富士経済、危機管理関連ビジネス市場の調査結果を発表
危機管理関連ビジネス市場の調査を実施
事業継続支援サービス関連需要などの拡大により2010年の市場は1兆3千億円超に
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 代表取締役 阿部英雄03-3664-5811)は、自然災害に対する危機管理システム・サービス市場の調査を実施した。その結果を調査報告書「危機管理関連ビジネスの将来展望 2007」にまとめた。
本報告書では、(1)減災につながる災害情報提供や避難誘導に関連するもの、(2)停電対策、電源のバックアップ等に関連するもの、(3)危機管理関連分野で有望もしくは市場に影響を与えるもの、を危機管理関連ビジネスとし、関連する製品・サービスの市場を捉えるとともに需要分野別の普及動向も分析した。
<調査結果の概要>
*一覧表は添付資料をご参照ください。
緊急時における危機管理の取組みは、これまで必須とされてきた関係機関やライフライン関連事業者だけでなく、民間企業にも波及している。2005年3月の経済産業省「事業継続計画(BCP)策定ガイドライン」を皮切りに、同年8月には内閣府、翌2006年2月には中小企業庁が相次いでガイドラインを公開したことからその必要性が高まっている。一方、災害対策関連製品・サービスでは、インターネットや携帯電話などの普及に伴い災害情報の配信サービスが開始されているが、停電時のバックアップ対策など緊急時での利活用においてはまだ万全ではない状況である。危機管理関連ビジネス市場は、民間企業(オフィス・工場等)や自治体を中心に需要が拡大し、2006年の6,000億円から2007年には7,400億円に達すると予測される。今後、「安心・安全」や「危機管理」という新たなコンセプトの製品・サービスが市場で評価され、危機管理関連ビジネスを牽引していくとみられる。
2010年の危機管理関連ビジネスの市場規模は、2006年の2倍以上の1兆3,200億円と予測される。常用発電機や非常用発電機、自動通報装置のように既に市場が安定しているシステムもあるが、市場の成長を牽引するのはBCP(事業継続計画)や緊急地震速報配信サービス、河川水位予測警告システム、安否確認サービスなどの新たなビジネスとなる。BCPは新規というよりも従来から情報通信、ゼネコン、電力事業者が顧客に提供してきたサービスの一環ではあるが、BCPやBCM(事業継続マネジメント)という新たな取り組みが必要となってきたことで、中核事業として展開する企業が増加している。BCPのように行政主導による市場拡大が期待できるのは住宅用火災警報器である。また、災害対策の支援を付加価値とした製品・サービスとしては災害対応型自動販売機、災害情報配信サービス、トリアージ情報集約システムが挙げられる。自然災害の多発による危機意識の醸成は、危機管理関連ビジネス市場を拡大するとともに、新たなビジネスを創出すると予測される。
<需要分野別市場>
●オフィス・工場等 2006年見込 2,503億円 2010年予測 7,964億円(06年比318%)
〔BCP、緊急地震速報配信サービス、安否確認サービス、太陽光発電機、監視カメラ、常用発電機、燃料電池、地理情報システム、非常用発電機、画像伝送システム、自動通報装置、移動電源車〕
常用発電機、監視カメラの需要が堅調である。事業継続支援サービス(BCP)の動きが活発になり、今後の市場は大きく成長すると予測される。有望ビジネスはBCP、緊急地震速報配信サービス、安否確認サービスで、その他太陽光発電やネットワークカメラの需要もプラス基調で推移する見通しである。社内的なコンセンサスが得られにくい点が課題となっているが、設備投資の回復とBCP策定は取引上必須という業界の動きが顕在化することで大手企業から中堅企業を中心に事業継続の取組みは加速すると見られる。
●戸建て・集合住宅 2006年見込 1,127億円 2010年予測 2,402億円(06年比213%)
〔住宅用火災警報装置、燃料電池、災害情報配信サービス、監視カメラ、太陽光発電機、自動通報装置〕
