アナログ・デバイセズ、Ｂｌａｃｋｆｉｎプロセッサが海底パイプライン監視用部品に採用
アナログ・デバイセズのＢｌａｃｋｆｉｎ（Ｒ）プロセッサが、
世界初の海底パイプライン監視システムの中核部品に採用
ノルウェーのビョルゲ社が北海沖天然ガス開発用に
～ 最深８５０ｍの海底で、６カ月以上バッテリ動作する最新の音響監視システムを駆動 ～
アナログ・デバイセズ社（ニューヨーク証券取引所：ＡＤＩ）は、本日、同社のＢｌａｃｋｆｉｎ（Ｒ）プロセッサが、世界初の分散同期型海底パイプライン監視システムの中核部品として採用されたことを発表しました。この監視システムは、ノルウェーの過去最大規模の産業プロジェクトである北海オルメン・ランゲ天然ガス田の開発用に、ノルウェーのビョルゲ社（Ｂｊｏｒｇｅ ＡＳ）がＮＡＸＹＳテクノロジーを用いて開発しました。ＮＡＸＹＳテクノロジーには、海面下での監視と解析という複雑なタスクを行うために、水中音響や非接触センサー技術が用いられています。
この監視システムは、ナショナルインスツルメンツのＡＤＩ Ｂｌａｃｋｆｉｎプロセッサ対応ＮＩ ＬａｂＶＩＥＷ（ＴＭ）組込システム開発モジュールを用いて開発されました。Ｂｌａｃｋｆｉｎプロセッサ対応ＬａｂＶＩＥＷ組込システム開発モジュールは、グラフィカル開発環境「ＬａｂＶＩＥＷ」で開発したプログラムを直接ＡＤＩのＢｌａｃｋｆｉｎプロセッサに実装するためのソフトウェアです。
オルメン・ランゲ海底ガス田での採掘が２００７年秋に始まると、最大８５０ｍ（２，７８８フィート）の海面下から、長さ１２０ｋｍ（７５マイル）のパイプラインを通して、海岸の生産施設にガスが汲み上げられます。ビョルゲ社は、内部のガスの流れや北海という過酷な環境下での強い潮流によって生じるパイプラインの振動を監視するため、音響を用いて複数のセンサー・ノードを同期させるシステムを開発しました。各ノードは、５００ＭＨｚで動作するＢｌａｃｋｆｉｎプロセッサ「ＡＤＳＰ－ＢＦ５３３」によって駆動されます。ビョルゲ社は、プロジェクトに課せられた厳しいスケジュール要求を満たすために、多機能ミックスド・シグナルと通信機能を備えたＡＤＩのＢｌａｃｋｆｉｎプロセッサをベースとした低消費電力汎用プラットフォーム「Ｚｍｏｂｉｌｅ」＜スイスのシュミット・エンジニアリング（Ｓｃｈｍｉｄ Ｅｎｇｉｎｅｅｒｉｎｇ）社製＞を採用しました。
Ｂｌａｃｋｆｉｎ対応ＬａｂＶＩＥＷ組込システム開発モジュールおよびＺｍｏｂｉｌｅプラットフォームにより、監視システムの厳しい納期要求を満たし、さらに北海という極限条件に耐えられるツールが実現しました。
予算／仕様に適合するＢｌａｃｋｆｉｎ
ビョルゲ社がＢｌａｃｋｆｉｎプロセッサを採用したのは、Ｂｌａｃｋｆｉｎアーキテクチャが、複雑な組込みソリューションを実現するために必要な制御と信号処理リソースを兼ね備えているためです。Ｂｌａｃｋｆｉｎは、マイクロコントローラと信号処理の両機能を１つの統合コアで提供し、デュアルＭＡＣ信号処理エンジンと、直交ＲＩＳＣ様マイクロプロセッサ命令セットおよびＳＩＭＤ（単一命令複数データ）機能の優位性とをあわせて提供するのが特長です。このアーキテクチャは、分散型音響処理および解析の作業負荷に対して、最適なプラットフォームとなります。
同社の監視システムの中核部にあるセンサーは、１回のバッテリ充電で、最長６カ月間作動する必要があるため、Ｂｌａｃｋｆｉｎプロセッサの卓越したパワー・マネジメント機能も、ビョルゲ社が採用を決定した大きな理由でした。Ｂｌａｃｋｆｉｎプロセッサは、低消費電力で低電圧の設計方法論によって設計されています。
さらに、ダイナミック・パワー・マネジメントも特長としており、動作電圧と周波数を変えることで、全体的な消費電力を大幅に低減することができます。
ビョルゲ社のシニア・エンジニアＨａｒａｌｄ Ｍａｎｕｍ氏は次のように述べています。「オルメン・ランゲ・ガス田向けパイプライン監視システムの開発は、ビョルゲにとって困難ではあるもののやりがいのあるプロジェクトでした。当社は、物理的サイズと消費電力に関する非常に厳しい制約に対応し、しかも、きわめて複雑な解析と制御プログラムを駆動するための力強い演算能力をもつソリューションを、迅速に設計しなくてはなりませんでした。ナショナルインスツルメンツのＬａｂＶＩＥＷ組込システム開発モジュールを用いた新しいグラフィカル組込みシステム設計方式は、ビョルゲにとってこの課題をクリアするために欠かせないものでした。また、ＡＤＩのＢｌａｃｋｆｉｎは、そのジョブを遂行することができる唯一の組込みプロセッサでした」
