ローム、カーオーディオ機器向け高音質・高品位なサウンドプロセッサーLSIを開発
業界最高レベルの高音質を実現!
ロームがカーオーディオ用サウンドプロセッサLSIを開発
半導体メーカのローム株式会社(本社:京都市)はこのほど、カーオーディオ機器向けに高音質とボリウムやトーンの切り替え時に発生するショック音を大幅に低減した、業界最高レベルの高音質・高品位なサウンドプロセッサLSIを開発しました。幅広い車種で高音質の音空間創出に貢献します。ラウドネス機能内蔵タイプの『BD3484FS』と、DSPと接続可能な6ch外部入出力端子付タイプ『BD3489FS』の2機種をラインアップしました。この新製品『BD3484FS』、『BD3489FS』は、今年4月からサンプル出荷(サンプル価格:1000円)を開始しており、2007年8月から当面月産50万個の規模で量産を予定しています。前工程をローム浜松株式会社(静岡県)、後工程をROHM INTEGRATED SYSTEMS (THAILAND) CO.,. LTD.(タイ)で行います。
カーオーディオ機器は、長年の高音質化の流れにより音質は家庭用高級オーディオに匹敵するレベルに達し、音量については家庭との再生環境の違いにより大音量化が進んでいます。そして大音量で音楽を楽しむ場合や、ウーハなどで重低音域の多い音楽ソースを楽しむ場合にボリウムやトーンの切り替え時のショック音がどうしても聞こえてしまうことが問題となっていました。今回ロームは、このショック音低減に独自の新開発ショック音防止技術『アドバンスト・スイッチング』回路を開発し、大幅なショック音低減を実現しました。この『アドバンスト・スイッチング』回路は入力信号レベル、ゲイン変更値から最適なゲイン切り替えステップ数を自動で算出し、より滑らかなエンベロープ波形を実現できます。そのため無音時はもとより20Hzの重低音信号入力時、2Vrmsの大信号入力時にも切り替えショック音はほとんど発生しなくなりました。
またこの『アドバンスト・スイッチング』回路のもう1つの特長は、多機能化がすすみ年々CPUの負担が大きくなることに対してCPUの負担増なしにシステムの実現が可能な点です。従来のソフト切り替え方式では、ゲインの変更が完了するまでCPUから随時、ゲイン設定値をタイミングよくサウンドプロセッサLSIへ送信する必要がありました。このため開発時のソフトウェア開発も大きな負荷となっていました。ロームの『アドバンスト・スイッチング』回路では、レジスタ回路を内蔵しているためゲイン変更値を1度送信するだけで最適なゲイン変更処理を全て自動で行うことができます。このためCPUへの負荷増大もなく、またソフトウェアの開発も容易に完了します。
その他『BD3484FS』、『BD3489FS』は、レベルメータ表示出力やスペアナ表示出力といった異なる機能、チャンネル数をもつロームサウンドプロセッサLSIシリーズと端子配置とレジスタマップを共通にして開発しました。機能でセットにランクをつける場合や仕向地別にセットの機能を変更する場合でも、入力セレクタや入力ゲイン、ボリウムゲインなどのベースプログラムを共通化できるため、CPUソフトウェアの大部分がそのまま使用できます。このためプログラム開発を短期間に効率よく行えることに加え基板の共通化も実現できます。今回開発の『BD3484FS』、『BD3489FS』は、長年オーディオLSIの開発で培ったノウハウで歪率0.007%、出力雑音電圧10.5Vrmsの最高レベルの音質も達成しており、『アドバンスト・スイッチング』技術よる高品位なゲイン切り替えと合わせて、最高レベルのカーオーディオ環境の実現に貢献します。
《BD3484FS、BD3489FSの主な特長》
1)アドバンストスイッチ技術により、音量・音質のゲイン減衰量の切り替えノイズ(ショック音)を大幅に軽減。
2)I2C BUSのレジスタマップを従来のロームサウンドプロセッサLSIとの間で統一しており、CPUソフトウェアの大部分を共通化できるためセット展開も容易。
3)従来のロームサウンドプロセッサLSIとの間で端子配置を統一しており、セット基板の共通化が可能。
4)イコライザ用フィルタ、サブウーハ用LPFを内蔵することで外付け部品を大幅削減。
5)サブウーハ接続対応で豊かな音空間を演出
6)車内空間にあわせた聴感補正に最適なラウドネス周波数の調整が可能(BD3484FS)
7)BBE ICやDSPを用いた音質補正などで付加価値をつけたい場合に有効な外部入出力端子を装備(BD3489FS)
1.用語説明
●サウンドプロセッサLSI
サウンドプロセッサLSIは、入力ソースセレクタ、入力ゲイン調整、メインボリウム、イコライザ回路をワンチップに内蔵したサウンドコントロールLSIです。MD、CD、TUNER、TAPE、AUXなどの入力信号はセレクタで切り替えゲインを調整した後、ボリウムやイコライザで音量やトーンのレベル切り替えをして出力します。
出力は機種によって4ch(前L、前R、後L、後R)から6ch(前L、前R、後L、後R、ウーハL、ウーハR)までをラインアップしています。またラウドネス対応、レベルメータ表示出力、NAVI入力、7バンドスペアナ出力対応といった機能を内蔵し様々なランクのカーオーディオに対応します。ロームは、今回のカーオーディオ用以外にも薄型TV用、ホームシアター用、BOOM BOX/ミニコンポ用のサウンドプロセッサを取り揃えています。
●ラウドネス機能
ラウドネスとは音量が小さくなると低音域と高音域の音が聞こえにくくなるという人間の耳の特性をサウンドプロセッサLSIで補正する機能です。カーオーディオでは使用される車種によって車内の広さや形が違うため、純正のカーオーディオでは車種ごとに音質が調整されています。ラウドネス機能は、車種に合わせて外付け部品で音質を微妙に調整します。
●スペアナ
スペクトラムアナライザの略で、音楽信号を視覚的に表現する装置です。音声帯域の周波数を分割してその帯域内にどのくらいの強さの音が入っているかが視覚的にわかります。7バンドであれば20Hzから20kHzを7つの帯域に分割します。低音の多い曲は低域が、高音の多い曲は高域が盛り上がって表現されます。
●レベルメータ
スペクトラムアナライザのような周波数帯域の分割はありません。レベルメータは1バンドのスペアナとも考えることができます。
●BBE IC
BBEはBBEサウンドインコーポレーテッドが開発した音響システムテクノロジです。
BBE回路はスピーカからの再生音を自然界の音に限りなく近い明瞭度で再現させるシステムです。
明瞭度が飛躍的に向上します。
●歪率
簡単に言えば音がどれだけ歪んでいるかの割合を表します。
この値が小さいほど音が歪まないので高音質となります。
2.製品写真
(※ 関連資料を参照してください。)
(※ 製品写真、添付資料は関連資料を参照してください。)