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ニュースリリースのリリースコンテナ第二倉庫

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2025'02.04.Tue
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2007'08.13.Mon

東北大学、天然有機酸-チタン錯体の酸化チタン多形の選択的合成に成功

天然有機酸-チタン錯体の水熱分解により酸化チタン多形の選択的合成に成功
水を溶媒とした安全なグリーンプロセスへの道を拓く

(チタンと天然有機酸を化合させることでチタンの水溶化が可能、従来法では合成が至難であったブルカイト型酸化チタン及びTiO2(B)型酸化チタンを容易に合成可能、高活性な光触媒を提供可能)


(説明)
 本学多元物質科学研究所の垣花眞人教授の研究グループは、先端光触媒材料として注目される酸化チタン多形を、天然有機酸-チタン錯体の水熱分解により選択的に合成する技術を開発しましたのでお知らせします。
 近年、酸化チタンは有害物質の分解や脱臭、防黴や殺菌、あるいは防曇を可能にする環境光触媒としての用途開発が期待されており、一部では実用化もされている。酸化チタンの多形のうちアナターゼ型とルチル型の結晶構造を有する酸化チタンの合成は容易であるが、より高い光触媒活性が期待されているブルカイト型とTiO2(B)型酸化チタンを合成することは至難とされる。今回独自に化学設計した天然有機酸―チタン錯体は酸化チタンの結晶構造の骨格の一部を反映しているので、目的の酸化チタンの選択的合成が実現できた。さとうきび、レモン、りんご、ぶどうの成分であるグリコール酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸など身近な天然有機酸をチタン可溶化剤として、また水を溶媒として用いることで、安全なグリーンプロセスによる高活性な酸化チタン光触媒を得る技術を開発した。

(概要説明)
1. 水に溶解困難なチタンの水溶化技術の開発に成功した。その際、人体に無害な天然有機酸であるヒドロキシ・カルボン酸を利用する新規なルートを開発し、従来技術では実現困難な酸性からアルカリ性の幅超広いpHで安定である天然有機酸-チタン錯体水溶液の調整に成功した。
2. 従来チタン原料は発火性や腐食性がある、水と接触すると不溶性沈殿物を作るなど、作業安全性や保存性に問題があったが、天然有機酸-チタン錯体ではこれらの問題を解決した。
3. 天然有機酸-チタン錯体水溶液を水熱処理することにより酸化チタンのナノ粒子を製造できた。その際、天然有機酸の種類と溶液のpHを選択することにより、酸化チタン多形を選択的に合成できることが明らかになった。また界面活性剤やアミノ酸あるいはカルボン酸を添加することにより形態を制御することも可能となった。
4. 植物や果物成分の天然有機酸が配位したチタン錯体は無毒であり、また水を溶媒とすることが可能になったので、環境に調和したグリーンプロセスを構築できた。
5. 本法により得たブルカイト型およびTiO2(B)型酸化チタンナノ粒子はNOの光分解において従来酸化チタンを超える高い光触媒活性能を呈した。
6. 本内容による出願特許数は国内5件である。
7. 本内容については2007年3月に京都大学で開催される化学工学会春季大会にて発表予定である。


用語解説

◆ 酸化チタン(TiO2)多形
 酸化チタン(TiO2)は、古くは白色顔料として用いられ、近年は紫外線遮蔽剤や半導体光触媒として利用されている。特に、有害物質の分解や脱臭、防黴や殺菌、あるいは防曇を可能にする光触媒としての用途開発が急速に進んでいる。TiO2は天然の鉱物としてアナターゼ、ルチル、ブルカイトの3種類の結晶構造(多形)で存在している。またTiO2という化学組成をもつ多形としては、人工的に合成されたTiO2(B)など数種類が知られている。酸化チタン多形のうち、アナターゼとルチルは合成が容易で研究例も多いが、ブルカイトとTiO2(B)は高い光触媒性能が期待されながら、その合成が困難であるためほとんど手付かずの状態であった。

◆ 水熱法
 結晶作製法の1つ。密閉容器内で水を溶媒とした反応溶液を水の沸点、すなわち100℃以上に加熱し、高温高圧状態の水の中で反応を行う手法。

◆ 天然有機酸
 植物や果物あるいは食物に含まれるヒドロキシカルボン酸(1分子中に水酸基(OH)とカルボン酸基(COOH)を持つ分子)やアミノ酸などの総称。さとうきびに含まれるグリコール酸、レモン、りんご、ぶどうにそれぞれ含まれるクエン酸、りんご酸、酒石酸は代表的なヒドロキシカルボン酸であり、フルーツ酸とも呼ばれる。

◆ 天然有機酸-チタン錯体
 天然有機酸-チタン錯体として構造が明らかにされているのは、乳酸チタン、ペルオキソクエン酸チタン、ペルオキソグリコール酸チタンの3種類であり、構造は未知であるが水溶化する錯体としてりんご酸チタン、酒石酸チタンやアミノ酸が配位した錯体が知られている。いずれの錯体も東北大学多元物質科学研究所が先導して開発したものである。

◆ グリーンプロセス
 近年、化学産業分野で環境調和重視の変革が起きている。グリーンケミストリーは廃棄物を少なくする、有毒物質の使用を避けて原料・副産物をクリーンにするなど、化学物質やその製造工程の根本から化学産業を見直そうとする試み。グリーンプロセスは、物質や材料を安全で環境に負荷のかからない方法で合成する環境調和プロセスの総称。一つの効果的なアプローチが水を溶媒とした環境調和プロセスによる材料合成。これを実現するために、これまで水に溶かすことのできなかった金属の水溶化技術の開発、すなわち水溶性金属錯体を合成し、これを利用することが不可欠。環境光触媒として確固たる地位を築きつつある酸化チタンを環境に優しいグリーンプロセスで製造することは工業的にも意義が高い。また水を溶媒として用いるので、毒性有機溶媒や腐食性の著しい強酸を利用する従来法と比べて、安全面のみならずコスト削減、量産性においても望ましい。

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