アナログ・デバイセズ社の汎用ＤＳＰグループ担当ヴァイス・プレジデント、ジェリー・マクガイヤ（Ｊｅｒｒｙ ＭｃＧｕｉｒｅ）は、次のように述べています。「組込みプロセッサとしてのＢｌａｃｋｆｉｎの強力さはすでに実証されてきましたが、ビョルゲ社のユニークなアプリケーションにより、その強さが改めて際立ちます。市場投入までの時間、コンパクトなサイズ、超低消費電力、そして最先端のプロセッサ性能という厳しい要求に応えるための最適な選択肢が、Ｂｌａｃｋｆｉｎプロセッサです」
今後、機能統合された機器はＢｌａｃｋｆｉｎクラスの処理能力を要求
ＡＤＩのＢｌａｃｋｆｉｎプロセッサは、マルチフォーマットのオーディオ、ビデオ、音声および画像処理、マルチモードのベースバンドとパケット処理、リアルタイムのセキュリティやコントロール処理といった機能の統合処理が不可欠なアプリケーション向けに、業界最高の性能と消費電力効率を兼ね備えた新しい種類の１６／３２ビット組込みプロセッサです。Ｂｌａｃｋｆｉｎプロセッサは、マイクロコントローラ（ＭＣＵ）とデジタル信号処理（ＤＳＰ）機能を１つの集積チップに統合した強力でスケーラブルなソフトウェア・プログラマブル・アーキテクチャになっており、デジタル・ホーム・エンターテインメント、ネットワークやストリーミング・メディア、自動車用テレマティックスとインフォテインメント、デジタル・ラジオやモバイルＴＶなどの機能統合されたアプリケーションに、広く採用されています。
今日、開発者は、最終製品の機能に直接関われるような堅牢なエコシステムを選び、市場投入までの時間を短縮しようとしています。ＡＤＩは、このような開発者をサポートするために、Ｂｌａｃｋｆｉｎプロセッサを用いた開発向けの使いやすいＡＤＩ ＣＲＯＳＳＣＯＲＥ（Ｒ）ソフトウェアとハードウェア・ツールをはじめとする高性能のツール、スタータ・キット、およびサポートを提供しています。その中には、業界で高い評価を得ているＶｉｓｕａｌＤＳＰ＋＋（Ｒ）統合開発とデバッグ環境（ＩＤＤＥ）、エミュレータ、ＥＺ－ＫＩＴ Ｌｉｔｅ（Ｒ）評価ハードウェアなども含まれます。
アナログ・デバイセズについて
アナログ・デバイセズ（ＡＤＩ）は、技術革新、高性能、そして卓越した技術力を企業文化として継承し、半導体市場において長期にわたり高い成長を示してきました。
ＡＤＩは、データ・コンバージョンとシグナル・コンディショニング技術の世界的リーディング企業として業界で高い評価を得ており、あらゆる種類の電子機器分野を取り扱う世界各国６０，０００社以上の顧客に製品を提供しています。アナログおよびデジタル信号処理アプリケーションに用いられる高性能集積回路の世界的なリーディング・メーカーとして、４０年以上の歴史を誇るＡＤＩは、本社をマサチューセッツ州ノーウッドに構え、全世界で約８，９００人の従業員を擁します。製造工場は、マサチューセッツ、カリフォルニア、ノース・カロライナ、アイルランド、フィリピンにあります。アナログ・デバイセズはニューヨーク証券取引所に上場しており（ティッカ－：ＡＤＩ）、ＡＤＩはＳ＆Ｐ ５００インデックスに挙げられています。
ナショナルインスツルメンツ社について
ナショナルインスツルメンツ社（ www.ni.com ）は、エンジニアや科学者が計測、オートメーション、組込アプリケーション用システムを設計、試作、実装するための新たな方法を提案しています。ＬａｂＶＩＥＷなど、オフザシェルフ（既製）ハードウェア製品の有効活用を実現するソフトウェアや、コスト効率の高いモジュール式計測制御ハードウェアを提供することで、柔軟性・拡張性に富んだテストソリューションの構築を支援します。ＮＩ製品は全世界で２５，０００社を超える導入実績があり、総収入の売上３％を超える業界、または、１０％を超える企業がないことからも、幅広い業界において多数の企業のお客様にお使いいただいていることがわかります。米国テキサス州オースティンに本社を持ち、従業員は４，３００名以上、セールスオフィスは４０ヶ国以上にあります。 米国においては、Ｆｏｒｔｕｎｅ誌に掲載されるＴｈｅ １００ Ｂｅｓｔ Ｃｏｍｐａｎｉｅｓ ｔｏ Ｗｏｒｋ Ｆｏｒ（アメリカで最も働きがいのある会社）に過去８年間連続して選ばれています。
※Ｂｌａｃｋｆｉｎ、ＣＲＯＳＳＣＯＲＥ、ＶｉｓｕａｌＤＳＰ＋＋、およびＥＺ－ＫＩＴ Ｌｉｔｅはアナログ・デバイセズ社の登録商標です。ここに挙げたその他の商標はすべてそれぞれの所有者の財産です。
－－－ 製品に関する読者からのお問い合わせ先 －－－
アナログ・デバイセズ株式会社 広報・宣伝部
電話 ０３－５４０２－８２７０
marcom.japan@analog.com