宇部マテリアルズ、山口大学とバイオディーゼル燃料製造に用いるCa系固体塩基触媒を開発
バイオディーゼル燃料製造に用いるCa系固体塩基触媒を山口大学と共同で開発
1.当社の事業内容
宇部マテリアルズ株式会社(取締役社長光井一彦)は宇部興産グループの中にあって、日本国内で豊富に産出される石灰石を原料としたカルシア関連製品のトップメーカーであるとともに、海水中のマグネシウム分を原料としたマグネシアクリンカー(耐火物原料)を国内で唯一製造しているメーカーです。
また、カルシア、マグネシアを主原料として、当社独自の技術によるファイン製品を開発し、最先端の電子材料をはじめ、機能性材料、食品関係など各種製品を市場に送り出しております。
2.バイオディーゼル燃料製造に用いるCa系固体塩基触媒の開発
この度、当社は国立大学法人山口大学と共同で優れた活性を有する『Ca系固体塩基触媒』の開発に成功しました。この開発成功は、同大学大学院理工学研究科教授福永公寿氏との共同研究の結果得られたもので、同材料を触媒として使用することにより、バイオディーゼル燃料の製造を高効率に実現可能とするものです。
今回当社の開発したCa系固体塩基触媒は酸化カルシウムを主成分としており、当社が長年培ってきた独自の高活性化技術を応用することで、活性の最適化に成功しました。
バイオディーゼル燃料(脂肪酸メチルエステル)は、軽油に比べ排ガスがクリーンなことや、地球上の炭素バランスを崩さない(カーボンニュートラル)などの多くの利点があり、環境調和型の資源の有効利用技術として注目されております。
バイオディーゼル燃料の製造は、一般に植物油や廃食用油などの『油脂』と『メタノール』を触媒の存在下でエステル交換反応させることによって行われており、その触媒としては水酸化ナトリウムや水酸化カリウムが広く利用されています。しかし、これらの触媒を用いると、生成したバイオディーゼル燃料を洗浄してアルカリ成分を除去する必要があること、さらに洗浄によって発生する排水の処理が必要となり、製造コストが上がるという問題があります。このため、洗浄の必要がなく、分離除去が容易な固体触媒の研究が進められておりました。
当社のCa系固体塩基触媒は、メタノールの沸点付近あるいは沸点以下の反応温度、常圧で、かつ少量の添加で油脂とメタノールのエステル交換反応を利用して、バイオディーゼル燃料を短時間の反応であっても高い収率で製造できるという特徴を持っております。これにより製造設備の小型化及び簡素化に貢献することが期待されます。また同材料は粉末のみならず、顆粒、粒状品といった形態を取り揃えることが可能で、バッチ式や連続式など様々なバイオディーゼル燃料製造システムへも対応できると考えております。
今後は実用化に向け、さらに研究開発を進めていく予定としております。
* 関連資料「別紙」参照
・Ca系固体塩基触媒による製造例
・従来のアルカリ触媒による製造例