JOGMEC、カナダでメタンハイドレートの産出試験を開始
カナダにてメタンハイドレートの産出試験を開始
-新たなメタンハイドレート生産手法による産出試験-
独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC 理事長:掛札勲)は、カナダ北西部のボーフォート海沿岸陸上地域(北極圏に位置し、冬季には日中でも氷点下30度以下となる極寒地)において、永久凍土の地下約1000mに存在するメタンハイドレート層からメタンガスを産出する試験を開始する。
この試験は、経済産業省が実施しているメタンハイドレート開発促進事業(*1)の一環として行われるもので、JOGMECはこの産出試験に係る事業を経済産業省から受託し、カナダの天然資源省(NRCan)と共同研究の型で実施する。
メタンハイドレート開発促進事業では、現在、地中のメタンハイドレートからメタンガスを効率的に生産する方法を研究中であり、JOGMECの前身である石油公団が同地区で「温水循環法」(*2)によりメタンハイドレートからのメタンガス生産を2002年に世界で初めて成功させている。今回の産出試験は、地下のメタンハイドレートを含む地層に対してより効率的な生産が期待できる「減圧法」(*3)を新たに適用し、その効果を検証するのが目的である。
2月23日に産出試験に必要な坑井の掘削を開始し、3月中に約2週間程度のガス産出試験を行う予定である。2008年冬季にも減圧法の試験を行うことが検討されている。
メタンハイドレートは、メタンガスと水が結びついた固体状の物質で、日本近海の海底下には多量のメタンハイドレートの存在が期待されている。
(*1)JOGMEC、独立行政法人 産業技術総合研究所、財団法人 エンジニアリング振興協会がメタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(プロジェクトリーダー:田中彰一東京大学名誉教授)を組織し、メタンハイドレート開発促進事業を推進している。
(*2)温水循環法:坑井内に温水を循環させ、メタンハイドレートを加温することにより、固体であるメタンハイドレートを分解し、メタンガスを生産する方法。
(*3)減圧法:坑井内の圧力を減少させることにより、固体であるメタンハイドレートを分解し、メタンガスを生産する方法。今回の試験実施に先立ち、(独)産業技術総合研究所とJOGMECは共同でその有効性を検討していた。
(※参考資料あり)