日本精工、産業用ロボット向け高機能薄肉アンギュラ玉軸受を開発
ロボット向け高機能薄肉アンギュラ玉軸受を開発・商品化
~クロスローラ軸受に比べて小型・低トルク、高剛性を実現し、ロボットの小型・軽量化、高速化に貢献~
NSKは、自動車・半導体などの製造分野で世界的に需要が増加している産業用ロボット(以下ロボット)向け軸受として、クロスローラ軸受に比べて小型・低トルク、高剛性を実現した高機能薄肉アンギュラ玉軸受を開発・商品化しました。
自動車、半導体、一般加工/搬送などあらゆる産業で需要が急増しているロボットは、高い位置決め精度や小型・軽量化、高速性が要求されています。これらロボットの減速機・間接部には、従来からモーメント剛性*1の高いクロスローラ軸受が使用されていますが、クロスローラ軸受は摩擦トルクが大きく高速回転に課題があります。また、半導体製造装置などの真空環境下での使用に対しては、潤滑寿命の延長が難しいという課題もあります。NSKは、このニーズにお応えし、以下の優れた特長を持つ「ロボット向け高機能薄肉アンギュラ玉軸受」を開発・商品化しました。
*1 モーメント剛性:軸を曲げるような力(モーメント荷重)が負荷された時の変形のしにくさを示したもの
<製品の特長>
1.摩擦トルクをクロスローラ軸受の1/2に低減 ~ ロボットの高速化・省エネルギーに貢献
開発軸受では、玉を転動体とした軸受を組合わせることにより、トルクをクロスローラ軸受の1/2に低減しました。また、内部設計の違いによりグリース封入量をクロスローラ軸受より、約1.7倍多くすることができました。これらにより、ロボットの高速化、省エネルギー、信頼性の向上に貢献します。
2.モーメント剛性はクロスローラ軸受の1.3~1.7倍を実現 ~ ロボットの小型・軽量化に貢献
最適な軸受内部設計と予圧*2設定により、モーメント剛性が当社製クロスローラ軸受と比較し、1.3倍以上向上しました。これにより、
・ロボットの高精度な位置決めが可能となります。
・軸受外径を小さくでき、ロボットの小型化に貢献します。
*2 予圧:軸受を組付けたときに負のすきまとなるよう、あらかじめ内部応力を発生させて使用する状態
3.真空環境向けにはフッ素樹脂皮膜(V-DFO)技術の適用が可能
弊社の特殊環境用軸受で実績のある、フッ素樹脂皮膜技術を適用することで、真空環境(~10-7Pa)に対応することが可能です。これにより、ロボットの半導体製造用途への使用拡大に大きく貢献します。
NSKは、本製品を成長著しいロボット市場で拡販し、ロボット用軸受として2010年に年間で20億円の売上を目指します。
(※ 参考画像は関連資料を参照してください。)