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ニュースリリースのリリースコンテナ第二倉庫

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2025'02.04.Tue
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2007'08.13.Mon

理化学研究所、タンパク質生合成の最初の瞬間を捉えることに成功

タンパク質生合成の最初の瞬間を捉えることに成功
- リボソームとシャイン・ダルガーノ(SD)配列の超分子複合体 -

◇ポイント◇
・ リボソームがSD配列を認識する機構をX線結晶構造解析により分子レベルで解明
・ mRNAはSD配列を介してリボソームに結合した後に3’側(後方)へと移動
・ タンパク質生合成の開始制御にmRNAの2状態の平衡が重要な役割を果たす


 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)とドイツのマックスプランク研究所(ペーター・グルース会長:President Dr. Peter Gruss)は共同で、タンパク質生合成の鋳型となるメッセンジャーRNA(mRNA)が持つ「シャイン・ダルガーノ(SD)配列」が、原核生物(※1)リボソーム(※2)の30Sサブユニット(※3)と超分子複合体を形成した状態を捉えることに成功し、これまで知られていなかった結合部位と結合様式を解明しました。これは理研ゲノム科学総合研究センター(榊佳之センター長)タンパク質構造・機能研究グループの横山茂之プロジェクトディレクター、竹本千重上級研究員、上西達也リサーチアソシエイトとマックスプランク研究所のパオラ・フッチーニ(Dr. Paola Fucini)のグループによる研究成果です。
 1974年にオーストラリアのJ・シャイン(J. Shine)とL・ダルガーノ(L. Dalgarno)は、バクテリオファージ(※4)のmRNAが開始コドン(※5)の上流にプリン(※6)に富んだ共通の配列を持つことを見出しました。さらに、リボソームの30Sサブユニットの主成分である16S リボソームRNA(rRNA)が、3’末端に相補的な配列を持つことから、両者が塩基対を形成することにより、mRNAを鋳型としたタンパク質の生合成が促進される、という仮説を提唱しました。この仮説は後に証明され、分子生物学の根幹をなす概念の1つとして広く知られてきました。また、これらの配列は発見者の名前から、mRNA側がシャイン・ダルガーノ(Shine-Dalgarno、略してSD)配列、16S rRNA側がアンチ・シャイン・ダルガーノ(anti-Shine-Dalgarno、略してanti-SD)配列と呼ばれています。しかし、実際にどこでどのようにSD配列がanti-SD配列と相互作用し、30Sサブユニットに認識されるのかは不明でした。
 今回、30SサブユニットにSD配列が結合した超分子複合体の結晶構造を3.3A(オングストローム)の高分解能(※7)で決定したところ、互いに相補的なSD配列とanti-SD配列が2重らせん構造(SDへリックス)を形成し、研究グループが「chamber」と名付けたくぼみにすっぽりとはまり込んでいました。またその認識には、16S rRNAの特定のヌクレオチド残基や2重らせん構造が寄与していました。さらに、これまでに報告されている実験の結果も考慮すると、mRNAはSD配列を介して30Sサブユニットに結合した後、開始コドンを含む下流の領域が引き続き30Sサブユニットに結合するのに伴って、3’側(後方)に移動する、と解釈できました。またこの際には、chamber内に収まったSDへリックスがその外に出る必要があることから、mRNAがこれらの2状態の平衡で存在し、タンパク質生合成の開始段階の制御に重要な役割を果たしていることを初めて提唱しました。
 本研究成果は、わが国で推進している「タンパク3000プロジェクト」の一環として行われたもので、米国の学術雑誌『Structure』3月号の表紙を飾ります。

* 関連資料「別紙1」参照
 1. 背 景 
 2. 研究手法と成果 
 3. 今後の展開 


<補足説明>
(※1) 原核生物
 生物の分類のひとつであり、細胞に核を持たない原核細胞からなる生物を指す。

(※2) リボソーム
 細胞内に存在するタンパク質合成を担う超分子複合体で、リボソームRNAとリボソームタンパク質からなる。

(※3) 30Sサブユニット
 原核細胞のリボソームは、沈降係数(大きさの指標)から50Sおよび30Sと呼ばれる大小2つのサブユニットから構成されている。

(※4) バクテリオファージ
 ウイルスのうち、細菌に感染するもの。

(※5) 開始コドン
 mRNAのコドン(3文字の塩基配列)のうち、タンパク質合成の開始を指定するもので、メチオニンに対応するAUGが使われることが多い。

(※6) プリン
 DNAやRNAを構成するヌクレオチド(残基)のうち、アデニンやグアニンの塩基を総じてプリンと呼ぶ。

(※7) 高分解能
 A(オングストローム:1×10-10メートル(=0.1ナノメートル))の単位を用いて表し、この数字が小さいほど分解能が高く、より精度の高い高解像度であることを示す。

(※8) SBDD
 Structure Based Drug Design(立体構造情報に基づく薬剤設計)の略。ある疾病関連タンパク質が特定された場合、その立体構造から引き出される情報を利用することにより、合理的な薬剤設計を行うことを可能にする。PCクラスター等の大規模計算機システムとの組み合わせにより、短期間・低コストでの創薬が可能になる。

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