神戸製鋼、米子会社がエジプトから天然ガスベースの直接還元鉄プラントを受注
米国子会社のミドレックス社がエジプトから直接還元鉄プラントを受注
神戸製鋼グループの米国エンジニアリング会社であるMidrex Technologies, Inc.(以下ミドレックス社)は、エジプトのBeshay Steel(以下べシェイ・スチール社)から、年産能力176万トンの天然ガスベース直接還元鉄プラントを受注しました。契約範囲はミドレックス法のライセンス供与及び設備設計と主要な設備供給です。
新還元鉄プラントは、サダット市にありますベシェイ・スチール製鉄所内に建設され、2010年初頭に稼動する予定です。
今回受注した直接還元鉄プラントは、隣地の電気炉に還元鉄(DRI)を高温のまま直接供給するHOTLINK(注1)と呼ばれるシステムを導入します。HOTLINKは高温DRIを直接電気炉に供給できる画期的な技術です。
このシステムにより、温度損失が避けられる結果、電気炉操業に必要な電力(溶銑1トンあたり600kW/h)がおよそ3/4(450kW/h)ですみ、また電極の消耗も大幅に軽減できます。エネルギー効率に優れ、環境負荷を軽減する技術として、今後の還元鉄プラントにおいて期待されているシステムです。
プロセスの信頼性、還元鉄の均一な品質、設備の早期立ち上げのメリットを考慮し、ミドレックス法が選択されました。今回の設備増強により、北アフリカにおける鉄鋼メーカーとしてのプレゼンスを更に強化することが出来ると、ベシェイ・スチールは期待を寄せています。
【 HOTLINKについて 】
・DRIを600℃以上のまま電気炉に供給するシステムです。
(還元炉と電気炉の距離は約40メートル以下です)
・重力とコンベーヤーを使って高温DRIを搬送します。
・電気炉の生産性を約15%~20%向上することが可能になります。
・電気炉の操業コストを溶銑1トンあたり5~10ドル削減することが出来ます。
・電気炉の電力(溶銑1トンあたり600kW/h)がおよそ3/4(450kW/h)で済みます。
・電極の消耗が大幅に軽減できます。
べシェイのHOTLINKプラントは基本的に100%高温還元鉄を生産する予定ですが、冷温還元鉄も生産可能なプラントです。それにより、生産状況や需要動向に対して柔軟に対応できることになります。
【 べシェイ・スチール社の概要 】
社 名:Beshay Steel
本 社:エジプト国カイロ市
建設するサイト:サダット市(カイロ市の北西約90km)
(べシェイ社のエジプト・スチール製鉄所内)
【 新設設備 】
還元鉄プラント:年生産能力176万トン
稼動開始:2010年初頭
製 品:高温還元鉄(冷温還元鉄も可能)
【 生産設備 】
電気炉:年産能力120万トン
ビレット連続鋳造機
線材・棒鋼ミル(3機):年産能力165万トン(合計)
●べシェイ社向けHOTLINKの図
(※ 関連資料を参照してください。)