富士経済、住宅設備・建材市場の調査結果を発表
住宅設備・建材市場の調査を実施
―住宅用太陽光発電システムは2010年に1,521億円予測(対06年比152%)―
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町代表取締役阿部英雄03-3664-5811)は、このほど、新築からリフォームへの市場構造変化や賃貸住宅を主体とした集合住宅ニーズの拡大など、徐々に環境が変化している住宅設備と建材市場の調査を実施した。その結果を報告書「2007年版住設建材マーケティング便覧」にまとめた。住宅設備市場では、「オール電化」「省・創エネ(自然から創り出すエネルギー)」、建材市場では「セキュリティ」「高意匠性」をポイントとした商品の市場が拡大している。
<調査結果の概要>
1.住宅設備建材全体市場
概要 2006年見通し 2010年予測 対06年比
住宅設備分野 2兆8,113億円 3兆3,230億円 118%
建材分野 2兆6,579億円 2兆6,030億円 98%
合計 5兆4,692億円 5兆9,260億円 108%
住宅設備分野は、建材分野と比較すると新築需要に依存していない品目が多く、給湯機分野に含まれるヒートポンプ式給湯器や創エネ分野の住宅用太陽光発電システム、ガスエンジンCGS(コージェネレーションシステム)などのエネルギー関連商品、オール電化関連商品などが新設住宅着工戸数の伸び以上に市場を拡大させた。また、住宅用火災警報器が2006年から新築住宅への設備が義務化されたことを受けて拡大している。
建材分野は、2006年は新設住宅着工戸数が戸建住宅、集合住宅ともに増加したことから比較的堅調な分野が多くなっている。建材分野は、ほとんどの品目が新築主体となり、基本的には新設住宅着工戸数と連動する形となる。そのため長期的には、少子化の影響もあって新設住宅着工戸数の減少が予想されることからリフォーム需要の本格化が困難な状況下で今後急激な市場拡大は難しいと考えられる。
2.新設住宅着工戸数推移
概要 2006年見通し 2010年予測
戸建住宅 59万4,900戸 54万8,000戸
集合住宅 69万5,400戸 74万1,000戸
新設住宅着工戸数合計 129万 300戸 128万9,000戸
(国土交通省の「建築着工統計調査」をもとに富士経済作成)
2006年は、集合住宅が堅調に推移し、戸建住宅も減少傾向から増加に転じたことで、前年並みの伸び率を維持している。
今後は、団塊ジュニア層を中心とした若年層の購買意欲が継続することで、現行の住宅ローン減税制度の適用期間である2008年までは住宅着工戸数も堅調に推移すると予想される。戸建住宅は、地価の上昇によって土地の入手が難しくなっているパワービルダーの勢いが衰える傾向にあることから、戸建分譲住宅が減少傾向となり、逆に注文住宅がやや盛り返すと考えられる。集合住宅については、単身世帯の増加で需要が拡大している集合賃貸住宅が堅調に推移すると見られる。
3.注目分野
・創エネ分野(住宅用太陽光発電システム、太陽熱利用システム、コージェネレーションシステム)
2006年見通し1,301億円2010年予測2,644億円(対06年比203%)
住宅用太陽光発電システムは、充電できる点と環境に配慮する点が施主の支持を受けた事と、オール電化住宅進展の影響もあって、据え置き型を主体に順調な市場の拡大が期待できる。高価な事もあって市場が停滞しているが、リピーターが多い事と今後の灯油価格の動向次第では設置数が増えるとみられる。コージェネレーションシステムは、ガスエンジンタイプのものが都市ガス会社を中心に販売されており、コストパフォーマンスの高さから市場を急拡大させている。
・給湯機分野(ガス給湯機、石油給湯機、電気給湯機)
2006年見通し3,671億円2010年予測5,637億円(対06年比154%)
電気給湯機の中のヒートポンプ式給湯器が大幅に拡大している。ガス給湯機や石油給湯機、電気給湯機の電気温水器は、市場が成熟化する中でヒートポンプ式給湯器に市場を奪われる形で微減が続いており、2007年以降も同様の傾向が続くと予想される。ヒートポンプ式給湯器が市場を拡大させている背景には、オール電化住宅の普及や電力会社、国のバックアップがあり、国では2010年の累計導入台数520万台を目標に設定している。
・セキュリティ分野(住宅用火災警報器、監視カメラ、テレビドアホン)
2006年見通し1,015億円2010年予測1,404億円(対06年比138%)
セキュリティ分野は、悪質犯罪の増加や、独居高齢者の増加を背景とする防犯・防災ニーズの高まりを受けて拡大している。2006年6月から一部を除く新築住宅に設置が義務付けられた住宅用火災警報器の市場が急拡大している。住宅用火災警報器は、特にキッチンのみの設置に留まる熱式(定温式)に比べて寝室や階段部など住戸あたりの設置戸数が多い煙式(光電式)の伸びが大きい傾向が見られる。監視カメラは映像監視のニーズの増加を受けて拡大しており、テレビドアホンは、白黒モニターからカラーモニターへの代替が進んでおり2004年には数量ベースに続いて、金額ベースでもカラーが白黒を逆転した。
4.注目設備
・住宅用太陽光発電システム
2006年見通し1,002億円2010年予測1,521億円(対06年比152%)
住宅用太陽光発電システムは、ランニングコストが極めて安価で余剰電力が売電できる点や地球温暖化防止などの環境配慮面で高イメージがあり、更には増加するオール電化住宅の重要な設備として積極的に販売されていることから高成長で推移している。タイプとしては据置型が圧倒的に多く、新築/既築を問わず採用されている。好調な需要を背景に各社とも増産体制の整備が図られているが、原料シリコンの需要が世界的に逼迫しており、価格高騰の回避とシリコンの確保が急務となっている。
・ヒートポンプ式給湯器
2006年見通し1,510億円2010年予測3,705億円(対06年比245%)
ヒートポンプ式給湯器はオール電化住宅における給湯設備として地位を確かなものとしている。ヒートポンプ式給湯器が急速に普及した背景には、商品としてエネルギー効率に優れている点、深夜電力や電力会社の割引制度を利用することでランニングコストを低く抑えることが可能な点、オール電化住宅を推進する電力会社が制度面、販売面でバックアップしている点、国の温暖化防止施策として導入が大きくとりあげられている点などがある。床暖房や浴室暖房乾燥機の熱源とするなど、多機能型の開発が進んでいる。
・IHクッキングヒーター(ビルトイン型)
2006年見通し835億円2010年予測1,150億円(対06年比138%)
オール電化住宅の普及を背景にIHクッキングヒーターがガスコンロ市場を侵食している形となり、すでにシステムキッチンへのIHクッキングヒーターの搭載率は30%を超え、全世帯に対する普及も10%近くまで上昇している。オール電化住宅の着工戸数は今後確実に増加することが予想されるほか、最近は既築市場においてもガスコンロからの代替需要が増加していることから今後も順調な市場拡大が予測される。
<調査対象>
※添付資料を参照
<調査方法>
弊社専門調査員による関係企業、研究機関、官公庁等への直接面接取材を基本に、電話ヒアリング、文献調査により補完
<調査期間>
2006年10月~12月
以上
資料タイトル: 「2007年版住設建材マーケティング便覧」
体裁: A4判220頁
価格: 95,000円(税込み99,750円)
調査・編集: 富士経済大阪マーケティング本部第二事業部住設建材プロジェクト
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