ルネサステクノロジ、イーサネットコントローラーとUSB機能内蔵の32ビットSuperHファミリを発売
イーサネットコントローラとUSB2.0ホストの両機能を1チップ化した32ビットSuperH(TM)ファミリ「SH7670グループ」を製品化
-当社従来製品を最大1.6倍に高速化し、豊富な周辺機能により、システムコスト並びに開発コストを低減可能-
株式会社ルネサス テクノロジ(本社:東京都千代田区、会長&CEO 伊藤 達)は、このたび、ネットワーク接続機能を備えるデジタルAV機器やOA機器、FA機器等向けに、イーサネットのコントローラとUSB2.0ホストを1チップに内蔵した32ビットSuperH(TM)(注1)ファミリ「SH7670グループ」を4グループ、合計8品種を製品化しました。2007年4月から順次サンプル出荷を開始します。
本製品は、イーサネットコントローラ内蔵の当社従来製品「SH7619」と比較し、最大約1.6倍の200MHzに高速化した製品です。
特長は、以下のとおりです。
(1)イーサネットコントローラとUSB機能を1チップ化し、システムの低コスト化が可能
本製品は、IEEE802.3規格(注2)に準拠したメディアアクセスコントローラ(MAC(注3))を搭載しており10M/100Mbps(bit per second)のイーサネットLANへの接続機能の開発が容易です。さらに、USB規格v2.0のハイスピード(480Mbps)対応のホストおよびファンクション機能を搭載しているため、USB機能の開発も容易です。
CPUコアは32ビットの「SH-2A」に倍精度FPUを搭載した「SH2A-FPU」で、最大動作周波数は200MHzです。当社従来製品「SH7619」に比べて、最大約1.6倍に高速化しており、イーサネットとUSB2.0の高速転送及び複雑なデータ処理が可能です。また、CPUコアのアーキテクチャの改良により、処理性能は「SH7619」に対して約2倍に向上しています。イーサネットコントローラとUSB機能の1チップ化並びに高速化により、ユーザは高性能なシステムの小型化、低コスト化が図れます。
(2)ホストインタフェースや音声CODECを接続可能なインタフェース等豊富な周辺機能を搭載
ホストインタフェース(HIF)は、本製品を他のマイコンに容易に接続できる機能です。本機能により、システムの制御を行うメインマイコンなどから、本製品をSRAM相当と認識して制御することができます。本機能は16ビット幅のバスを採用し、コマンドの高速通信や大規模データの転送を高速で行うことができるため、既存システムへの組込みも容易です。また、HIFのブート機能を使用することで、フラッシュメモリなどの外付けの不揮発性メモリを不要とすることができ、部品点数を削減可能です。
さらに、シリアルサウンドインタフェースにより、音声CODEC等と接続することができるため、VoIP(注4)システムなどを容易に実現できます。その他、SDホストインタフェースやI2Cバスインタフェースなどの豊富な周辺機能を搭載しており、部品点数の削減及びシステムの低価格化に貢献します。
<製品化の背景>
近年、家庭内の機器をホームネットワークに接続する取り組みが進んでおり、各機器間でのコンテンツの共有化が図られています。このため、デジタルTVやDVDレコーダ、デジタルオーディオなどのデジタルAV機器では、イーサネットに加えUSB経由でコンテンツを視聴できる機器も増加しています。また、産業分野における機器間の通信は、CAN(注5)からイーサネットに切り替わってきていますが、ホストPCとの接続にはUSBが用いられことが多い傾向にあり、イーサネットとUSB機能を備える機器は、今後、ますます拡大する傾向にあります。
当社は、今回、このようなニーズに対するため、イーサネットコントローラとUSB2.0のホスト及びファンクション機能を1チップに内蔵した32ビットSuperHファミリ「SH7670グループ」を製品化しました。
<製品について>
本製品に搭載している32ビットCPUコア「SH2A-FPU」は、最大動作周波数が200MHzの時に、480MIPSの高処理性能を実現します。搭載しているイーサネットコントローラは、IEEE802.3に準拠したMAC層を内蔵しています。加えて、イーサネットコントローラとUSB2.0のホスト及びファンクション機能を1チップ化したため、従来は外付け部品として必要であったLANコントローラやUSB2.0の専用LSIを削減することができます。
