富士経済、ファミリーレストランなど8分野の外食市場の調査結果を発表
ファミリーレストラン、喫茶など外食市場の調査を実施
高価格型、低価格型、多毛作型ともに拡大を続けるコーヒーショップ市場
バイキング、チャンポン、ステーキ・ハンバーグが好調で拡大に転じるファミレス市場
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 03-3664-5811)は、ファミリーレストラン、喫茶、給食など8分野の外食市場について調査を実施した。その結果を調査報告書「外食産業マーケティング便覧 2007 (下巻)」にまとめた。
今回の外食市場の調査では、4月~7月にかけて14分野129業態の外食市場について調査した。下巻では、ファミリーレストラン、喫茶、西洋料理、日本料理、東洋料理、エスニック料理、給食、宿泊宴会場の8分野を調査した。なお、上巻(7月30日発表)では、ファーストフード、テイクアウト、ホームデリバリー・ケータリング、料飲店、交通機関、レジャー施設の6分野を調査した。
<成長市場>
コーヒーショップ 2006年 2,560億円 2007年見込 2,662億円(前年比4.0%増)
ドトールコーヒーショップに代表される低価格型コーヒーショップ(客単価400円未満)、スターバックスコーヒーに代表される高価格型コーヒーショップ(客単価400円以上)を取り上げる。両タイプともに2005年以前と比較すると伸びは鈍化しているものの、出店増、特に高価格型はショッピングセンターや大学など様々な場所へ出店することにより市場を拡大している。今後しばらくはフルサービスの喫茶店の需要を奪いながら増加していくと推測される。日本マクドナルドホールディングスが、多様なコーヒーメニュー、手頃な価格設定のフードメニューを提供する「マックカフェ」を展開する計画で、競争はますます激化する。今後はメニューのバリエーション、店舗のオリジナリティ等がより一層求められる。また、コーヒー豆の輸入価格が高騰し参入各社はメニュー価格改定を次々と表明しており、市場への影響が懸念される。
福祉施設給食 2006年 4,750億円 2007年見込 4,840億円(前年比1.9%増)
老人福祉施設数が高齢社会を反映して急増しており、特に通所介護(デイサービス)事業所の伸びが大きい。保育所も、待機児童の解消や子育て環境の整備目的から施設数が増加しており、給食企業への委託も徐々に進んでいる。2005年10月に介護保険制度が改正され、利用者負担額は食材費相当分(1日780円)プラス調理費相当分となり、併せて、施設に給付されていた基本食事サービス費も廃止となった。そのため、給食受託企業に対するコストダウンや品質向上に対する要求が一段と高まり、価格の見直しなどの契約変更や解約も多くなった。一方で、運営が厳しくなった施設による委託が進み、上位企業の実績は軒並み拡大した。2006年も、福祉施設や保育所の増加によって市場は拡大している。小規模施設の多い保育所は委託率が低いが、メフォス(本社東京都)のように近隣施設を一括受託し徐々に実績を拡大する企業も現れている。今後は、増加ペースは鈍化するものの、引き続き保育所や老人福祉施設を中心に拡大していく見込である
<注目市場>
豆腐料理店 2006年 821億円 2007年見込 837億円(前年比1.9%増)
豆腐、湯葉を中心としたメニュー構成と高級感のある雰囲気の「梅の花」、FCによる急速な多店舗化を進める「三代目茂蔵」、大規模・高級店の「とうふ屋うかい」などが売上を拡大している。豆腐の健康イメージは根強く一過性のものではないことから、今後も市場は拡大していくとみられる。
低価格ふぐ料理店 2006年 485億円 2007年見込 503億円(前年比3.7%増)
客単価7,000円未満のふぐ専門料理店が対象。1990年代初めにトラフグの養殖技術が発達し、高品質のふぐを低価格で提供することが可能となり、"てっちり"2,000円、"てっさ"1,000円を下回る価格設定で消費者の支持を集めるようになった。関門海の「玄品ふぐ」、東京一番フーズの「とらふぐ亭」の上位2チェーンが出店増により成長しており、今後もこの2チェーンを中心に市場は拡大していくとみられる。
お好み焼き店 2006年 1,892億円 2007年見込 1,922億円(前年比1.6%増)
個人経営の店舗が多い市場であるが、徐々に多店舗展開するチェーンが増えてきている。多店舗展開では先行していた「千房」、「ぼてぢゅう」、「徳川」、「ぱすたかん」などは、ここ数年伸び率が低くなっている。上位チェーンの「道とん堀」、「鶴橋風月」は、出店ペースが緩やかになっているものの拡大を続けている。また、2007年に入り「大阪梅田お好み焼き本舗」(物語コーポレーション)が急速に店舗数を増やしており、これらのチェーンの店舗数の増加により個人経営店の衰退・退店をカバーし、市場は拡大していくとみられる。
