タカラバイオ、等温遺伝子増幅法による結核菌診断薬の製造承認を取得
等温遺伝子増幅法による結核菌診断薬の製造承認を厚生労働省より取得
タカラバイオ株式会社(社長 加藤郁之進)は、当社が独自で開発した等温遺伝子増幅法(ICAN法:アイキャン法)を用いて、結核菌群特有のDNAを検出する体外診断用医薬品『結核菌群DNA検出試薬「タカラ」』の製造承認を本年1月11日付けで、厚生労働省より取得しました。この検出試薬の測定時間は2時間、喀痰採取から結果報告まで3.5時間で結核菌を高感度に検出できます。ICAN法による診断薬の承認の第1号となります。なお、当社は日本、米国、欧州、中国などを含む9カ国でICAN法の特許を保有しています。
結核は世界中で深刻な状況となっています。日本では毎年3万人弱の新規患者が発生し、人口10万人あたりの結核罹患率は22.2(平成16年度)とスウェーデンの4.8倍、米国の4.5倍で、平成11年には結核緊急事態宣言が発表されました。特に高齢者では、70から80歳代の罹患率が高いのが特徴で、老齢化時代を迎えて早期診断の必要性が指摘されています。
本製品は、患者の喀痰中から抽出された結核菌群特有のDNAをICAN法により増幅させて高感度で検出するものです。ICAN法は増幅反応中の温度の上げ下げが不要で、60℃一定温度での増幅が可能で、PCR法のように、反応温度を上下させるための高価な測定装置は不要です。
本製品は、今後、薬事法などの必要な各種手続きを経て保険収載された後、発売の予定です。
<参考資料>
【語句説明】 ICAN(Isothermal and Chimeric primer-initiated Amplification of Nucleic acids)法
当社が開発した等温遺伝子増幅法です。キメラプライマー、鎖置換活性と鋳型交換活性を有するDNAポリメラーゼ(RNase H)を用いて等温で遺伝子増幅ができます。具体的には、キメラプライマーが鋳型と結合した後、DNAポリメラーゼにより相補鎖が合成されます。その後、RNase Hがキメラプライマー由来のRNA部分を切断し、切断部分から鎖置換反応と鋳型交換反応を伴った伸長反応が起こります。この反応が繰り返し起こることにより遺伝子が増幅されます。本方法を用いることにより、サンプル内に存在する目的DNAをPCR法と同等以上の感度で、しかも等温で増幅・検出することができ、従来PCR法で行われてきた感染症等の遺伝子診断をより高効率で行うことができます。
なお、ICAN法の基本特許は、日本(日本特許第3433929号及び第3883476号)、米国(米国特許US 6,951,722)、欧州、ロシア、オーストラリア、中国、シンガポール、ベトナム、台湾などの国々で既に特許成立済みです。
http://www.takara.co.jp/news/2000/07-09/00-i-019.htm