農業生物資源研究所など、超低温で保存した体外受精卵から子ブタの誕生に成功
超低温(-196℃)で保存した体外受精卵から子ブタの誕生に成功
-ブタの効率生産に大きく貢献-
(独)農業生物資源研究所と麻布大学は、ブタの体外受精卵を液体窒素中(-196℃)で保存した後、借り腹となる雌ブタに移植することによって妊娠・出産に成功しました。ブタの受精卵の超低温保存は、家畜の中では最も難しい技術の一つでしたが、超低温保存した体外受精卵(1細胞期胚)で子豚を誕生させた最初の成功例です。
この技術は、稀少なブタの品種など遺伝資源の長期保存へ大きく貢献するとともに、クローンブタ、遺伝子組換えブタ等の貴重なブタ系統の長期間維持というブタの研究を進めて行く際の緊急な問題となっている受精卵の確保を容易にすることができると考えられます。さらに、これまでの技術では困難であったブタの未受精卵の超低温保存法の開発への応用も期待されます。
なお、今回の受精卵は、未成熟卵を体外で成熟させた後、体外受精により作出したもので、1ヶ月間超低温で保存した後に雌ブタに移植したところ、移植後約60日で妊娠が確認され、5頭の子ブタ(雄3頭ならびに雌2頭)が6月11日に誕生しています。それらの子ブタは現在、元気に成育しています。また、もう2頭においても現在同様の試験を行っており、1頭については妊娠が確認されています。