また、機器制御用のメインマイコン等との接続を容易にするホストインタフェース機能を備えており、メインマイコンからは本製品をSRAM相当と認識します。本機能は、インタフェース用の16ビット巾のバスと、2Kバイトのリニアなアドレス空間を持つSRAMを2バンク(計4Kバイト)で構成しており、メインマイコンからは、本SRAMを16ビットバス経由でアクセスし、直接リード/ライトすることができます。これにより、イーサネットやUSB経由でダウンロードしてきたデータを、メインマイコンに高速転送する等が可能です。
本機能を使用することで、機器本来の機能開発とネットワーク接続機能の開発を並行して行え、開発期間の短縮を図れるだけでなく、既存のシステムにイーサネット接続機能を追加して高機能化を図ることも容易です。
また、本ホストインタフェース機能にはHIFブートモードがあります。本モードを用いることで、メインマイコンに接続されたフラッシュメモリからホストインタフェースを経由して、「SH7670グループ」に接続されたSDRAM上にプログラムをダウンロードすることができます。これにより、本製品のプログラム格納用として外付けするフラッシュメモリを備えることが不要となり、部品点数を削減できます。
さらに、汎用のDMAコントローラを搭載しており、外部メモリ間のデータ転送を高速に実現できるため、ネットワークのデータスループットを上げることができます。
その他、本製品に音声CODEC用のミドルウェアを組み込むことにより、ホームネットワークサーバやUSBメモリに格納されている接続先からダウンロードしたAAC(Advanced Audio Coding)などの各種オーディオフォーマットのデコードが可能です。これにより従来はDSPや専用LSIが行っていた処理をソフトウェアだけで実現することができます。
パッケージは、小型の256ピンBGA(17mm×17mm)を採用しており、機器の小型化を図ることができます。
また、オンチップデバッグ機能を搭載しているため、最大動作周波数でのリアルタイムデバッグが可能です。エミュレータは、小型のPCカードサイズの「E10A-USB」を使用できます。
今後、更なるCPUの高速化や無線LAN対応、フラッシュメモリやセキュリティ機能の内蔵など周辺機能を強化したイーサネットコントローラ搭載製品のラインアップを拡充し、ユーザニーズに応えていきます。
■注記
(注1)SuperH(TM)は、(株)ルネサステクノロジの商標です。
(注2)IEEE802.3:IEEE802は、IEEE(米国電気電子技術者協会)が、LANの標準化を目的に発足した委員会名。IEEE802.3は、CSMA/CD方式の10M/100MbpsのイーサネットLAN仕様規格。CSMA/CDは、Carrier Sense Multiple Access with Collision Detectionの略で、送信前にキャリアの有無を検出し、送信中に衝突を検出すると一定時間待機して再送信する。
(注3)MAC:Media Access Controlの略で、データリンク層内の下位副層。フレームの送受信方法、フレームのフォーマット、データの誤り検出などを規定。
(注4)VoIP:Voice over Internet Protocolの略。IPネットワーク上で音声通話などを実現できるプロトコル。
(注5)CAN:Controller Area Networkの略で、独Robert Bosch GmbHが提唱している車載用のネットワーク仕様。
*その他記載の製品名、会社名、ブランドは、それぞれの所有者に帰属します。
■応用機器例
ネットワーク接続機能を搭載する以下の機器
デジタルAV機器:DVDレコーダ、薄型テレビ、オーディオコンポ等
OA機器:プリンタ、複写機等
産業機器:FA機器、シーケンサ、監視カメラ等
■価格、仕様
添付資料をご参照ください。
■お客様からの問い合わせ先
株式会社ルネサス テクノロジ 汎用製品統括本部 マイコン事業部 MCU製品技術部
〒100-0004 東京都千代田区大手町二丁目6番2号(日本ビル)
電 話 03(5201)5214 (ダイヤルイン)
以 上