全日本食品とフューチャー、業務プロセス最適化のITシステム「HEART ONE」を構築
全日本食品、フューチャーとBPRを実施、
中核となる新システム"HEART ONE"を構築
~オープン系システムで分析機能を強化、引き続き基幹系システムにも拡大へ~
ボランタリーチェーン(以下VC)大手の全日食チェーンの本部機能を担う全日本食品株式会社(本社:東京都足立区、代表取締役社長:齋藤充弘)は、フューチャーアーキテクト株式会社(旧商号:フューチャーシステムコンサルティング株式会社、所在地:東京都品川区、代表取締役社長 安延 申、以下フューチャー)と共同で、商品供給、物流、リテールサポートから加盟店までを含めた業務プロセス最適化の中核となるITシステム"HEART ONE"の構築を行いました。今回パイロット稼動を開始したのは、本部・協同組合・店舗を結ぶ基盤ネットワークと情報系システムで、在庫管理機能の強化により各加盟店の在庫データを基にした推計が可能となります。
食品分野を含め小売業界の再編や寡占化は急速に進んでおり、大規模チェーンと対抗する独立中小店の経営課題は大変厳しい状況にあります。全国で約1,800店余の加盟店で組織化される全日食チェーンは、"独立と自助の精神"を持つミニスーパーおよび個人商店の経営者で構成され、地域別の14の協同組合、本部機能を代位する全日本食品株式会社を通じた共同仕入れのスケールメリットを実現し、さらに価値・理念・目的などの共有もしています。また、単独チェーンや個人商店では解決が難しい問題でも、各地区の協同組合を軸に同業者同士が知恵を持ち寄って解決し、単独の個人商店では困難な「地域商業復権の実践」を目指しています。
大規模チェーンの出店攻勢や少子高齢化社会の本格化など、外部環境の変化に対応が求められる中、全日本食品株式会社では経営戦略とITの統合的な再検討を経営トップが率いるBPRプロジェクトチームをフューチャーアーキテクトと結成し、VC全体の業務プロセスの再検討および業務システムの再構築プロジェクトを2005年より推進して参りました。
独立した中小店が同一商圏内で大規模チェーンと競合するには、店舗や本部だけでなく仕入先を含めてVC全体が大規模チェーンと同じ精度やレベルのSCM(サプライチェーンマネージメント)機能や業務標準化およびVC全体での連携・効率の向上の実現が必要でした。
従来は、システムベンダーへの依存度や保守費用が高いメインフレームベースのシステムを利用しており、加盟店・協同組合・本部が消費者ニーズを容易かつ適確に活用することが困難でした。そこでシステム全体が柔軟で拡張性の高いオープンシステムアーキテクチャーをベースに、新システム"HEART ONE"の構築を行いました。Sun/Solaris 10を中心としたUNIXサーバ群で構成され、ミドルウェアにはフューチャーが独自に開発したJavaベースのフレームワーク技術であるリアルタイムフレームワークアーキテクチャーを用いたアプリケーションサーバ、データベースはオラクルのOracle Real Application Clusters 10g(Oracle 10g RAC)で負荷分散と並列処理を行い、大量データ処理の高速化と無停止運用(計画停止を除く)を実現しています。なお、SunのSolaris 10/Sun StorageTek QFSとOracle 10g RACの組み合わせは日本初の導入事例となります。
今回のシステムによって定番商品の自動発注、推奨発注、死に筋商品から売れ筋商品への改廃作業など従来の手入力作業と比較して加盟店の発注精度や労働生産性の向上を実現します。また廃棄ロス管理機能の導入によって、より正確な損益データの把握が加盟店でも可能となります。本部では各加盟店への出荷数量とPOSデータをベースに販売・仕入れの自動計上が可能となり、VC全体で"機能向上の連鎖"を実現します。また販売実績データ分析の強化によって、様々な分析軸で部門から単品までの販売傾向の把握が可能となり、同時にその精度も向上します。
全日本食品株式会社では、今後も物流システムを含む基幹系システム全体の刷新と全国展開を進め、2008年春には請求データの電子化まで計画しています。自社データセンターへの活用までを含め、"HEART ONE"への移行は2008年を目処に、添付システム構成図の規模を予定しています。さらに電子マネーへの対応など市場の変化に迅速に対応する必要から、全体計画は適宜見直しする予定です。"HEART ONE"は、そうした市場のニーズに柔軟な対応が可能であり、VCの絶対的な競争力を生み出す源になります。
<添付資料:同システム構成図>
※添付資料を参照
両社は今後も社会の進化を見越した流通小売業分野でのサービスや商品の提供を目指し、最適なパートナー関係を継続しながら、「地域商業復権の実践」を通じて社会への貢献を目指します。
以 上