メディビックグループ、米国で抗がん剤「グルフォスファミド」の第II相試験を開始
当社グループが共同開発中のGlufosfamideの米国における第II相試験の開始について
~薬剤に感受性の高い再発小細胞肺がんの患者を対象~
このたび、当社グループが共同開発を行っている、抗がん剤Glufosfamide(グルフォスファミド)について、米国にて臨床試験を実施しているThreshold Pharmaceuticals,Inc.(スレッシュホールド社)が、薬剤に感受性の高い、再発小細胞肺がんの患者を対象とした、用量、安全性、および薬物動態を評価する第II相試験の開始を、以下の通り発表しましたのでご報告いたします。
米国KarmanosがんセンターのJohn C.Ruckdeschel博士によれば、再発小細胞肺がんの致死率は不幸にも非常に高く、現在の第二選択化学療法からは非常に限られた恩恵しか期待できないとのことであり、この治験はこれらの患者への他の治療法の選択肢となるとしています。
現状で、薬剤感受性の高い再発小細胞肺がんの標準的な治療法には、topotecan,cyclophosphamide,doxorubicin,vincristine,irinotecan,ifosfamideやcisplatinなどのさまざまな薬剤で、単一の薬剤による治療及びそれらの組合せによる併用療法があります。
化学療法終了後、最低60日以上経過した後で、再発した薬剤感受性の高い小細胞肺がんの患者約50人が、全米のさまざまな州やロシアおよびウクライナで行われる今回のオープンラベル(非盲検)の第II相試験に参加します。全ての患者は3週間ごと5000mg/m2の投与を6回まで受けます。
この治験における主要な有効性の評価項目は奏効率です。副次的評価項目としては奏効期間、無増悪生存期間、生存期間、効果発現までの期間、また、さまざまな安全性や薬物動態の指標を掲げています。また、LCSS(肺がん症状尺度)で肺がん症状におけるGlufosfamideの有効性を評価します。
この治験では、患者登録を完遂する意義を確実にするために、十分な奏効率が得られるかを2段階で調べます。最初に21人の患者に投与し、終了時に3人未満しか奏効しないときは治験を中止します。もし3人以上奏効した場合、追加で29人に投与します。抗腫瘍効果は、「固形癌の治療効果判定(RECIST)」に従い、投与開始時とその後6週間ごとに比較を行って評価します。
■小細胞肺がんについて
米国癌学会の発表では、2006年米国で約174,470人が肺がんと診断され、毎年平均160,000人が亡くなっております。小細胞肺がんは非小細胞肺がんに比べ少なく、15%から20%が小細胞タイプです。このがんは、通常、胸部中央に近い気管支から発症しますが、しばしば診断の時までに肺の他の臓器に転移しています。小細胞肺がんは喫煙歴との相関性が非常に高いと言われております。
なお、当社平成19年12月期(平成19年1月1日~12月31日)における当期業績見通しについては、次月の決算短信発表時の決算予想に織り込み詳細をご報告する予定ですが、当該事項において現時点では当期業績に与える影響は軽微と考えております。
(ご参考)
<肺がんの分類と小細胞肺がん>
肺がんは、小細胞肺がんと非小細胞肺がん(腺がん、扁平上皮がん、大細胞がん、腺扁平上皮がんなど)の2つの型に大きく分類されます。小細胞肺がんは、進行が早く、脳・リンパ節・肝臓・副腎・骨などに転移しやすい悪性度の高いがんですが、抗がん剤や放射線治療が効きやすい特徴を持っています。
再発性小細胞肺がんとは、治療が行われたにもかかわらず再発するがんで、胸部、中枢神経系、あるいは体の他の部分に生じることもあります。
<無増悪生存期間とは>
無増悪生存期間(progression-free survival)とは増悪か死亡のうち早いほうまでの期間を指します。
<欧米で実施中の臨床試験>
現在、欧州並びに米国においてすい臓がん(=膵がん)を対象とした臨床第III相試験および第II相臨床試験がスレッシュホールド社によって進められています。
第III相臨床試験は、グルフォスファミドを転移性膵がんに対する第2選択(2nd-line)治療薬として評価するもので、2004年9月から開始されました。この試験はFDA(米国食品医薬品局)によるSpecial Protocol Assessment(SPA)に基づいて行われるもので、グルフォスファミドはFDAから、難治性膵がんにおけるFast Track(優先審査)指定を受けています。更に2006年9月には希少疾病医薬品(オーファンドラッグ)指定も受けています。
一方、第II相臨床試験では、切除不能な局所進行性あるいは転移性の膵がんを対象に、グルフォスファミドとゲムシタビンとの併用による第1選択(1st-line)として評価するもので、2004年12月から開始されています。非臨床動物試験において、グルフォスファミドとゲムシタビンは併用することにより、各々の単独投与よりも新たな副作用の発現がなく、より強力な抗腫瘍作用が認められています。
また、プラチナ製剤抵抗性のある卵巣がんの患者を対象とした第II相臨床試験が、2007年1月から開始されております
(ご参照 http://www.thresholdpharm.com/sec/glufosfamide)
<Threshold Pharmaceuticals,Inc.(スレッシュホールド社)>
所在地:1300 Seaport Boulevard,5th Floor Redwood City,CA 94063 USA
設 立 :2001年10月
事業内容:医薬品の研究開発
URL:http://www.thresholdpharm.com
以 上