富山化学、抗インフルエンザウイルス薬「T-705」の臨床第I相試験を開始
抗インフルエンザウイルス薬「T-705」
日本国内での臨床第I相試験開始のお知らせ
富山化学工業株式会社(社長:中野克彦)は、抗インフルエンザウイルス薬「T-705」の日本国内での臨床第I相試験を、本日より開始しましたのでお知らせします。
T-705は、富山化学工業が創製したウイルス由来RNAポリメラーゼ阻害剤です。
2004年1月、当社はNIAID(米国立アレルギー感染症研究所)との間に「サンプル提供契約」を締結し、NIAIDより委託を受けた米国ユタ州立大学が、インフルエンザウイルスに対しての様々な試験を行って参りました。その結果、治療方法が確立されていない高病原性のH5N1型トリインフルエンザウイルスの感染マウスモデルにおいて、既存の薬剤には見られない高い治療効果を示したため、H5N1型を含むインフルエンザ治療薬として開発を行うべく、準備を進めて参りました。
国内については、早期開発を目指し、医薬品医療機器総合機構と相談した結果、昨年7月、効能等について優先的に治験相談が受けられる「優先対面助言品目」の指定を受けました。
H5N1型トリインフルエンザウイルスによるパンデミックが発生した場合、WHO(世界保健機関)は、「非常に短期間に、多数の死亡者に直面することになる」と予測しています。
現在、一般のインフルエンザの治療はノイラミニダーゼ阻害剤が多く用いられていますが、H5N1型トリインフルエンザに対しての治療方法が確立していない上に、耐性の発現も懸念されております。この様な状況から作用メカニズムが異なるT-705を開発することは、治療上新しい選択肢を提供することとなり、極めて有用と考えられます。
一方、米国においても、昨年初めよりHHS(米保健福祉省)、FDA(米食品医薬品局)やNIH(米国立衛生研究所)とミーティングを行い、開発の進め方について協議、助言を受けながら臨床試験に向けて準備をして参りましたが、去る1月17日、FDAに対しIND(新薬治験申請)を提出いたしました。
当社と致しましては、新型インフルエンザによるパンデミックの発生が世界的に懸念される状況から、T-705を早期に開発することが社会的使命であると考えており、最優先で作業を進めて参ります。また、現在日米で並行して開発を進めておりますが、日米の規制当局やNIH、内外の専門家等とも緊密に連携、協議を行い、様々な状況に対処できるように進めて行く所存です。
富山化学は研究開発型企業として「新薬開発を通じて世界の医療の発展に貢献する」ことを目指しています。