フジタ、「表面温度低減型」のフォトロード工法を外構道路に採用
排気ガス浄化とヒートアイランド現象の緩和機能を併せ持つ舗装
「表面温度低減型」のフォトロード工法、外構道路に初適用
株式会社フジタ(本社:東京都渋谷区、社長:網本勝彌)およびフジタ道路株式会社(本社:東京都中央区、社長:淵上雅彦)は、自動車排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を処理する機能を持つ光触媒舗装『フォトロード工法』に、ヒートアイランド現象を緩和する舗装表面温度低減化機能を併せ持たせた、「表面温度低減型」のフォトロード工法を開発し、フジタの設計施工による物流施設「プロロジスパーク尼崎」(尼崎市西向島、1月30日オープン)の外構道路に初めて適用しました。
■現在のフォトロード工法
フォトロード工法は、フジタ、フジタ道路と太平洋セメント株式会社(東京都中央区)および石原産業株式会社(大阪市)が共同開発した、光触媒を含む特殊なセメント系材料を道路表面に吹き付けてコーティングする工法で、1999年に実用化して現在までに21件、約19,000m2の施工実績(※1)を有しています。施工後5時間程度で車両通行が可能で、光触媒の強い酸化作用とセメントに含まれるカルシウムにより、自動車排気ガス中の人体に有害な窒素酸化物は中性の硝酸カルシウムに化学変化して道路表面に付着し、雨水により無害な硝酸イオンおよびカルシウムイオンとして洗い流されます。
都心部など交通量の多い、実際に施工した道路でのNOx処理能力実地調査では、60~70mg/m2・日(1日1車線あたり約1,500台の乗用車に相当)の処理能力を確認しています。また、光触媒舗装の酸化作用は半永久的に持続します。
■表面温度低減型のフォトロード工法
一方、都心部においてはヒートアイランド現象が問題となっており、夏期においては真夏日・熱帯夜日数の増加により健康への影響が生じ、冬期においても大気汚染を助長する原因ともなっています。これは、日中の太陽光を受けた舗装表面や建物外壁等が蓄熱して高温化することが大きな要因に挙げられています。
「表面温度低減型」のフォトロード工法は、舗装表面の温度上昇を抑制することによるヒートアイランド現象の緩和を目的として開発したものです。従来のフォトロード工法(標準型)に用いるコーティング材に遮熱性薬剤(顔料の一種)を添加することにより、窒素酸化物の浄化能力は維持したまま、太陽光の赤外線成分を効率よく反射して舗装表面温度の上昇を抑制します。フジタ道路技術研究所で行った、室内における光照射表面温度測定試験では、最大12℃程度(赤色系顔料)の表面温度の低減効果が確認されています(※2)。これは、既存の遮熱性舗装と比較してもトップクラスの低減効果を有すると位置づけられます。
■プロロジスパーク尼崎への適用
1月30日にオープンするプロロジスパーク尼崎では、屋上緑化や敷地内外への植栽、風力発電を行うなど、施設周辺環境の向上に努めており、その一環として自動車排気ガス浄化機能とヒートアイランド現象抑制効果を併せ持った、「表面温度低減型」フォトロード工法が外構道路に適用されました(施工面積:約1,600m2)。
施工したのは白色系コーティング材で、室内における光照射表面温度測定試験では、表面温度は一般密粒アスファルト舗装に対して、約8℃低減するという結果を得ています。
■今後の展開
今後、本技術を都心部での大気環境改善およびヒートアイランド現象抑制技術として、自動車排気ガスによる大気汚染などの交通公害が発生している幹線道路、高速道路など各種車道および建物外構への適用による、積極的な環境改善策として技術提案していきます。
(※1)施工実績:本件の「プロロジスパーク尼崎」を含みます
(※2)室内における光照射表面温度測定試験結果例(フジタ道路技術研究所)
※ 関連資料参照
【プロロジスパーク尼崎の工事概要】
工事名称 : (仮称)プロロジスパーク尼崎プロジェクト
工事場所 : 兵庫県尼崎市西向島
発注者 : プロロジス
設計者 : フジタ大阪支店一級建築士事務所
施工者 : 株式会社フジタ大阪支店
工期 : 2005年12月15日~2006年12月20日
施設概要 : 物流施設 鉄骨鉄筋コンクリート造 5階建 延床面積135,286m2
【フォトロード工法の開発経緯】
1999年3月 : 「フォトロード工法」実用化
1999年12月 :千葉県内県道で我が国初めての光触媒舗装試験施工実施
2002年 : 施工面積10,000m2達成
2004年4月 : 第14回「日経BP技術賞」建設部門賞受賞
2004年12月 : 第一回エコプロダクツ大賞推進協議会会長賞受賞
2006年末までの施工実績 : 21件、約19,000m2