古河電工、プラグインタイプで従来の約1.5%超小型化したFTTH端末を開発
プラグインタイプの超小型FTTH端末を開発
-光加入者用ONUと光送受信器を一体化し、小型化を実現-
古河電気工業は超小型でGE-PON(注1)用としては世界初となるONU(注2)機能付きSFPモジュール(注3)「FITELwave AG9」を開発しました。当社独自のOSA技術(注4)とTeknovus社(注5)のチップTK3713の実装方式の工夫により、従来の卓上型ONUに比べ、約1.5%(当社卓上型ONU FITELwave AG20Eとの比)にまで超小型化を達成しました。
2007年度第2四半期よりサンプル出荷の予定で、ネットワーク機器ベンダやシステムインテグレータへの拡販を通じて、オフィスネットワーク分野等にFTTH型ネットワーク技術を応用展開していきます。なお本開発品は、3/27から米アナハイムで開催されるOFC/NFOEC 2007のFurukawa America Inc.ブース、およびTeknovus社ブースにて参考出展します。
■開発の背景と特長
当社は従来よりFTTH型ネットワークの高速通信を実現するためのGE-PON装置を開発・販売してきました。GE-PONは1本の光ファイバ幹線で複数のONUを共用できる技術で、1対1接続であるシングルスター方式に比べて安価にFTTH型ネットワークを実現できるメリットがあります。
GE-PONの端末であるONUは卓上型で各家庭に設置されることを想定しており、オフィスや集合住宅のようにONUのLAN側にスイッチやルータが必要な場合、ONUとその電源の設置スペースやスイッチ・ルータとの配線が煩雑になるなどの問題がありました。(添付図参照)
これらの問題を解決するために、当社はすでに昨年6月ONU機能をスイッチやルータのGBICインタフェース(注6)に直接装着可能な小型のONUモジュール「FITELwave AG8」を開発していました。今回、ネットワーク機器のインターフェースとしてSFPの普及の高まりに応えるため、さらなる小型化を図り、SFPモジュールのサイズを実現しました。
■FITELwave AG9の特長と主な仕様
・IEEE802.3ah規格準拠GE-PONのONU機能
・SFP仕様に準拠
・サイズ(mm):67(D)×14.1(W)×10.6(H)
当社独自のOSA技術、テクノバス社のチップTK3713の実装方式の工夫により、従来の卓上型ONUに比べ容積で約1.5%、昨年開発発表したFITELwave AG8と比較しても約25%まで小型化を実現しました。また、LANスイッチ装置から給電されるため電源アダプタが必要なく、高い信頼性が得られます。当社では、ネットワーク機器ベンダやシステムインテグレータ等へのスイッチやルータの周辺機器としての採用を働きかけ、オフィスネットワーク分野等にGE-PONの新たな市場を開拓することを目指しており、2007年度第2四半期からサンプル出荷の予定です。
■展示会予定
・OFC/NFOEC 3/27-29 米国アナハイム
Furukawa America Inc.ブース、Teknovus社ブースにそれぞれ参考展示
■用語解説
1)GE-PON(Gigabit Ethernet - Passive Optical Network)
PONとは光アクセス回線の途中で受動素子により光ファイバを分岐して効率よく光ファイバによるインターネット接続サービスを実現する技術の総称です。PONの一種でデータを従来LANで使用されてきたギガビットイーサネットにより伝送するネットワークをGE-PONと呼びます。この技術により光アクセス回線上で双方向1Gb/sの高速インターネット接続サービスが経済的に可能になります。2004年に米国電気電子学会(IEEE)により「IEEE 802.3ah」規格として標準化されました。日本で急速に普及しており、プロバイダ各社がGE-PONによる1Gbpsの光ファイバ接続サービスを展開しています。
2)ONU(Optical Network Unit)
光アクセス回線のユーザ側引き込み拠点に設置される装置で、光アクセス回線を終端して光と電気を変換する機能を持ちます。
3)SFP(Small Form factor Pluggable Multi-Source Agreement)
イーサネット等の光伝送規格を同じ物理インターフェースモジュールで接続できるようにする目的で、多くの光伝送機器メーカが参加のもと取り決めた小型光送受信器の業界標準です。サイズやピン配置等が規定されており、ネットワーク機器の電源を入れたまま抜き差しが可能なホットスワップ機能も持ちます。ネットワーク機器のギガビットイーサネットポート等に普及しています。GE-PON用でONU機能を持ったSFPモジュールはこれまでありませんでした。
4)OSA(Optical Sub-Assembly)
主に光ファイバ(ピグテールファイバ)付きの光デバイスに対し、光ファイバに換えて光コネクタインターフェースを有する送受信用小型光デバイスのことです。当社のOSAは、光デバイスと光ファイバとの光軸合わせを調整することなく無調心での製造を実現し、表面実装可能な小型化を図った当社独自のものです。
5)テクノバス社(Teknovus Inc.)
GE-PON半導体チップセットの開発・販売会社。すでに世界中で20以上の通信事業者に2百万ポート換算を超えるチップセットを出荷した実績を持ちます。
本社:カリフォルニア州ペタルマ
社長兼CEO:グレッグ・カルタビアーノ氏
http://www.teknovus.com/index-flash.html
6)GBIC(Gigabit Interface Converter)
ギガビットイーサネット対応のネットワーク機器に接続する取り外し可能なトランシーバモジュールのことです。ネットワーク機器は一般的にGBICと接続するインタフェースのみのため、他の機器と接続するためのLANケーブルを接続するには、GBICを間に挟む必要があります。また、ネットワーク機器の電源を入れたまま抜き差しが可能なホットスワップ機能も持ちます。伝送媒体、光波長、コネクタ形状の違いにより、1000BASE-T、1000BASE-SX、1000BASE-LXなど数種類のものが一般的です。GE-PON用でONU機能を持ったものとしては当社が昨年6月に開発した「FITELwave AG8」があります。