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2024'05.07.Tue
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2007'08.01.Wed

東北大学、木材チップなどセルロースの粉砕・加熱で高純度の水素ガスが高効率で発生

木材チップなどバイオマスの粉砕と加熱による高純度水素の発生
~温室効果ガスの削減対策の一環としてのバイオマスの利活用~

(直接,燃料電池用として活用可能な高純度水素が発生)


(説明)

 本学多元物質科学研究所(所長:齋藤文良教授)の張其武助教と齋藤文良教授の研究グループは、天然に大量に産出する木材チップなどのセルロースを乾式粉砕(メカノケミカル(MC)処理)し、それを加熱すると、高純度な水素ガスが高効率で発生する現象を見出しましたので、お知らせします。
 水素は、燃料電池などで利用が拡大することが期待されており、それを再生可能なエネルギー源であるバイオマスから、簡単にかつ高純度・高収率で製造できる手法の開発が望まれていた。張らが開発した手法は以下のとおりである。

1.セルロースと添加物(無機物)との混合試料を、図1に示す遊星ミルを用いて乾式粉砕(メカノケミカル(MC)処理)し、その産物を電気炉によりAr中で加熱し,ガスを発生・定量分析・評価した。

2.発生ガスの定量分析結果より,4種類のガスが検出され,そのモル比(%)は、H2:93.5%,CH4:6.4%で,COとCO2は極めて少なく,リン酸塩型燃料電池に直接供給できる程度の高純度水素(CO許容濃度が1%以下)である。

3.添加物は金属水酸化物であり,この物質はある種の反応速度促進剤的役割を演じる。

4.ガス発生後の固体粉末の写真を図2に示すが,その組成は,CaO,CaCO3などである。特に、CaCO3の割合からセルロースからのCO2の転化・固定化率は80%程度であり,メタンなど炭化水素ガスの発生は少ないことからセルロースからの水素生成割合は相当高い。

5.本詳細については2007年9月に行われる化学工学会秋季大会(北海道大学)にて発表予定である。

 現在,木材チップなどを用いた確認実験を行っているが,本手法はきわめて簡単である上,間伐材などをも含めた廃棄木材なども処理対象になり,大量に水素製造が可能であるなど、実用化が一気に進むものと期待される。特許出願済み。

●図1 セルロースのMC処理に用いた遊星ミル
●図2 MC処理後熱処理したセルロース試料を加熱した際に発生したガス回収容器(ガスバッグ)の写真(A:水素+キャリアガス,B:キャリアガスのみ)
 (※ 関連資料を参照してください。)


(関連資料)

◆メカノケミカル(MC)処理
 メカノケミカル(MC)処理とは,粉砕処理と同義であるが,粉砕は固体を細かくすることを目的にしているのに対して,MC処理は,粉砕処理によって固体の結晶構造を変化させ,結合状態変化によって発現する物理化学的性質の変化や活性化を利用した様々な化学反応を起すことが目的である。そのエネルギーレベルは、熱化学を上回るといわれ、これまでにも多くのユニークな現象が報告されてきた。異種物質の粉砕では、不安定(活性)な中間物質の生成を経て固相反応が達成されるが、この変化は、加熱・溶融法における経路とは異なる。メカノケミカル(MC)法の基本原理より引き出される物質の原子・分子レベルの固相を取り巻く雰囲気との相互作用から、湿式あるいは加熱法と組み合わせることにより資源からの有価物(固体や気体)回収が可能になる場合が多い。本法では,乾式粉砕によって,セルロース結合を変化させ(ゆるくし),加熱処理によって結合から水素を選択的に離脱させて高純度水素を発生させることを可能にした。

◆リン酸塩型燃料電池用水素ソース
 燃料電池は、水の電気分解の逆反応で、水素と酸素の化学反応から直接発電することができる高効率でクリーンな発電方法として、いくつかの方式について開発が進められている。燃料電池として固体酸化物型燃料電池(SOFC)や固体高分子型燃料電池(PEFC),溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC),リン酸水溶液を用いた燃料電池などがあるが,特に,リン酸水溶液を用いた燃料電池は200℃付近の低温動作が可能で、商用化段階まで開発が進んでいる。この燃料電池用水素は高純度であることが要求され,特にCO許容濃度が1%以下となっている。

◆セルロース
 セルロースとは、植物の細胞壁の主成分で、地球上に最も存在量が多い高分子であり、(C6H10O5)nと非常に巨大な分子構造をしている。樹木は、その7割がセルロース類で構成され、セルロース同士が絡まり束になって強い細胞組織を作っている。セルロースは、グルコースが結合した多糖類の一種で、不溶性であるが親水性が強く、化学的に安定し加水分解しにくい。しかし、安定なセルロースも酵素や濃い酸やアルカリによって分解され、目的に応じて溶解性や親水性と疎水性のバランスを比較的容易に変えることができ、工業用品や食品など幅広い用途がある。セルロースが含まれるものとして,植物(樹木、作物など),植物から生成されたもの(紙、木材、食品など),古紙、家畜排せつ物、食品廃棄物、建築発生木材、下水汚泥などの廃棄物などがある。

◆遊星ミル
 遊星ミルは,粉砕機の一種であり,公転運動する回転盤上に粉砕容器が自由に自転運動できるような構造になっており,回転盤が1回転すると容器は逆方向に1回転するのが最も一般的である。容器には媒体(ボールやビーズ)と粉砕試料(固体)を入れ,回転盤を回転させることによって容器が廻り,内部の媒体運動によって試料が細かく粉砕される。粉砕によって構造変化や活性化などのメカノケミカル(MC)効果が現れる。


(※ 図1,2は関連資料を参照してください。)

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