスリムダウンした３２ピンパッケージ版と２０ピンパッケージ版の合計７グループ、３０品種を製品化しました。これにより、「Ｒ８Ｃ／Ｔｉｎｙシリーズ」は合計２６８品種となり、ラインアップが充実したことで、ユーザは機器開発をする際に、機器の構成、機能に応じたさらなる最適な製品を選択可能になります。
＜製品の補足＞
今回製品化した７グループは、１６ビットのＣＰＵコア「Ｒ８Ｃ ＣＰＵ」を搭載し、主な違いは以下のとおりです。
（１）Ｒ８Ｃ／２Ｅ：３２ピン、データフラッシュ（注）なし、Ｄ／Ａ変換器、コンパレータ搭載
（２）Ｒ８Ｃ／２Ｆ：３２ピン、データフラッシュ有り、Ｄ／Ａ変換器、コンパレータ搭載
（３）Ｒ８Ｃ／２Ｇ：３２ピン、データフラッシュなし、コンパレータ（電圧検出回路と兼用）搭載
（４）Ｒ８Ｃ／２Ｈ：２０ピン、データフラッシュなし、コンパレータ（電圧検出回路と兼用）搭載
（５）Ｒ８Ｃ／２Ｊ：２０ピン（有効ピンは１６ピン、４ピンは空きピン）、データフラッシュなし、コンパレータ（電圧検出回路と兼用）搭載
（６）Ｒ８Ｃ／２Ｋ：３２ピン、データフラッシュなし、１６ビットタイマを３チャネル搭載
（７）Ｒ８Ｃ／２Ｌ：３２ピン、データフラッシュ有り、１６ビットタイマを３チャネル搭載
「Ｒ８Ｃ／２Ｅ」「Ｒ８Ｃ／２Ｆ」の２グループは、電源電圧が３．０Ｖから５．５Ｖで、最大周波数２０ＭＨｚで動作します。「Ｒ８Ｃ／Ｔｉｎｙシリーズ」の３２ピン版では初めてＤ／Ａ変換器を搭載しており、きめ細かいアナログ信号の出力が可能です。ＰＷＭ出力に比べてなめらかなアナログ出力が可能なため、高音質の音声やメロディー、ブザー等を実現可能です。また、Ｄ／Ａ変換器に加え、コンパレータを搭載したことで、ゼロクロス電流検知やノイズ除去（整流）といった応用分野に適用することが可能です。Ａ／Ｄ変換器と併せて使うことで、Ａ／Ｄ変換結果とＤ／Ａ変換結果をフィードバックさせながら高精度の制御が可能となります。
「Ｒ８Ｃ／２Ｇ」「Ｒ８Ｃ／２Ｈ」「Ｒ８Ｃ／２Ｊ」の３グループは、電源電圧が２．７Ｖから５．５Ｖで、最大周波数８ＭＨｚで動作し、当社従来品から機能を絞り込んでいます。しかし電圧検出回路はコンパレータモードを搭載しており、外部電圧の入力及び比較結果を出力することができるため、制御する処理内容の対象を拡大できます。
「Ｒ８Ｃ／２Ｋ」「Ｒ８Ｃ／２Ｌ」の２グループは、電源電圧が３．０Ｖから５．５Ｖで、最大周波数２０ＭＨｚで動作します。高機能１６ビットタイマは３相ＰＷＭ出力が可能であり、内蔵している４０ＭＨｚの高精度、高速オンチップ・オシレータを使用することで、高速・高分解能な動作が可能です。本タイマにより、機器制御の精度を向上できるため、高精度なモータ制御を実現可能です。
開発環境としては、１ピンでインタフェースが可能なオンチップデバッガ「Ｅ８ａ エミュレータ」を用意しており、既存の「Ｅ８ エミュレータ」も使用可能です。両エミュレータとも１ピンだけで接続できるため、デバッグ時は全てのＩ／Ｏピンを使用でき、効率の良いプログラム開発が可能です。また、本エミュレータは、フラッシュメモリライタとしても使用することができます。
出荷形態としては、フラッシュメモリのブランク品の他、書き込み出荷にも対応します。
今後、「Ｒ８Ｃ／Ｔｉｎｙシリーズ」として、市場ニーズに対応したパッケージや機能、性能を最適化したさらなるラインアップの充実化を図り、ユーザの要求に応える製品を提供していきます。
■注記
（注）データフラッシュ：当社独自のもので、通常はソフトウェア格納用として使用されるフラッシュメモリとは別に、主にデータ格納用として使用するフラッシュメモリ。
＊ 記載の製品名、会社名、ブランドは、それぞれの所有者に帰属します。
■応用機器例
●電源制御機器、モータ制御機器、家電機器、産業機器、バッテリー駆動機器、セキュリティ機器、映像機器、ＯＡ機器等幅広い分野の機器
■価格
※ 関連資料参照
（※補足資料あり）