慶應義塾と電通、共同研究拠点「慶應義塾セカンドライフキャンパス」を設置
慶應義塾と電通がセカンドライフ内での共同研究を開始
「慶應義塾セカンドライフキャンパス」で、日本で初めて大学の講義を公開
学校法人慶應義塾(本部:東京都港区、安西祐一郎塾長、以下慶應義塾)と株式会社電通(本社:東京都港区、高嶋達佳社長、以下電通)は、世界的に人気が高まっている3Dバーチャルコミュニティ・サービス「セカンドライフ」(*1)等、メタバース(仮想世界)における社会的・制度的課題、遠隔教育・生涯教育、マーケティング活動への適用可能性、技術的発展可能性に関する共同研究を実施します。
共同研究にあたり、電通がセカンドライフ内に本年8月に開設する仮想都市空間「バーチャル東京」(*2)内に、共同研究拠点「慶應義塾セカンドライフキャンパス」を設置し、共同研究グループは同キャンパスを舞台に実証実験を行うことにより、仮想社会の様々な課題の解決に資する成果をめざし、それとともに、3Dバーチャルコミュニティにおける教育コンテンツの可能性や将来の教育のあり方について多面的に検討します。
1.共同研究の概要
電通がセカンドライフ内に開設する仮想都市空間「バーチャル東京」内に、共同研究拠点「慶應義塾セカンドライフキャンパス」を設置します。キャンパスの土地およびその管理権限は電通から慶應義塾大学SFC研究所に提供され、研究者グループは、この土地を活用して研究を推進します。
面積はSIM(256×256メートル、16エーカー)を一つの単位とし、当面は1 SIMが提供されます。
ここを舞台に、下記の研究を行います。
(1)慶應義塾はセカンドライフキャンパスにおいて、KEIO University SFC Global Campus(*3)などを通じて今まで経験を積んだ遠隔授業の手法をもとに、新しい教育を模索する予定です。
慶應義塾で今までに蓄積された教育映像コンテンツを用い、教育分野におけるセカンドライフの可能性を検証していきます。大学の正規科目の講義のセカンドライフ内での公開は、日本初の試みとなります。
(2)慶應義塾はセカンドライフキャンパスおよびバーチャル東京内において、セカンドライフ内における生活者の行動、および仮想通貨などの経済活動についての研究を行います。
セカンドライフ上で流通する仮想通貨「リンデンドル」などを用い、ゲーム内の仮想経済のメカニズム、生活者の行動分析、法的・倫理的課題などについて研究を行うほか、セカンドライフの技術的側面に関して、開発元のリンデンラボ社と連携しつつ研究を行います。
2.研究体制
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス・SFC研究所から村井純環境情報学部教授、稲蔭正彦環境情報学部教授、金子郁容政策・メディア研究科教授、國領二郎総合政策学部教授らをはじめとする、インターネット、デジタルメディア、これらの新技術の社会活用を専門とする研究者が参加します。
電通はマーケティング部門、メディア・コンテンツ部門が共同研究に参加するほか、電通グループ各社からも協力を得てバーチャルキャンパスの構築・運営にあたり支援を行います。
(*1) 米国3Dバーチャルコミュニティ・サービス「セカンドライフ」
米国リンデンラボ社が開発・運営するインターネット上の三次元仮想社会で、世界100カ国以上からの参加者を持つ。この仮想社会の中で住民は、家、乗り物、ナイトクラブ、店、風景、洋服、ゲームなどを自ら創造し、プレイできる。
参加者は、革命的に新しい形式の共有型三次元体験を生み出すためにフィリップ・ローズデールが1999年に創立したリンデンラボ社による、最先端の開発プラットフォーム「セカンドライフ・グリッド」上でプレイする。リアルネットワークス社の前CTOでもあったローズデールは、RealVideo など、現在のストリーミング媒体技術の開発を指揮した人物でもある。2003年4月には著名なソフトウェア開発者でありロータス・デベロップメント・コーポレーションの創立者であるミッチ・ケイパーがリンデンラボ社会長に就任した。2006年にフィリップ・ローズデールとリンデンラボ社はWired誌の「Rave Award for Innovation in Business」賞を受賞した。サン・フランシスコに本社を置くリンデンラボ社は、物理、三次元グラフィックス、ネットワーキングの領域で卓越した経験を持つ、優秀なチームを有する。
(*2) 「バーチャル東京」
電通×水口哲也(キューエンタテイメント代表取締役CCO)のコラボレーションで実現する、「元気×未来×TOKYO」をコンセプトとした総合仮想都市である。
「バーチャル東京」は東京が持つイメージ、エネルギーを凝縮し、そこから生み出されるポップカルチャーを世界に発信する。また、一方的なコンテンツの提供ではなく、クリエイター(=ユーザ)が積極的に関与する場を作る事で、常に変化する街「東京」のダイナミズムをセカンドライフ上に再現する。「バーチャル東京」は85万平方メートルに及ぶ、セカンドライフ有数の仮想都市であり、スタジアムや美術館を備える公共ゾーン、学び・体験・商業などのゾーンから構成される。
(*3) KEIO University SFC Global Campus ( http://gc.sfc.keio.ac.jp/ )
慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)では、キャンパス内の講義をグローバルに共有し、学外の学習者に役立てるため、KEIO UNIVERSITY SFC GLOBAL CAMPUS (SFC-GC)を2002年から開始している。2002年秋学期~2007年春学期の合計で297授業(各13講義)=約4000講義のビデオマテリアルコンテンツの公開実績がある。現在、慶應義塾大学の学生以外の方もSFC-GCを用いて科目履修できる制度「e-科目」が導入されているほか、無料提供されているコンテンツについては、ユーザ登録不要で視聴することが可能である。