東レ、スポーツアンダーウエア用ストレッチニット素材「プログレスキン」を発売
優れた「運動追随性」を持つスポーツアンダーウェア用ストレッチニット素材
“プログレスキン”の発売について
東レ(株)はこの度、「運動追随性」という新たな観点から、スポーツアンダーウェア用のストレッチニット素材“プログレスキン”を開発しました。小さな力でも良く伸び、伸びた後にはしっかりと縮むことで、スポーツ時の大きく激しい動きの中でも適度なフィット感を保ちながら、体の動きを快適にサポートする新素材です。当社は本素材を、2008年春夏向けからの店頭展開を目指して2007年2月に販売を開始し、販売目標は初年度1億円、3年後には5億円を計画しています。
近年、運動時の体の動きの妨げとならず、かつ汗処理などの機能で積極的に運動をサポートするスポーツアンダーウェアは、トップアスリートがパフォーマンスの向上を目指して着用することが広く知られるようになってから益々注目を集め、一般的なスポーツ愛好家の間でも需要が年々増えています。運動時の動きの妨げとならないためには、できるだけ体にフィットして肌との間にたるみが無いことが必要ですが、フィットさせるために強く縮むようにすると、伸ばす動きに対しては突っ張って動きにくくなったり、着脱時に苦労するなどの状況が起こります。また、逆に伸びやすい素材では、縮むときの力が弱すぎて体の動きに瞬間的に追随することが難しく、たるみやダブつきの原因となる場合が多くありました。
今回“プログレスキン”の開発に当たって、東レは、「運動追随性」という生地にとっての新しい概念を導入しました。「運動追随性」とは、ウェアとして着用した際に、安静時から運動時まで突っ張り感やたるみ・ダブつきによって体の動きを妨げることなく、同じフィット感を保つ性質のことです。
東レは、運動時に体の各部位がどのように動くかを調べ、衣服が体を締めつける力(着圧)の変化や伸縮の度合い、かかる力などについて解析し、この「運動追随性」を実現するためには、「生地を伸ばすときに必要な力と、伸ばした生地が縮もうとするときの力」(パワー)を伸縮の度合いとの関係において数値化した際に、伸ばすときと縮むときの比が小さいこと、および「伸ばすときに必要な力の変化量」(パワー変化量)が小さいこと、そして運動時の着圧の変化が小さいことが重要であることを確認しました。そしてその解析結果を元に、業界で初めて「運動追随性」に関する規格を設定し、科学的に実証可能な性能として定義しました。
生地の設計に関しては、東レの特殊カチオン可染ポリエステル糸とオペロンテックス社のポリウレタン弾性糸「ライクラ8」とを、組み合わせる際の糸の種類や太さ、編成条件、後加工の方法などを最適なバランスにすることで、伸縮時のパワーの比を最適化し、かつパワー変化量を抑制することに成功しました。そしてこれにより、スポーツアンダーウェアとしてどのような動きに対しても最適なフィット感をもたらす伸縮性(優れた「運動追随性」)を実現しました。また、実際に着用状態を想定し着圧の変化量を測定した結果、従来のストレッチ素材に比べてその変化量が小さいことを確認しています。
さらに、今回使用している特殊カチオン可染ポリエステル糸は、従来よりも繊維の構成本数が多く単繊維の一本一本が細いハイカウントタイプであるため、肌ざわりが良く、スポーツアンダーウェアとして必須の機能である吸汗速乾性なども併せ持ちます。
東レは、競泳水着における着用者のパフォーマンス向上や、遊泳水着における快適性の追求など、水着市場での永年に亘るストレッチ素材開発の実績を持っており、マーケット・インの発想から開発した優れた機能素材を数多く市場に提供してきました。今回の“プログレスキン”は、スポーツアンダーウェアという新しい市場に対して、ニーズを的確に捉え、永年培ってきたストレッチ素材開発のノウハウを十分に活かして開発した新商品であり、昨年10月からスタートした新しい中期経営課題“プロジェクト Innovation TORAY 2010(略称 IT-2010)”において掲げる8つの全社プロジェクトの一つである“営業力革新プロジェクト”を体現するものです。
また東レは、自社グループ内でのオペレーションによって、ストレッチ素材の開発に関しても原糸からテキスタイル、縫製品までを視野に入れた取り組みが可能な世界に類のない企業であり、今後も、Innovationをキーワードに革新と創造による商品開発を推進し、幅広い分野に対して新しいストレッチ素材を提供していく所存です。
*“プログレスキン”の詳細は添付資料の通りです。