米アナログ・デバイセズ、ゼロドリフト・プログラマブル・ゲイン計装アンプを発表
アナログ・デバイセズ、計測器と産業用制御システムの設計
を簡素化する
ゼロドリフト・プログラマブル・ゲイン計装アンプ「AD8231」
を発表
~ 産業用センサー・インターフェースに高い信頼性、使いやすさ、
高性能を提供 ~
アナログ・デバイセズ社(ニューヨーク証券取引所:ADI)は、本日、計測器および産業用機器向けゼロドリフト・デジタル・プログラマブル計装アンプ「AD8231」を発表しました。
AD8231は拡張工業用温度範囲の仕様で、大きなコモン・モード電圧下で微弱な信号変化を正確に検出するという苛酷な環境で使用される抵抗温度検出器、サーモカップル変換器(熱電対変換器)、自動車用圧力センサーを含む、幅広いセンサーに適しています。AD8231は、競合デバイスに比べ80%も低い入力ノイズが特長で、最も近似した競合ゼロドリフト計装アンプにおけるスループットの5倍に相当する最高1MHzの帯域幅で、レールtoレール入出力を提供します。競合デバイスと異なり、卓越した低ノイズ特性を誇るAD8231を用いることで、産業用センサーや制御システムの設計者は、ゲイン全体にわたって高いDC精度を保つことができます。
アナログ・デバイセズ社高性能信号処理部門のプロダクト・ライン・ディレクタ、スティーブ・ソコロフ(Steve Sockolov)は、次のように述べています。「ゼロドリフト計装アンプでは、チョッピング・ノイズなどさまざまな理由から、ゲインを大きくするとノイズもあわせて大きくなりがちです。ゲインのレベルが現在の産業用機器メーカが必要とする大きさになると、オフセット・ドリフトとノイズのトレードオフも限界です。ADIは、スイッチド・キャパシタなどの外付け部品を使うことなく、計装アンプのノイズ・プロファイルの大幅低減を可能にする独自のオートゼロ技術を用いてこの課題を解決しました。」
■性能要求の厳しい産業用アプリケーションに最適な堅牢な設計
オペアンプ3個の構成の計装アンプ・アーキテクチャを用いたAD8231は、オートゼロ・アンプの集積により電圧オフセットを、動作温度と長時間の動作にわたりわずか50nV/°Cに保ち、信頼性を向上しています。また、AD8231では内部ゲイン設定抵抗がゲイン係数の温度ドリフトを10ppm/°Cに抑えます。パッケージもLFCSP(リード・フレーム・チップ・スケール・パッケージ)を採用し、その材料の選定にも信頼性と温度耐性を考慮しており、デバイスは-40°Cから125°Cまでの定格仕様になっています。パッケージにはセンター・パドルがついているので、振動の激しい環境でもプリント回路基板に安全にハンダ付けできます。
■ソフトウェア・プログラマビリティがゲインの調節を容易に
AD8231は、使い易い3ピン・インターフェースでプログラミングできる1、2、4、8、16、32、64、または128倍のソフトウェア・プログラマブル・ゲインが特長です。ゲインはデジタル・ロジックを用いて設定できるため、ユーザは計装アンプをシステムに組み込んだ後も、繰り返しゲインを調節することができます。オプションとしてピン・ストラッピングによるゲイン設定機能も備えています。
AD8231は3.3Vから5Vの単一電源で動作し、レールtoレール出力を備えており、A/Dコンバータ(ADC)へのインターフェースも容易です。AD8231は、10ギガオームという高入力インピーダンスで、競合部品と違い高インピーダンスのセンサーを用いても性能が劣化させることはありません。
■設計のフレキシビリティがコストとスペースを節約
AD8231は、もう1つのオペアンプを内蔵することにより、性能をさらに拡張します。このオペアンプは、差動出力を生成して最新の高性能ADCの駆動、ゲインの追加、カスタマイズなどに使えます。
更に、追加の誤差補正、レベル・シフト、フィルタとしても使うことが出来ます。内蔵したオペアンプも、計装アンプと同様に低ノイズ・オートゼロ手法を用い、レールtoレール入出力になっています。AD8231では、スイッチド・キャパシタのようなノイズ発生の原因となりやすい個別部品が不要なので、集積オペアンプによるオンチップ・シグナル・コンディショニング機能との組合せにより、他のゼロドリフト計装アンプに比べ、コストを60%、ボード・スペースを50%削減できます。
AD8231は、ADIの高効率iCMOS(TM)プロセス技術の採用により32nV/√Hzというノイズ・レベルを実現します。これは競合のゼロドリフト計装アンプの1/5です。また、AD8231は、122dBという高いCMRR(同相ノイズ除去比)性能が特長で、ノイズの多い環境でも振幅の極めて低い信号を検出できます。
■高性能ADCとの互換性
AD8231は、3.3Vから5Vの単一電源を必要とする産業用制御とセンサーに最適で、デジタル部品と同じ電源を用いてADCやマイコンに容易にインターフェースできます。AD8231は、ADIのデータ・コンバータ(PulSAR(R) ADC「AD7942」、「AD7685」、「AD7980」など)、高精度アナログ・マイクロコントローラ・ファミリ「ADuC702x」、電圧リファレンス「ADR121」、「ADR43x」、「ADR44x」と一緒に用いるのに適した設計となっています。
■価格と供給について
AD8231は16ピンLFCSPパッケージで、現在サンプル出荷中です。量産出荷は2007年4月を予定しています。単価は1,000個受注時で1.69ドルです。(米国における参考価格です)
詳細情報に関しては、ウェブサイト(www.analog.com/pr/AD8231)をご覧下さい。
■産業用分野におけるアナログ・デバイセズについて
ADIは、40年間にわたり産業用アプリケーション向けに最適化された完全なシグナル・チェーン・ソリューションの定義、開発、提供に、産業用機器製造業界の顧客と協力して取り組んできました。産業用分野向け製品の長期間にわたる製品ライフサイクルをサポートするADIの伝統は、同社の知識経験豊かな営業部隊、技術に精通したフィールド・アプリケーション・エンジニア、および評価ボードやSPICEモデルを含む高度な設計サポートツールによって、さらに強化されています。
■アナログ・デバイセズについて
アナログ・デバイセズ(ADI)は、技術革新、高性能、そして卓越した技術力を企業文化として継承し、半導体市場において長期にわたり高い成長を示してきました。
ADIは、データ・コンバージョンとシグナル・コンディショニング技術の世界的リーディング企業として業界で高い評価を得ており、あらゆる種類の電子機器分野を取り扱う世界各国60,000社以上の顧客に製品を提供しています。アナログおよびデジタル信号処理アプリケーションに用いられる高性能集積回路の世界的なリーディング・メーカーとして、40年以上の歴史を誇るADIは、本社をマサチューセッツ州ノーウッドに構え、全世界で約8,900人の従業員を擁します。製造工場は、マサチューセッツ、カリフォルニア、ノース・カロライナ、アイルランド、フィリピンにあります。アナログ・デバイセズはニューヨーク証券取引所に上場しており(ティッカ-:ADI)、ADIはS&P 500インデックスに挙げられています。
※iCMOSはアナログ・デバイセズ社の商標、PulSARは同社の登録商標です。
<製品に関する読者からのお問い合わせ先>
アナログ・デバイセズ株式会社
ホリゾンタル・セグメント・マーケティング・グループ
電話 03-5402-8128