クラレ、ポリアリレート系スーパー繊維「ベクトラン」の生産設備を増強
スーパー繊維<ベクトラン>の生産設備増強
グローバル戦略の第一歩と位置付け
当社は、このたびポリアリレート系のスーパー繊維<ベクトラン>の需要増加に対応するため、クラレ西条株式会社(愛媛県西条市)での生産設備を増強します。総額7億円を投じ、紡糸設備の新設と重合設備のデボトルを行い、現在の600トン/年から1000トン/年体制に持っていきます。完工時期は2007年10月の予定です。
クラレは、1990年に当時のクラレ西条工場で<ベクトラン>の生産をスタートさせましたが、2005年4月には米国サウスカロライナ州にあるCelanese Advanced Materials Inc.(CAMI社)の<ベクトラン>事業を買収し、当社の米国現地法人Kuraray America Inc.(KAI社)の新規事業部としてスタートしました。これにより、<ベクトラン>繊維はクラレグループが世界でただ一社生産することとなり、その後、世界市場での更なる展開・拡販を図っています。
このポリアリレート系繊維<ベクトラン>は、一般的にはスーパー繊維と呼ばれる高強力高弾性率繊維として位置付けられます。<ベクトラン>は、高機能繊維として優れた低クリープ性・非吸湿性・極低温下での高強力物性・耐湿磨耗性など、他のスーパー繊維には見られない種々の特長を持っています。
日本国内では、水産資材などの既存用途に加えて、イヤホンコード・成層圏飛行船膜材のテンションメンバー、バレーボールやテニスのネットロープ、海洋調査用ロープ、プラスチックの補強材料などベクトランの性能が際立って活かせる用途での利用が進んでいます。
また、1997年の「マーズパスファインダー」に続き、2004年火星に降り立ったNASAの探査機「スピリット」・「オポチュニティ」が着陸に成功した背景には、<ベクトラン>製の特殊エアバッグの活躍がありました。CAMI社の米国市場での幅広い用途展開が、NASAによる採用に繋がりました。
最近の欧米市場では、防護手袋、ロープ、膜体の基布といった広範な用途に展開され、土木・建築資材、光ケーブル、さらには新規用途の分野でも一層の成長が期待されます。
当社は、CAMI社を買収したことにより、大市場である欧米市場を自ら手掛けることで、市場ニーズ・情報をより早く的確に捉えることができるようになり、さらには一貫生産・販売を行うことで、日・米・欧3極におけるベクトラン事業拡大のスピードアップが可能になりました。今回の設備投資をグローバル戦略の第一歩と位置付けています。
●設備概要
1、場 所:クラレ西条株式会社 愛媛県西条市朔日市892
(社 長:広瀬 靖弘 資本金:1,000万円 クラレ100%)
2、設備投資額:7億円
3、生産能力:増強分 400トン(600トン/年 → 1,000トン/年)
4、完工時期:2007年10月予定
以 上