神戸製鋼など3社、スクリュ式小型蒸気発電機「M.S.E.G.」を発売
世界初のスクリュ式小型蒸気発電機の開発、販売について
~ユーザーの省エネ要求に応えて~
グループ中期経営計画で「オンリーワン製品の拡販・創出」を目指している神戸製鋼所は、このほど、国内トップレベルにあるガスコンプレッサ分野でのスクリュ技術を応用し、蒸気のスペシャリストカンパニーである株式会社テイエルブイ(以下 TLV)と共同で、産業界で最も多く使われている熱エネルギーである蒸気を活用し、一定圧力の蒸気を得るための減圧弁機能とともに発電機能を持つ小型で高性能なスクリュ式発電機を、世界で初めて開発し、販売を開始いたしました。
多くの製造工場では、発電用タービンの動力源として、また、加熱・蒸留・乾燥・殺菌・洗浄などの各工程での加熱源として蒸気を利用しております。
鉄鋼や石油精製などの大手の製造工場では、その両方の用途で、蒸気の持つエネルギーを有効に活用していますが、それは大型の高圧蒸気ボイラで発生する100気圧程度の多量の蒸気で1000kW以上の大型蒸気タービンを駆動させるなど大型の蒸気発電設備に限られております。
一方、中規模の製造工場では、現在、主流となっている低圧の小型ボイラで10気圧未満の蒸気を発生させ、蒸気減圧弁で製造プロセスに見合う圧力へと減圧し、加熱源として利用しております。
近年、産業界においては、地球温暖化対策推進法や改正省エネルギー法の施行により、社会的責任としての環境経営への取り組みを強化すると同時に、一層の省エネ活動の推進に迫られております。
このようなユーザーの省エネに対する要求に応えるため、中規模の製造工場で使われている低圧の小型ボイラによる10気圧未満で毎時3トン未満の少流量蒸気でも、蒸気を減圧する際に通過するエネルギーを活用し、スクリュ方式により効率よく100kWの発電を行う蒸気発電機「M.S.E.G.(マイクロスチームエナジージェネレーター:略称「エムエスイージー」)」を開発いたしました。
このM.S.E.G.(エムエスイージー)は、一定圧力に減圧するために蒸気が通る際にもエネルギーを取り出せることに着目し、減圧弁としての機能を持たせつつ、工場で通常使われている100kWの電気を作り出そうとするものです。
このため、比較的エネルギー単価の低い蒸気エネルギーで、その2倍以上のエネルギー単価の電気エネルギーに変換させ、安定した減圧蒸気を作り出します。
従って、発電による電力費用を削減すると共に、二酸化炭素排出量の削減に寄与することが出来ます。
神戸製鋼グループは、「2006-2008年度グループ中期経営計画」で、独自の高い技術、ノウハウを活かし高い競争力を持つ製品をオンリーワン製品として、その拡販と創出を目指しております。
蒸気を利用しているユーザーの省エネ要求に対し、神戸製鋼が得意とする製品の一つであるスクリュ圧縮機の技術、コージェネレーションのメーカーである神鋼造機の技術、スチームスペシャリストであるTLVの持つ蒸気およびユーザーへの知見とを融合し、世界で初めて少ない蒸気量と減圧比でもエネルギーを有効活用できる高性能のパッケージ型スクリュ小型蒸気発電機を開発し、蒸気タービンで実績の有る神鋼商事株式会社の販売網とTLV社のソリューション提供サービスを活用して、M.S.E.G.(エムエスイージー)の販売を開始することといたしました。
なお、この装置の性能評価試験は、NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)との共同研究で実施いたしました。
神戸製鋼グループでは、M.S.E.G.(エムエスイージー)を、オンリーワン製品として拡販に努めていきます。
このスクリュ式小型蒸気発電機「M.S.E.G.(エムエスイージー)」の特徴は、つぎのとおりです。
(1)スクリュ方式を活かして、極めて高い発電効率を得られること。
注)軸流タービン方式と比較して、約1.5倍の発電効率であることから、試算では、3年程度での投資回収が可能となります。
(2)従来、有効に活用されていなかった蒸気エネルギーを活用することで、二酸化炭素の削減に寄与できること。
(3)IPM発電機(永久磁石同期発電機)と回転数を制御するインバータ、電気の質を変えるコンバータを採用した世界初のスクリュエキスパンダ発電装置であること。
(4)蒸気の流量が10%まで下がった場合でも、回転数を変えることで安定した発電を行うと共に、減圧弁以上に製造プロセス用蒸気圧力が安定していること。
(5)通常の減圧弁機能に加え、スクリュの回転数により、蒸気流量の変化に対しての即時対応が可能なこと。
(6)発電装置として必要な機械、電気、制御システムをオールインワンパッケージとしていること。
(7)蒸気の通気を開始する際の暖機運転が不要で、省エネに寄与すること。
今後は、このスクリュタイプの小型蒸気発電機を、バージョンアップを含めて5年以内に50億円、さらにその後の数年以内で、100億円の事業規模とする予定です。
以上