<調査結果の概要>
* 関連資料「調査結果 概要 表」 参照
ファミリーレストラン(FR)市場は、規模の大きい標準型FR(客単価が900円以上1,100円未満のチェーン)が減少を続けているため微減傾向で推移している。2006年は、低価格FR、イタリアFR、チャンポンFRやバイキングレストランなどの伸びによりわずかではあるが前年を上回った。特に、チャンポンFRは、トップのリンガーハットの規模拡大により拡大している。また、バイキングレストランは上位チェーン各社が出店・業態開発に積極的であり、2004年以降市場は2桁成長している。そのほか、ステーキ・ハンバーグFRやイタリアFRも出店増から実績を高めたことなどが2006年のFR市場がプラスに転じた要因と言える。
標準型FRは、各チェーンとも新規出店を抑え、メニューの見直し及び品質強化により既存店の回復に取り組んできたものの、思うように回復していない。2006年は、ココスジャパンが看板メニューの"包み焼きハンバーグ"を武器に50店舗の新規出店を行い、「ジョナサン」が客単価を上昇させるなど、ここ数年のメニュー改定や品質向上の取り組みが実を結ぶケースも出てきている。しかし、市場環境は厳しく不採算店舗の整理も続いており、当面は減少が見込まれる
喫茶市場では、「ドトールコーヒーショップ」に代表される低価格型コーヒーショップと、「スターバックスコーヒー」を始めとする高価格型コーヒーショップがいずれも出店増により市場を拡大している。これらのセルフタイプのコーヒーショップは日常生活の中にとけ込んでおり、利便性の高さと相まって拡大を続けている。また、多毛作型コーヒーショップは、トップチェーンのプロントの出店が続いており、それに伴い市場も拡大している。
西洋料理は全体としては前年並みを保っているが、最も規模の大きいイタリア料理の伸びが鈍化し、次いで規模の大きいフランス料理は減少を続けている。スペイン料理は、市場規模は小さいものの、料理自体の認知度の高まりや居酒屋として気軽に利用できる店舗が増加したことから、比較的高成長している。また、ステーキ・ハンバーグレストランは、BSEによる不安が払拭されてきたことや、各社がハンバーグレストランに注力していることなどから小幅ながらも増加に転じている。
日本料理は、欧米料理の普及、簡便性の高いファミリーレストラン、ファーストフードなどの拡がり、個人経営店の経営難による退店などを要因として市場は縮小してきた。その中で、すきやき・しゃぶしゃぶ店はリーズナブルな価格設定で消費者の日常に入り込むことに成功し、お好み焼き店は個人経営中心の市場構造から急速にチェーン化が進行しており市場が拡大している。また、2005~2006年に人気を博したもつ鍋店のように、若者が利用しやすい店作りによって活性化している事例もある。
東洋料理は、新規参入のあった点心料理店以外の市場は軒並みマイナスとなっており、市場全体は引き続き前年割れとなった。特に最大規模の焼肉料理は、米国産牛の輸入が解禁されたものの、以前の質、量を確保することが難しく依然として主要食材である畜肉の調達環境が厳しい状況にある。
エスニック料理は、メキシコ料理が食生活への浸透がなかなか進まず停滞しているものの、インド料理、東南アジア料理が堅調に増加し、全体としては拡大している。特にインド料理は、小規模な店舗の増加により市場が拡大している。
給食は、施設数の増加と共に競争が激化し売上高の減少が続いているが、福祉施設給食は増加しており、特に老人福祉施設給食は高齢社会の中で急速に市場を拡大させている。老人福祉施設給食は元々給食業者への委託比率が高いところに、2005年の制度改正によって新たな施設が増加し、市場が拡大した。
宿泊宴会場は、市場規模の大きな旅館の不振から縮小が続いている。ただし結婚式場・宴会場では、小規模でもオリジナリティの高さを求める挙式に対応したハウスウェディング人気が続いており、ホテルなどから需要を奪い、微増となっている。また、ホテルは高価格帯のラグジュアリーホテルの新規オープンによって市場は活性化し、長く続いた市場縮小から回復に転じている。
<調査対象>
* 関連資料 参照
<調査方法>
弊社専門調査員による対象企業への直接面接取材を基本に、電話ヒアリング、公的データ・公表資料等文献調査により補完
<調査期間>
2007年5月~7月
以上
資料タイトル:「外食産業マーケティング便覧 2007 (下巻)」
体裁 :A4判 212頁
価格 :98,000円(税込み102,900円)
調査・編集 :富士経済 東京マーケティング本部 第一事業部
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