小野薬品、英国セネス社と短時間作用型全身麻酔薬のライセンス契約を締結
英国セネス社と新規の短時間作用型全身麻酔薬についてライセンス契約を締結
小野薬品工業株式会社(本社:大阪市、社長:是金俊治)は、セネス社(本社:英国ケンブリッジ、CEO:Neil Clark)から、セネス社が開発中の全身麻酔薬「CNS-7056」(開発コード)を日本で、独占的に開発・販売する権利を取得しましたのでお知らせします。今回の契約に基づき小野薬品はセネス社に、契約一時金、開発段階に応じたマイルストンおよび売上高に応じたロイヤルティを支払います。
CNS-7056は、GABAA受容体(*)に作用する新規な短時間作用型全身麻酔薬です。基礎実験で、本剤は静脈内投与と同時に速やかに鎮静効果を示し、持続投与することで安定した薬効を発揮することが確認されています。また、本剤はエステラーゼと呼ばれる酵素によって速やかに代謝され、薬剤投与終了後に速やかに鎮静効果が消失することから、臨床的には全身麻酔の導入及び維持、ならびに集中治療における人工呼吸管理中の鎮静剤として開発できるものと期待しております。
なお、セネス社は来年前半に米国でフェーズI試験を開始する予定で、小野薬品も来年後半にも国内においてフェーズI試験を開始する予定です。
小野薬品の専務取締役開発本部長である松岡昌三氏は、「今回の契約は本年3月に新設した事業戦略本部の活動計画に沿うものであり、CNS-7056は前臨床化合物でありますが、調節性や安全性に優れることが期待され、安心してご使用していただける麻酔薬になるものと期待しています。
本プロジェクトに関してセネス社と協力して開発を進めていけることを楽しみにしております。」と述べております。
セネス社の取締役社長であるニール・クラーク氏は、「『病気と苦痛に対する人間の戦いのために』を経営理念として、多くの独創的な新規医薬品を創製し、高い開発力を有する小野薬品と提携できることを喜んでいる。セネス社は、一日も早くCNS-7056を医療現場および患者さんに届けるべく、小野薬品と協力して開発を進めていくことを楽しみにしている。今回の提携によって、セネス社が優れたパートナーと導出契約していけることが示された。」と述べております。
以上
<参考>
*GABAA受容体について
GABA(γ(ガンマ)-アミノ酪酸:gamma aminobutyric acid)は、アミノ酸の一種で脳内において神経伝達物質として働いています。GABAは、大脳皮質、小脳、海馬、脳幹部などにあるGABA受容体に結合することにより、鎮静、催眠、抗不安、抗痙攣などの作用を示し、神経活動を抑制する働きをしています。GABA受容体には、GABAA、GABAB、GABAC受容体の3種類が知られており、GABAA受容体にはGABA結合部位のほかにベンゾジアゼピン結合部位が存在します。ベンゾジアゼピン系誘導体であるCNS-7056は、GABAA受容体の中のベンゾジアゼピン結合部位に結合し、GABAの結合部位へのGABAの結合を増大させ、GABA受容体の機能を亢進させて鎮静効果を発揮します。
セネス社(CeNeS Pharmaceuticals plc)について
セネス社は、疼痛コントロール、鎮静及びパーキンソン病等のその他の中枢性疾患に対する薬剤の開発及び商業化を専門とするバイオ医薬品会社です。会社は英国ケンブリッジです。詳細についてはセネス社のホームページ( www.cenes.com )をご覧下さい。