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2025'02.04.Tue
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2007'08.13.Mon

東北大学、ITOナノ粒子の大量液相合成法を開発

透明導電膜用キュービックITOナノ粒子合成
~塗布法透明導電膜の実用化に大きく前進~

(スパッタ法に代わる省資源透明導電膜作製手法であるインクジェット法等の塗布法用ナノ粒子合成)


(説明)
 本学多元物質科学研究所 村松淳司教授の研究グループとDOWAエレクトロニクスは、次世代液晶ディスプレイ用透明導電膜材料として注目される、インジウムスズ酸化物(ITO)ナノ粒子について、従来困難とされていた、サイズと形態の精密制御技術を実現する、新しい大量液相合成法を開発しましたのでお知らせします。
 ITOは薄膜化した際の高い導電性と透明性から液晶ディスプレイなどの透明導電膜として広く利用されている。しかしながら、その主元素であるインジウムは希少金属であり、今後の継続的な需要の増大に応えるには、現在のスパッタ薄膜化法に置き換わる省インジウムプロセスの開発が必須である。その有望な手法としてはITOナノインク塗布法が挙げられる。そのため、単粒子層で塗布し、かつ焼結後非常に緻密な構造体を作ることができる50~100nmのキュービックITO粒子の合成が鍵となっていた。今回の手法はきわめて簡単で実験室規模でできる上、大量合成に適した手法であり、実用化が一気に進むものと期待される。

(概要説明)
1.液相系における単分散微粒子作成技術である"ゲル-ゾル法"を用いて、ITOナノインクの開発に必須となるITO微粒子を精密にサイズ・形態制御しつつ合成する手法の開発を試みた。

2.合成は、溶液の初期pHを調節したインジウム・スズイオン混合溶液を加熱して得たゲル状物(写真1)をオートクレーブ中で再加熱し(写真2)、かつ低温焼結することにより立方体状(キュービック)単分散ITO微粒子(写真3)が得られる。

3.合成したITO粉末を適宜な溶媒(水やアルコール)に分散させた塗料は、通常の攪拌等の容易な操作で、ITO粒子が非常に微細かつ高分散した。従って、当該塗料を塗布時にムラの発生が無く、あるいは塗布にインクジェットを用いた場合も目詰まりが発生しないものと期待される、インクジェット法等の塗布法透明導電膜作製に最適の粒子である。

4.本プロジェクトにより出願・出願予定特許数は、国内2件である。

5.本詳細については2007年3月に行われる日本化学会春季年会(大阪)にて発表予定である。

(* 写真1~3は関連資料を参照してください。)


(用語解説)
◆インジウムスズ酸化物(ITO)
 一般に電子機器の回路や電極には、金属が用いられる。金属は非常に多くの自由電子を持ち、高い電気伝導性を示す。一方、金や銀、銅など金属はいずれも可視光を通さない。金属が光沢を持っていることからも知れるように、むしろ金属は光を反射してしまう。可視光は金属を通り抜けられず、人の目で見る限りでは、金属は透明ではない。金属は高い導電性を持っているが、電子ディスプレイの電極や回路としては利用できないのである。液晶(LCD)やプラズマ(PDP)、有機ELなどを電子ディスプレイとして使うには、透明な電極や回路が必要である。画面上の電極や回路が画像のじゃまになったり、着色しては困るからである。これを解決するために、可視光に透明でかつ電気を通す材料が開発されてきた。現在、もっとも広く用いられている透明電極、すなわち透明導電膜材料は、インジウムスズ酸化物(ITO)である。

◆透明導電膜
 透明導電膜は、可視光透過率が高く透明で、また導電性の高い薄膜である。今日では、ITO(Indium Tin Oxide)膜が用いられている。ITOは金属、絶縁体と比較すると、自由電子の数が適度であるため、電導度がある程度高く、しかも可視光を透過させるという機能がある(表1)。ITOは、In2O3(酸化インジウム)にSnO2(酸化スズ)をおよそ10wt%混ぜた半導体セラミックスであり、2つの物質は固体のまま溶け合っている。ITOは、電気をよく通し、丈夫で加工(エッチング)がしやすく、透明度が高い材料である。

◆スパッタ薄膜化法
 電子ディスプレイの表示側の基板材料にはガラス基板を用いる。ガラス基板上へのITOの成膜法は、ITOターゲット材とアルゴンのスパッタガスを用いた「スパッタリング法」が多く用いられている。スパッタリング法は、陽極に基板を置き、陰極に金属や金属化合物のターゲット材料を置いて、電極間に高電圧を加えるとプラズマが発生する。このプラズマを電界と磁界で保持しながら、不活性ガスのイオンを材料に高速で衝突させる。するとターゲット材料表面から原子や分子が叩き出され、基板に飛び散って付着、堆積して薄膜を形成する仕組みである。「スパッタ」は"叩きつける"という意である。不活性ガスのイオンを衝突させる金属や金属化合物材料は「スパッタリングターゲット材」と呼ばれる。この成膜法は、成膜時のガラス基板の加熱温度が比較的低く、ガラス基板への影響が小さいこと、塗布法や印刷法による成膜法に比べ導電性に優れたITO膜が得られ、膜厚を薄くできる。ただし、この方法の最大の問題点は堆積して薄膜を形成する際に、基板以外に堆積するなど、多量の無駄なITOが消費されることにある。

◆省インジウム
 平成22年度におけるインジウムの予想国内需要量は、同年の予想国内供給量(現状供給量に大きな変化はないことから、平成18年3月の豊羽鉱山閉山に伴う国内生産量の減少分は特に勘案していない)の1.86倍と想定されることから、これを補うためにはインジウムの代替材料開発等に係る施策目標を消費量削減率50%にすることが必要である。実際は、液晶モニタ等の大型化や新規用途開拓が予想以上に進展することも想定され、さらに厳しい供給不足に陥ることも予想される。

◆ナノインク
 ナノ粒子(金属、セラミックス問わず)をバインダや樹脂に混ぜたもので、ITOナノインクは主にインクジェット法等の塗布法導電膜作製に使用される。

◆インクジェット法
 射出孔から吐出した微粒子化インクをデジタルに描画する印刷技術。染料インクなどの液体をはじめ、微細化したナノ顔料(固体)分散液でも可能である。プリンターやコピーの他、種々の配線、パターン化技術で使用されている。

◆ゲルーゾル法
 東北大学多元物質科学研究所の杉本名誉教授、村松教授が開発した、全く新しい微粒子合成法で、ゾルーゲル法とは違う。濃厚な金属水酸化物ゲルを直接前駆体とする液相からの超濃厚系微粒子合成法で、濃厚ゲルが粒子のブラウン運動を抑制して凝集を防ぎ、ゲル網から供給される前駆体により粒子は成長する。得られる粒子は単分散粒子であることが多い。
T. Sugimoto, K. Sakata, and A. Muramatsu, J. Colloid Interface Sci. 159, 372 (1993).他

◆単分散粒子
 サイズ、形態、構造等が均一な粒子群のことを言い、それらが揃っていることから指向性の高い性質が出現する。
 

(* 添付資料あり。)

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