J.D.パワー、「2007年米国マリンエンジン競争力情報調査」結果を発表
米国のマリンエンジン顧客満足度ランキング、
ホンダ、エビンルード、マーキュリー、マークルーザー、PCM がトップ
2007年米国マリンエンジン競争力情報調査
CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワーアジア・パシフィック(本社:東京都港区、代表取締役社長:蓮見南海男、略称:J.D.パワー)は、2007年米国マリンエンジン競争力情報調査の結果を発表した。
当調査は、ボートに搭載されているマリンエンジン(船外機、船内外機、船内機)に対する顧客満足度および製品品質を調べるもので、11ブランドが対象となっている。
顧客満足度は、「始動性」、「巡航時の静粛性」、「信頼性」、「燃費」、「シフトチェンジの操作性」、「エンジンの排ガス」、「加速性能」の7つのファクターにおけるユーザー評価から総合満足度を算出する(1,000ポイント満点)。
品質については、不具合項目から実際に経験した不具合をユーザーに指摘してもらい、100台当たりの不具合指摘件数として算出する。単位はPP100(Problems per 100 Engines)で、数値が小さいほど不具合指摘が少なく品質が良いことを示す)。
6回目となる今回の調査は、2005年6月から2006年5月に新艇を購入した米国の消費者に対して、2006年9月から10月にかけて郵送調査を実施し、12,140人から回答を得た。
◆先進技術は顧客満足にプラスに影響するが、購入決定時には重視されず◆
先進技術を搭載したマリンエンジンはキャブレター式などの旧型エンジンと比較して顧客満足度が高いが、先進技術が必ずしも購入決定の動機とはなっていないことが今回の調査で明らかになった。購入の主な動機としてエンジン技術を挙げたのは船外機ユーザーでは半数のみだった。さらに船内機ユーザーでは27%、船内外機ユーザーでは26%に留まった。
しかし先進技術搭載のエンジンは、価格は高いものの、旧型エンジンと比較して性能や燃費が良く不具合も少ない。ユーザーの中でも価格を重視する人はキャブレター式のエンジンを選ぶ可能性が高くなるが、商品の詳細を知った上で購入を決めることが望ましい。販売担当者は、顧客に先進技術搭載エンジンについて詳しく説明することが重要となる。また顧客は旧型エンジンを購入することで一時的な節約はできても、長期的には満足度の低さで価格の安さが相殺されることを理解する必要があるだろう。
ユーザーによる不具合指摘件数では、4ストロークEFI(電子制御式燃料噴射)エンジンが平均58PP100だったのに対し、2ストロークDI(直接噴射式)エンジンでは77PP100だった。さらに2ストロークキャブレター式エンジンでは167PP100と最も多く、先進技術エンジンの2倍以上の件数だった。
マリンエンジンはボートとセットで販売されることが多いため、ユーザーの多くはエンジンに関して選択の余地がほとんどない。希望通りのエンジンを購入できたとしたのは回答者の64%で、希望通りのエンジンではなかった人より、エンジンとボートのどちらに対しても満足度が大幅に高かった。ボート販売店は顧客の話をよく聞いてボートの利用目的を十分に理解する必要がある。そうすることで、目的に合ったタイプや大きさのエンジンを顧客に勧め、そのニーズを満たし期待に応える、あるいは期待を超えることが可能となる。販売店が勧めたエンジンがユーザーのニーズに合えば、ボートやエンジンに対する顧客満足度は上がるだろう。
エンジンセグメント別の顧客満足度ランキングおよび調査結果は以下のとおりである。
EFI(電子制御式燃料噴射)船内機セグメント:
昨年に引き続きプレジャークラフト・エンジン・グループ(PCM)が顧客満足度第1位だった。第2位にはインドマーが入った。
当セグメントでは、エンジンのかかりにくさとエンジンの異音が、顧客満足度にマイナスの影響を与える最大の要因となっている。ユーザーによる不具合指摘では、エンジン音が大きすぎることとエンストが最も多かった。
4ストロークEFI 船外機セグメント:
ホンダが3年連続で顧客満足度第1位となった(2005年の調査ではスズキと同率1位)。第2位はスズキ、第3位はヤマハだった。
当セグメント全体の顧客満足度では、「始動性」と「信頼性」の2つのファクターに対する評価が高かった。一方、ユーザーによる不具合指摘では、シフトチェンジの際のエンジン・トランスミッションの感触と音、ならびにエンストが最も多かった。
2ストロークDI(直接噴射式)船外機セグメント:
エビンルードとマーキュリーが同率で顧客満足度第1位にランクされた。マーキュリーは2年連続の首位、エビンルードは昨年の調査から24 ポイント向上した。
当セグメント全体の顧客満足度では、「始動性」と「信頼性」に対する評価が高かった。ユーザーによる不具合指摘では、シフトチェンジの際のエンジン・トランスミッションの感触と音ならびにエンジン回転が不安定なことが最も多かった。
4ストロークEFI船内外機セグメント:
マーキュリー・マークルーザーが2年連続で顧客満足度第1位となった。第2位には僅差でボルボ・ペンタが入った。
当セグメント全体の顧客満足度では、「始動性」に対する評価が高かった。ユーザーによる不具合指摘では、シフトチェンジの際のエンジン・トランスミッションの感触と音ならびにエンジン音が大きすぎることが最も多かった。
<株式会社J.D.パワーアジア・パシフィックについて>
当社は米国J.D.パワー・アンド・アソシエイツの日本を含むアジア地域でのビジネスの拠点として1990年に設立された。自動車業界を始めコンピューター、通信関連、OA機器、サービス産業、金融など様々な業界において顧客満足に関する調査やコンサルティングを実施している。ISO9001およびプライバシーマーク取得。会社概要や提供サービスなどの詳細は当社ウェブサイト www.jdpower.co.jp まで。
<J.D.パワー・アンド・アソシエイツについて>
ザ・マグロウヒル・カンパニーズの一部門であるJ.D.パワー・アンド・アソシエイツ(本社:米国カリフォルニア州ウェストレイク・ビレッジ)は、マーケティング・リサーチ、生産・販売予測、コンサルティング、教育・トレーニングおよび顧客満足度調査を実施している国際的な情報サービス企業である。数百万人の消費者からの回答をもとに品質や顧客満足度に関する調査を毎年行なっている。ISO9001取得。
<ザ・マグロウヒル・カンパニーズについて>
1888年に設立されたザ・マグロウヒル・カンパニーズ(NYSE: MHP)は、スタンダード&プアーズ、マグロウヒル・エデュケーション、ビジネスウィーク、J.D.パワー・アンド・アソシエイツなどを通じて金融サービス、教育、ビジネスに関する情報を提供している国際的な情報サービス企業である。世界40カ国に280カ所以上の拠点を有し、2006年の売上高は63億ドルにのぼる。詳細はウェブサイト www.mcgraw-hill.com まで。