筑波大学、クラスタ・コンピューティング向け高性能ネットワーク・システムを発表
筑波大学システム情報工学研究科、
クラスタ・コンピューティング向け高性能ネットワーク・システムを発表
フリースケール・セミコンダクタの Power Architecture プロセッサMPC7447Aを用い
た自律支援型高性能ネットワーク・システム「Maestro3」で更なる高速化を実現
筑波大学 システム情報工学研究科 コンピュータサイエンス専攻 和田耕一教授の研究室では、通信処理やアプリケーションの一部など、任意のプログラムを動的に実行委託(オフロード)できるクラスタ・コンピューティング向け高性能ネットワーク「Maestro3」を発表しました。
クラスタ・コンピューティングでは、ノードPC間での情報享受が全体性能を決定する重要な要因になっています。これまでにも高性能通信を目的としたネットワーク・デバイスはいくつか存在しましたが、送信すべきデータを決定してとりまとめる処理や、受信側で受信データをメモリ空間に配置する処理など、通信前後の処理がノードPCの計算資源を消費し、結果として性能向上の妨げとなっていました。
この問題を解決すべく、筑波大学システム情報工学研究科では、ノードPCと協調しつつ並列分散処理を自律的に支援する、クラスタ向け高性能ネットワーク・システム「Maestro3」を開発しました。
Maestro3は、ネットワーク・インタフェースとスイッチで構成され、通信専用ハードウェアによって双方向12.8Gbpsの高速通信リンクを実現します。ネットワーク・インタフェースとスイッチの双方に、フリースケール・セミコンダクタの高性能汎用プロセッサ「MPC7447A」を搭載しており、通信専用ハードウェアは、低レイテンシ・高スループットの独自リンクレイヤ・プロトコルとともにFPGA上に実装されています。
MPC7447Aを通信専用ハードウェアと密に結合させることによって、ノードPCからMaestro3への任意のプログラムモジュールの動的オフロードが可能となりました。動的オフロード機構を用いた高性能メッセージ通信ライブラリによって、これまで通信に関連した処理がボトルネックとされていたアプリケーションも効率よく実行させることができます。
このシステムに搭載されているフリースケール・セミコンダクタのMPC7447Aは、Power Architectureテクノロジに基づく高性能汎用ホスト・プロセッサです。最大1.42GHz動作、4命令同時発行可能なスーパースカラ・コアに、各32KバイトのL1命令キャッシュおよびデータ・キャッシュ、512KバイトのL2キャッシュを内蔵しています。更に、128ビットのベクタ・エンジンAltiVecを搭載し、複数のベンチマークにおいて2倍~12倍の性能向上が実証されています。
フリースケール・セミコンダクタはユニバーシティ・プログラムとして、即戦力になるエンジニアの育成や大学生・大学院生のスキルアップを目的としたインターンシップ・プログラム、共同研究プログラム、教育支援プログラムを実施しています。
MPC7447Aおよび統合開発環境CodeWarriorは、フリースケールのユニバーシティ・プログラムの一環として、筑波大学システム情報工学研究科に提供されました。フリースケールのユニバーシティ・プログラムについてはフリースケールのウェブサイトにて紹介しています。
http://www.freescale.co.jp/uni_program.html
筑波大学システム情報工学研究科は、2007年8月24日に、カナダ ビクトリア州、ビクトリア大学で開催される2007 IEEE Pacific Rim Conference on Communications, Computers and Signal Processingにおいて、Maestro3の発表を行いました。カンファレンスの概要は以下のとおりです。
会期: August 22-24, 2007 (現地時間)
カンファレンス名: 2007 IEEE Pacific Rim Conference on Communications,
Computers and Signal Processing
会場: University of Victoria, Victoria, B.C., Canada
ウェブサイト: http://www.ece.uvic.ca/pacrim/pacrim07/
発表日時: 11:10-11:30, Friday August 24, 2007 (現地時間)
発表タイトル: An architecture and performance of Maestro3 cluster network
発表者: Hajime Kuribayashi, Koji Yasuda, Keiichi Aoki, Koichi Wada, and
Masaaki Ono
筑波大学 システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻について
コンピュータサイエンス専攻は、現代の社会基盤であるコンピュータサイエンスとその利用技術に関する幅広い学問の場を、充実した教授陣とカリキュラムで提供しています。コンピュータサイエンス専攻は、情報分野の基礎となる技術から先端的技術に至るまで、コンピュータサイエンスの幅広い研究分野をカバーしています。専攻の教員はこれまでも、研究において数々のすぐれた世界をリードする研究を行なってきました。専攻の具体的な研究分野には、数理情報工学、知能ソフトウェア、ソフトウェアシステム、計算機工学、メディア工学、知能情報工学などの分野があります。
詳細は、 http://www.cs.tsukuba.ac.jp/english/index.html (英語)、または http://www.cs.tsukuba.ac.jp/index.html (日本語)をご覧ください。
フリースケール・セミコンダクタについて
フリースケール・セミコンダクタ・インクは、自動車用、民生用、産業用、ネットワーキングおよびワイヤレス・マーケット向け組込み用半導体のデザインと製造の世界的リーダーです。フリースケールは、テキサス州オースチンを本拠地に、世界30カ国以上の国で、半導体のデザイン、研究開発、製造ならびに営業活動を行っています。フリースケールは世界的な大手半導体メーカーです。2006年度の売上高は64億ドル(USD)でした。
詳細は、 http://www.freescale.com (英語)、または http://www.freescale.co.jp/ (日本語)をご覧ください。
FreescaleならびにFreescaleのロゴマークは、フリースケール社の商標です。Power Architecture、Power.org ならびにPower、Power.orgのロゴマーク、関連するマークはPower.orgの商標であり、ライセンスのもとに使用されています。文中に記載されている他社の製品名、サービス名等はそれぞれ各社の商標です。