出光興産、灯油を燃料とした固体酸化物形燃料電池で発電効率52%を達成
2007年度
灯油を燃料とした固体酸化物形燃料電池で、発電効率52%を達成しました
この度、(財)石油産業活性化センター(PEC)(本部:東京都港区、理事長:天坊 昭彦)・将燃袖ケ浦研究室(出光興産(株))では、灯油を燃料とする固体酸化物形燃料電池(以下、SOFC)の開発を進めており、発電効率52%(発電端、LHV※評価)を達成しました。
SOFCは、セラミックス系の固体電解質を使用した燃料電池で、固体高分子形(PEFC)と比べて作動温度が750~1,000℃と高いことが特長です。発電効率が高く、且つ高温の排熱も利用できることから、省エネルギー効果の高いコージェネレーション機器として大きな期待が寄せられています。さらに、総合エネルギー効率に占める発電比率が高いことから、お湯の使用量が少ない家庭や業務用施設でも十分な経済メリットや省エネ効果を得ることが可能となります。
灯油は、インフラが全国に整備されているために利便性が高く、また他の燃料に比べて経済性に優れた水素原料です。しかし、液体で、都市ガスなどに比べて炭素数が多いために、水素を製造するには高度な技術が必要とされます。PEC・将燃袖ケ浦研究室では、これまで開発してきた灯油改質技術を応用し、この度1kW級SOFCスタックを用いて世界で初めて灯油による発電に成功しました。
SOFC向けの灯油改質には、耐久性や運転条件への対応力等にまだ課題があります。今後、本研究を通じて、技術の実用性をより高めていきます。
※低位発熱量。Lower Heating Valueの略。燃料の持つ発熱量から、燃料の燃焼によって生じる水蒸気の凝縮潜熱を差し引いた発熱量のこと。
■概要
本研究開発は、経済産業省の委託を受け、(財)石油産業活性化センターが実施する「将来型燃料高度利用研究開発」事業の一環で、2005年度から3年間の予定で進めております。
(1)定格出力:1kW級
(2)燃料:市販灯油(JIS1号)
(3)脱硫方式:吸着脱硫
(4)改質方式:水蒸気改質
(5)運転方式:熱自立型
※参考画像を参照
<URL>
http://www.idemitsu.co.jp
関連情報 燃料電池
http://www.idemitsu.co.jp/nenryo/index.html