生研センター、手の振動障害防止をめざした刈払機のハンドル防振機構を開発
刈払機のハンドル防振機構を開発
-手の振動障害防止をめざして-
刈払機は、ハンドル振動によって手や指の血行障害、いわゆる手の振動障害を生じさせる場合があるため、利用者や医療関係者から振動の低減が望まれています。
このため、生研センターでは、刈払機のハンドル防振機構を開発しました。この防振機構を取付けた試作刈払機の利用試験の結果、通常作業であれば振動による健康障害が生じないレベルまでハンドル振動を抑えられることを確認しました。今後、さらに改良を加え実用化を図る予定です。
【構成・機能】
ハンドル防振機構は、グリップ内部の棒状バネと2個のウエイト、ハンドルの部分補強、主桿部ウエイトから構成され、振動の節(振幅が極小となる点)を主桿のハンドル取付け部とグリップ部へ移動させることでグリップ部の振動低減を図っています(図1 *関連資料参照)。その結果、
1.JISに準拠した手腕系振動の測定法による、常用エンジン回転速度(7,000rpm)における無負荷時のハンドル振動は、市販機の中では最低レベルとなりました。また、EUにおいて定められている1日8時間作業した場合でも振動障害を生じさせない値(EU振動暴露対策値=振動加速度2.5m/s2)についてもクリアできました(図2 *関連資料参照)。
2.さらに、常用エンジン回転速度で草刈り作業を行った時の振動加速度は1.9~2.5m/s2と、通常作業では1日8時間使用しても振動障害が生じないレベルにハンドル振動を抑えることを確認しました。
なお、防振機構の追加によって重さは若干増加(500グラム)しますが、農家14名を対象としたモニター調査では、操作性は防振機構を付ける前に比べ遜色はないという意見を得ています。