大阪ガスと京セラ、小規模住宅にも設置できる家庭用コージェネレーションシステムを開発
都市型小規模住宅にも設置可能な出力700Wの家庭用固体酸化物形燃料電池
(SOFC)コージェネレーションシステムを開発しました
~家庭用コージェネレーションシステムで世界最小クラスのサイズ~
大阪ガス株式会社(社長:芝野 博文)と京セラ株式会社(社長:川村 誠)は、定格出力をこれまでの1kWから700Wに変更し、都市型小規模住宅にも設置可能な小型の家庭用固体酸化物形燃料電池(SOFC※1)コージェネレーションシステムを開発しました。両社は発電効率と設置性に優れた本システムを2008年度市場導入に向けた原型機と位置づけ、実用化に向けた取り組みを進めていきます。
両社は昨年度、大阪ガスの実験集合住宅「NEXT21」に出力1kWのSOFCコージェネレーションシステムを設置し、国内初となる居住住宅での運用試験を行いました。その結果、発電効率や一次エネルギー削減率、CO2排出削減率について高い効果を得られることを実証しました。※2
SOFCコージェネレーションシステムは総合効率に占める発電効率の割合が高いことから、熱需要が比較的少ない住宅でも環境性・経済性のメリットを充分に発揮できます。今回、この特性を活かし、より多くのお客さまに家庭用コージェネレーションシステムをご採用いただけるよう、設置性を重視したシステムの小型化を図りました。なお、排熱利用給湯暖房ユニットは大阪ガスと株式会社長府製作所(社長:川上 康男)との共同開発です。
本システムの特長は以下のとおりです。
1.発電ユニットの大幅な小型化を実現
(1)セルの薄型化とセルスタックのコンパクト化
厚みを3mmから2mmに薄型化した新型セルを開発するとともに、セルスタック(セルの集合体)の構成を、従来の200セルから126セルにすることで、大幅なコンパクト化を実現しました。
(2)発電ユニットの構成の簡素化
発電モジュール(セルスタックや改質器が内蔵された金属性の容器)へ空気を供給するための空気導入部を、発電モジュールの筐体と一体構造とすることなどにより、発電ユニットの構成を簡素化しました。
これらの結果、発電ユニットは、1kW機に比べ容積で約50%の小型化を実現しました。
2.排熱利用給湯暖房ユニットの薄型化
貯湯タンク容量の適正化や補助ボイラーのレイアウトを変更し、都市型小規模住宅への設置に適した奥行き330mmの薄型排熱利用給湯暖房ユニットを開発しました。
これらの開発により、発電ユニットおよび排熱利用給湯暖房ユニットは、家庭用コージェネレーションシステムとして、世界で最小クラスの設置面積・容積となりました。
3.発電出力700W機で、発電効率45%(AC送電端効率※3、LHV※4)、排熱回収効率30%以上を達成
設置性向上のための小型化と、お客さまの経済性、環境性のメリットの創出を検討し、定格出力を1kWから700Wに変更しました。この新型機での性能評価を実施した結果、開発目標の発電効率45%以上、排熱回収効率30%以上を達成しました。
両社は環境にやさしい家庭用コージェネレーションシステムの普及拡大を図るため、今後フィールドテストの実施や、2007年度から経済産業省で計画されているSOFC実証研究に応募することなどにより、耐久性の向上やコストダウンのための取り組みを進め、家庭用SOFCコージェネレーションシステムの2008年度の市場導入を目指します。
※1.Solid Oxide Fuel Cellの略。
※2.大阪ガス・京セラ 2006年5月16日付プレスリリース“家庭用固体酸化物形燃料電池(SOFC)コージェネレーションシステムの国内初の居住住宅での運用試験結果について”
※3.交流の100Vでお客さまが利用できる発電電力の効率で、燃料電池で発電した直流を交流変換するインバータでの損失やその他の補機動力を差し引いた発電効率。
※4.低位発熱量基準(Lower Heating Value)の略で、燃料ガスを完全に燃焼させたときの発熱量から水蒸気の凝縮潜熱を差し引いた値。
以 上