メディネット、CTL誘導能を従来の約1千倍向上する新規樹状細胞加工技術を提供
メディネット、樹状細胞のCTL誘導能を従来に比べて約100倍向上する
新規樹状細胞加工技術の提供を開始
株式会社メディネットは、平成19年8月6日、樹状細胞ワクチン療法の治療効果向上に向け、樹状細胞の感作にゾレドロン酸を用いることでCTL誘導能を従来に比べて約100倍向上する、新たな樹状細胞加工技術の提供を開始いたします。
樹状細胞ワクチン療法は免疫細胞療法の一種で、樹状細胞によって体内でがん細胞を特異的に攻撃するTリンパ球(CTL)を誘導し攻撃させる治療法です。樹状細胞は、がん細胞に由来するペプチドもしくは貪食したたんぱく質をがん抗原としてTリンパ球に提示することにより、CTLを誘導する働きがあります。従って、樹状細胞のTリンパ球へのがん抗原提示能を高めることができれば、CTLをより大量に誘導することができ、治療効果の向上が期待できます。
この度提供を開始する新規樹状細胞加工技術は、メディネットと瀬田クリニックグループが共同で開発した加工法※で、樹状細胞をゾレドロン酸で感作させることにより、樹状細胞のTリンパ球へのがん抗原提示能を高めることを実現しました。
※メディネットにより特許出願中
・公開番号:WO2006/006638、発明の名称 「樹状細胞、該樹状細胞を含む医薬、該樹状細胞を用いた治療方法および T細胞の培養方法」
・公開番号:WO2007/029689、発明の名称「抗原提示細胞の活性化処理方法」
メディネットがヒトの細胞を用いて行なった実験では、ゾレドロン酸で感作された樹状細胞の腫瘍抗原特異的CTLの誘導能が、従来に比べて最適条件下で約100倍向上することを確認しています。また、本樹状細胞が T細胞を同時に活性化・増殖させることも確認しており、この活性化された T細胞によって樹状細胞のCTL誘導能が向上したと考えております。これらの結果から、ゾレドロン酸で感作された樹状細胞が腫瘍を殺傷する機能をもったCTLと T細胞の両細胞を効率よく誘導し、抗腫瘍効果、治療効果を向上するものと期待できます。
メディネットは、樹状細胞療法による治療効果向上を図るべく、樹状細胞の加工を全面的に本技術に切り替えます。また、本加工技術と本年4月より無償化した患者のがん組織を保管するサービス『自己がん組織バンク』との相乗効果で、樹状細胞ワクチン療法を受診しやすい環境を提供し、患者の治療選択肢を広げるとともに、樹状細胞ワクチン療法をはじめとする免疫細胞療法の普及を推進してまいります。
なお、メディネットの契約医療機関である医療法人社団 滉志会 瀬田クリニックグループにおいては、これまで樹状細胞ワクチン療法の実施にあたって、基本的に活性化自己リンパ球療法(CD3-LAK療法) を組み合わせた『樹状細胞ワクチン療法プラス活性化自己リンパ球療法』が行なわれていましたが、新規技術の導入を機に樹状細胞ワクチン療法単独での治療も開始されることになりましたので、併せてお知らせいたします。
以 上