タカラバイオ、骨形成に必須なたんぱく質「活性型オステオカルシン」をブタ煮骨から抽出に成功
骨形成に必須なたんぱく質「活性型オステオカルシン」をブタ煮骨から抽出に成功
タカラバイオ株式会社(社長:加藤郁之進)のバイオ研究所は、ブタの煮骨から、骨の形成に必須なたんぱく質「活性型オステオカルシン」(分子量、約6,000)を含有する抽出物の、食品加工技術を用いた製造方法を世界で初めて開発しました。この抽出物は「活性型オステオカルシン」のみならずブタの骨由来のコラーゲンを主成分とするタンパク質群を豊富に含んでおり、骨の健康のみならず美容に役に立つ健康食品として商品化していきます。また機能性食品素材としても、大量生産し、市場に供給していく予定です。
ブタの肉部分を採った後の豚骨部分からは、エキスが抽出されラーメンのスープなどとして商品化されています。エキスが抽出された残りは煮骨と呼ばれます。日本の畜産県の代表である鹿児島県では年間7万トン程度の豚骨が生産されます。
「活性型オステオカルシン」は骨に強固に結合しているため、これまで機能性食品素材として利用されることはありませんでしたが、当社は骨形成に必須なタンパク質「活性型オステオカルシン」の抽出を種々検討し、当社の食品加工技術を用いて、30kgのブタ煮骨粉砕物(サンベースフード株式会社・鹿児島県曽於市より供給)から2.1グラムの「活性型オステオカルシン」を含有する700グラムの抽出物の製造に成功しました。すでに、「活性型オステオカルシン」含有抽出物の製法特許出願を行いました。
骨粗鬆症は、骨分解と骨形成のバランスが崩れ、相対的に骨分解が優位となり、骨量が減少し骨折が起こりやすくなる病態をさし、「寝たきり老人」増加の主な原因となっています。特に女性の場合、閉経により骨量の減少が急速に起こります。現在、日本では約1,100万人(2000年)の骨粗鬆症患者がいると推定され、70歳以上の女性では、その4割以上が骨粗鬆症の診断基準にあてはまると報告されています。
「活性型オステオカルシン」は骨芽細胞により産生されるたんぱく質であり、カルシウムを骨に蓄積する機能があります。「オステオカルシン」分子内のグルタミン酸残基がγ-カルボキシグルタミン酸残基に変換されたものは「活性型オステオカルシン」と呼ばれ、活性型のみがカルシウムを骨に蓄積できることが知られています。当社が製造法を開発した豚煮骨由来の抽出物には、この「活性型オステオカルシン」が含まれるため、骨分解と骨形成のバランスを骨形成に向かわせることが期待できます。またこの抽出物は水溶性であり、様々な製品形態が可能です。
今後、当社では、本抽出物を用いた製品群の開発を進め、さらに本抽出物の抗骨粗鬆症作用だけでなく、さまざまな生理活性に関する研究を進めていきます。
当資料取り扱い上の注意点
資料中の当社の現在の計画、見通し、戦略、確信などのうち、歴史的事実でないものは、将来の業績に関する見通しであり、これらは現時点において入手可能な情報から得られた当社経営陣の判断に基づくものですが、重大なリスクや不確実性を含んでいる情報から得られた多くの仮定および考えに基づきなされたものであります。実際の業績は、さまざまな要素によりこれら予測とは大きく異なる結果となり得ることをご承知おきください。実際の業績に影響を与える要素には、経済情勢、特に消費動向、為替レートの変動、法律・行政制度の変化、競合会社の価格・製品戦略による圧力、当社の既存製品および新製品の販売力の低下、生産中断、当社の知的所有権に対する侵害、急速な技術革新、重大な訴訟における不利な判決等がありますが、業績に影響を与える要素はこれらに限定されるものではありません。
<参考資料>
【語句説明】
・オステオカルシン
骨芽細胞によってつくられる49アミノ酸からなるたんぱく質で、カルシウムを骨に蓄積することで骨形成に働きます。
・活性型オステオカルシン
オステオカルシンの分子内に3ヶ所存在するグルタミン酸残基が、ビタミンK依存性カルボシキラーゼという酵素の働きによりγ-カルボキシグルタミン酸残基に変換されたものを活性型オステオカルシンといいます。活性型オステオカルシンのみがカルシウムと結合して骨形成に働くことができます。
・骨芽細胞
骨の中では新しい骨形成と古くなった骨分解の新陳代謝がバランスを保ちながら絶えず行われています。骨形成を担当するのが骨芽細胞であり、骨分解を担当するのが破骨細胞です。骨芽細胞は骨の構成蛋白であるI型コラーゲンやオステオカルシンを合成し、血中からカルシウムとリンを取り込んで石灰化をおこすことにより骨を形成します。
・骨粗鬆症
加齢や閉経後のエストロゲン不足が原因となり、骨密度(一定骨内のカルシウムとリンの量)が減少し、骨にすが入った状態を骨粗鬆症といいます。骨粗鬆症は自覚症状のないまま進行し、やがて大腿骨頚部や脊椎などの骨折が起きやすくなります。