有望ビジネスは、住宅用火災警報装置と太陽光発電である。2010年は火災警報装置の新規需要からリプレイス需要へと移行し、引き続きプラス成長を辿る見通しである。災害情報については、2011年を目前に地上デジタル放送が有望視されているが、いち早くワンセグ放送が普及し防災情報の受発信に活用されると予測される。また、今後は一般家庭にも緊急地震速報配信サービスは普及する見通しである。
●官公庁・自治体 2006年見込 1,025億円 2010年予測 1,214億円(06年比118%)
〔緊急地震速報配信サービス、河川水位予測警報システム、安否確認サービス、災害対応型自動販売機、燃料電池、常用/非常用発電機、太陽光発電機、地理情報システム、誘導灯、監視カメラ、総合防災システム、自動通報装置、画像伝送システム、救急医療情報システム、防災行政無線〕
総合防災システムを中心に常用/非常用発電機の需要が堅調である。防災行政無線のデジタル化は財政難により困難と見られるがワンセグ放送を活用した災害情報の受発信が進展すると予測される。緊急地震速報配信サービス、安否確認サービスが有望である。
●商業ビル 2006年見込 609億円 2010年予測 750億円(06年比123%)
〔災害対応型自動販売機、常用発電機、地理情報システム、監視カメラ、非常用発電機、画像伝送システム、自動通報装置、緊急地震速報配信サービス〕
常用/非常用発電機の需要および監視カメラの需要が堅調である。有望ビジネスは、エレベータ制御の利活用が期待される緊急地震速報配信サービスで約4億円の市場規模が予測され、今後は商業施設での導入が進むと見られる。災害対応型自動販売機は店舗などで一部採用されていくと予想される。
●病院 2006年見込 215億円 2010年予測 271億円(06年比126%)
〔常用発電機、監視カメラ、非常用発電機、自動通報装置、BCP、緊急地震速報配信サービス〕
空冷式の自家発電装置への移行が進むほか、BCPの一環として緊急地震速報や停電対策、耐震性確保などが徐々に広がると予測される。
●鉄道・地下鉄 2006年見込 6億円 2010年予測 24億円(06年比384%)
〔画像伝送システム、監視カメラ、緊急地震速報配信サービス、BCP〕
BCPおよび緊急地震速報配信サービスの需要が今後期待される。その他、LEDの普及により誘導灯の需要が喚起される見通しである。
●河川 2006年見込 4千万円 2010年予測 18億円(06年比4,500%)
〔河川水位予測警告システム〕
自然災害が発生する恐れのある地域において災害対策のニーズは高く、河川水位予測警告システムや遠隔監視システムの導入は増加すると予測される。
●学校 2006年見込 10億円 2010年予測 11億円(06年比107%)
〔監視カメラ、自動通報装置〕
防犯と防災目的で安全安心への取組みが進むと予測される。地域安心安全情報共有ネットワークが広く普及すると見られる。
<調査対象>
需要分野:官公庁・自治体、学校、病院、鉄道・地下鉄、空港、道路、河川、商業ビル、戸建て・集合住宅、民間企業(オフィス・工場)
製品・サービス:住宅用火災警報装置、自動通報装置、誘導灯、防災行政無線、災害対応型自動販売機、遠隔監視システム(監視カメラ、画像伝送システム)、太陽光発電機、燃料電池、常用発電機、非常用発電機、移動電源車、総合防災システム、地理情報システム(GIS)、災害情報配信サービス、緊急地震速報配信サービス、河川水位予測警告システム、安否確認サービス、救急医療情報システム、トリアージ情報集約システム、事業継続支援サービス(BCP/BCM)
<調査方法>
富士経済専門調査員によるヒアリング調査および各種統計資料等による文献調査
<調査期間>
2006年10月~12月
以 上
資料タイトル:「危機管理関連ビジネスの将来展望 2007」
体 裁 :A4判 240頁
価 格 :100,000円(税込み105,000円)
調査・編集 :富士経済 東京マーケティング本部 第四事業部
TEL:03-3664-5821 (代) FAX:03-3661-9514
発 行 所 :株式会社 富士経済
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