富士経済、6分野15品目の医療用医薬品市場の調査結果を発表
抗リウマチ剤、前立腺肥大症治療剤など医療用医薬品市場の調査を実施
生物学的製剤の伸びで抗リウマチ剤市場は2007年に前年比39%増の792億円に
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 03-3664-5811)は、6分野15品目の医療用医薬品市場について調査分析し、その結果を報告書「2007 医療用医薬品データブック No.6」にまとめた。
本報告書は、2006年3月から調査分析を開始した医療用医薬品市場調査の第6回目であり、今回は、関節・骨疾患治療剤、女性疾患治療剤、泌尿器疾患治療剤、腎疾患治療剤、痔疾患治療剤、ヒト成長ホルモン剤の6領域を対象とした。
<注目市場>
■抗リウマチ剤
2006年 568億円(前年比49%増) 2007年見込み 792億円(前年比39%増)
リウマチへの直接作用を示す免疫調節剤、免疫抑制剤、生物学的製剤、局所ステロイド剤を対象としている。市場拡大の要因として市場の約60%を占める生物学的製剤(生物から産生される物質を利用した薬剤)の伸びが大きいことが挙げられる。生物学的製剤は2003年に登場し、非常に高い治療効果をもたらしており、患者一人当たりの薬剤費が年間百万円を超える高薬価製品であることもあり、2006年には前年の倍以上となる330億円の市場となった。2003年に「レミケード」(田辺製薬)、2005年に「エンブレル」(ワイス、武田薬品工業)が発売され、市販後調査の結果では治療効果が従来の抗リウマチ剤に比べると非常に高くなっている。また、抗TNF-α療法剤(レミケード)では関節リウマチの進行を示す骨破壊の進展を抑制する効果がエビデンスとして幅広く認知されるようになって来ていることから、リウマチ治療への考え方を変え市場を拡大していくとみられる。今後は、現在申請中の生物学的製剤2剤「アダリムマブ」(アボット ジャパン、エーザイ)、「トシリズマプ」(中外製薬)が2008年頃には発売されるとみられ、市場拡大に貢献すると予測される。
■骨粗鬆症治療剤
2006年 1,195億円(前年比4%増) 2007年見込み 1,256億円(前年比5%増)
ピスホスホネート製剤、SERM製剤など7つに分類される。骨粗鬆症財団の「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」によると個別薬剤に対する推奨グレード評価が4段階に亘って行われ、ビスホスホネート製剤の2有効成分が4段階全てA評価、SERM製剤が非椎体骨折予防を除く3段階でA評価を獲得している。
市場拡大の主な要因は高齢化による患者数の増加と新薬の販売が挙げられる。骨粗鬆症は閉経後の女性(50代以降)が最も多く、現在は新規患者が最も増えている時期であり、骨粗鬆症治療剤市場の拡大要因となっている。また、市場には天井感が見られたが、より骨吸収抑制作用が強いビスホスホネート製剤やSERM製剤等新たな作用機序の製品が発売され、市場は再び拡大している。今後もこれらの新薬が市場を牽引していくと見込まれるが、薬価改定で既存のビタミンD3製剤やカルシトニン製剤、ビタミンK2製剤等の市場が縮小していることから、市場は比較的緩やかに拡大していくと思われる。
■前立腺肥大症治療剤
2006年 750億円(前年比9%減) 2007年見込み 838億円(前年比12%増)
アンチアンドロゲン製剤、α1-ブロッカー製剤、植物製剤・アミノ酸製剤に分類される。高齢化が進むと共に患者数は年々増え続けている。また、主要医薬品企業による全国的な啓発活動の展開で前立腺肥大症自体の認知度が向上し、受診患者数も増加傾向にある。2006年はジェネリック医薬品や薬価改訂の影響により、圧倒的シェアを持っていた「ハルナール」(アステラス製薬)が実績を落としたため、市場は縮小した。しかし、2006年5月に発売された「ユリーフ」(キッセイ薬品工業=第一三共)が売上を拡大しており、2007年の市場拡大の原動力となっている。日本の高齢者数は2015年まで年率2~4%で増加すると予測され、それと共に患者数の増加が見込まれる。50歳を過ぎてからの発症率が高いため、定年後に時間的余裕が出来るといった点でも、医療機関にかかる患者の割合は上昇するとみられる。
■頻尿・尿失禁治療剤
2006年 310億円(前年比14%増) 2007年見込み 451億円(前年比45%増)
膀胱平滑筋直接弛緩作用剤、抗コリン剤、β2アドレナリン受容体刺激剤、α1-ブロッカーに分類される。高齢化が進み、確実に患者数は増加しており、市場拡大の大きな要因の一つとなっている。しかし、患者の受診促進が難しい疾患であるため、受診率は18%程度といわれ、潜在患者数が大きいとみられる。また、女性の有病者も約半数とされている。そのため、メーカー側も男性だけでなく女性にもアプローチを行うことで患者数の掘り起しを進めている。2006年6月に、全世界的にシェアを持つ「デトルシトール」(ファイザー)及び、「ベシケア」(アステラス製薬)の新薬2剤が発売され、市場拡大の大きな要因となった。両剤ともOAB(過活動膀胱)の効能・効果が初めて認められた抗コリン剤であり、従来の抗コリン剤よりも膀胱選択性が高く、口渇や便秘などの副作用が出にくいと考えられている。OABという疾患自体の認知度も向上しており、これらの新薬を中心に市場は拡大すると見込まれる。
<調査結果の概要>
※添付資料を参照
<調査方法>
弊社専門調査員による対象企業及び関連企業・団体へのヒアリングによる情報収集
<調査対象>
・関節・骨疾患治療剤
抗リウマチ剤、骨粗鬆症治療剤、変形性関節症治療剤、外用消炎鎮痛剤
・女性疾患治療剤
子宮筋腫・子宮内膜症治療剤、経口避妊薬、排卵障害治療剤、切迫早産治療剤・陣痛促進剤、更年期障害・月経障害治療剤
・泌尿器疾患治療剤
前立腺肥大症治療剤、頻尿・尿失禁治療剤、性機能改善剤
・腎疾患治療剤
・痔疾患治療剤
・ヒト成長ホルモン剤
<調査期間>
2007年5月~7月
以 上
資料タイトル:「2007医療用医薬品データブックNo.6」
体 裁:A4判 291頁
価 格:160,000円(税込み168,000円)
調査・編集:東京マーケティング本部 第二事業部 メディカルディビジョン
TEL:03-3664-5831
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発行所:株式会社 富士経済
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