武田薬品、スイス社と希少疾患デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬の販売契約を締結
希少疾患デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療薬(イデベノン)に関する
Santhera社との販売契約の締結について
8月1日、当社が創製したイデベノン(一般名、開発コード:SNT-MC17)について、デュシェンヌ型筋ジストロフィー(1)(Duchenne Muscular Dystrophy、以下「DMD」)の効能について欧州を対象とした販売契約をSanthera Pharmaceuticals (Schweiz) AG (2) (本社:スイス、以下「Santhera社」)と締結しました。なお、当社はイデベノンについて2005年7月にSanthera社とフリードライヒ失調症(Friedreich's Ataxia,以下「FRDA」)治療薬としての欧米での共同開発・販売に関する契約を締結しています。
今回の契約により、当社はEUおよびスイスにおける独占的販売権を獲得し、契約一時金2百万ユーロに加え、第3相臨床試験開始時、欧州での承認申請時ならびに承認取得時のマイルストンとして合計18百万ユーロ、売上高に応じたロイヤルティをSanthera社に支払います。一方、Santhera社には当社がこれまでに実施した非臨床・臨床試験成績の参照権が供与されます。なお、本製品はSanthera社より供給され、北米における販売は同社が行います。
イデベノンは、DMD治療薬として、EUおよび米国で、オーファン・ドラッグ指定を受けており、現在、Santhera社は、ベルギー・Leuven大学で第2相臨床試験を実施しています。その結果は本年後半に公表される予定です。
DMDに対するイデベノンの効果については、DMDの動物モデルであるmdxマウスにおいて、耐久運動能力および心筋機能に関する指標の改善が認められています。(3)
当社の代表取締役社長 長谷川閑史は、「今回のSanthera社との契約締結を嬉しく思います。有効な治療法がなく、患者さんの生命を脅かしているFRDAやDMDの治療薬として、イデベノンが一日も早く承認されることを期待しております」と述べています。
Santhera社のCEO Klaus Schollmeierは、「イデベノンについては、FRDAに加えてDMDに対しても有効であることを示唆する知見が得られています。今回の武田薬品とのDMDを対象とした契約締結により、イデベノンの製品価値の最大化を追求してまいります」と述べています。
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(1) デュシェンヌ型筋ジストロフィーについて
デュシェンヌ型筋ジストロフィーは筋ジストロフィー症の中でも、最も頻度が高い病型であり、米国、欧州、日本合計で約3万人の患者がいるとされ、出生男児約3,500人につき1人に発症します。X染色体に存在するジストロフィンが欠損しているために発症する遺伝性疾患でカルシウム調節機能が損なわれ、筋肉細胞の酸化が亢進し、筋肉が劣化します。進行が早く、3~5歳で発症し、10歳代になると歩行能力を失い、拡張型心筋症と合併することが多く、30歳台には死亡にいたることもある疾患です。
(2) Santhera社について
Santhera社は重篤な神経筋疾患を対象とした低分子化合物治療薬の創薬・開発・販売に特化しており、この分野における希少疾患におけるアンメット・ニーズを満たすことを目的としています。現在、イデベノンについてはFRDA、DMDに加えてLeber病(Leber's hereditary optic neuropathy)の効能についても臨床試験を実施しています。その他、JP-1730(一般名:フィパメゾール)のパーキンソン病における運動障害、SNT-317(一般名:オミガピル)の先天性筋ジストロフィーについても、臨床試験を実施しています。なお、イデベノンにおけるFRDA効能については、現在、EUにおいては欧州医薬品庁(EMEA)への申請準備中であり、米国においては第3相臨床試験を実施中です。
(3) 学会発表論文について
Gunnar M. Buyse et al., (2007) A Long-term Blinded Controlled Efficacy Study of SNT-MC17/ Idebenone in the Dystrophin-Deficient MDX Mouse, abstract and poster presented at the American Academy of Neurology's 59th Annual Meeting in Boston, MA, April 28 to May 5, 2007
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