米ザイリンクス、DSP向けFPGAプラットフォーム「Virtex-5 SXT」を出荷開始
ザイリンクス、最新のVirtex-5 SXT FPGAで
世界最高性能のDSPプラットフォームの出荷を開始
並列処理が可能な機能強化DSPブロック、最高のロジックに対するメモリ比率、
最速のI/Oバンド幅のための低消費電力トランシーバをワンチップに集積
プログラマブル・ロジック・ソリューションの世界的リーダであるザイリンクス社は2月5日(米国時間)、高性能なデジタル信号処理(DSP)向けに最適化した65nmプロセスによるFPGAプラットフォームVirtex-5 SXTの出荷を開始したと発表した。SXTプラットフォームは550MHzで352GMACというDSP性能における業界最高記録を達成しながら従来の90nm世代のデバイスと比較して35%も低いダイナミック消費電力を実現し、シリアル・トランシーバを搭載してDSP処理向けに最適化を図った業界初のFPGAファミリである。
Virtex-5 SXTは、次世代のワイヤレスおよびビデオ・アプリケーションの超高速DSPに対するバンド幅とシステムコスト低減の要求条件を満たすためにザイリンクスのXtremeDSPポートフォリオを3つの新しいデバイス・オプションを適用して拡張したものである。ザイリンクスは、4種類のVirtex-5 FPGAプラットフォームの第3弾としてのSXTプラットフォームの出荷により、最先端の65nmプロセス・ノードの性能、消費電力、およびコスト面でのメリットを競合ソリューションより12カ月も先行してシステム・デベロッパに提供可能となった。
<機能強化されたDSPブロックと高速シリアル・インターフェイスにより最高レベルのDSP性能を実現>
ワイヤレス通信、WiMAXや高精細ビデオ、あるいは監視システムや放送機器といった高性能デジタル信号処理を必要とする用途ではロジックに対するDSPの比率が大きいことが求められているが、Virtex-5 SXTプラットフォームはこの条件を最適に満たしている。強化されたDSPスライス(DSP48E)は25×18ビットの乗算器、累積や数値計算などのための48ビットの第二ステージ論理回路、および96ビットまで拡張可能な48ビット出力を備えている。データパスと出力のビット幅が広いほどダイナミック・レンジが広くなり、精度が上がる。
さらに90nm FPGAに使用されていたリソースの半分を使用するだけで単精度の浮動小数点演算が可能となっている。
DSP48Eスライスはまた、550MHzという高速での並列処理を可能とするカスケード・ルーティング回路を内蔵している。Virtex-5 SXTで最大規模のデバイスに用意されている640個のDSP48Eブロックを使用すれば、352GMACという業界最高のDSP性能を発揮させることができる。DSP48Eに含まれるその他の機能として、独立のCレジスタとSIMD演算をサポートするための拡張された第二ステージ論理回路、およびより高効率なDSP処理を可能とするためのパターン検出回路などが挙げられる。
SXTプラットフォームは、CPRI/OBSAI、HD/SDI、Serial RapidIO、PCI ExpressおよびGigabit Ethernetを始めとした業界標準プロトコルをサポートする、低消費電力3.2 Gbps RocketIOシリアル・トランシーバを最高16個まで使用することができる。PCI ExpressとGigabit Ethernetについてはプロトコル・ブロックとインターフェイスが組み込まれている。
業界初の65nmトリプルオキサイドテクノロジを適用したVirtex-5 SXTプラットフォームは、総合ダイナミック消費電力を従来の90nmデバイスより35%も低減すると同時にスタティック消費電力の低減にも成功しており、防衛機器、公衆安全機器、携帯型ソフトウェア無線といったバッテリの長寿命化が要求される用途に最適となっている。機能強化されたDSP48Eブロックは38%のトグル速度でわずか1.38mW/100MHz(typ.)の電力しか消費しない。またVirtex-5 RocketIOトランシーバは3.2Gbpsで100mW(typ.)の低電力で動作可能であり、これらがあいまって総合的なシステム消費電力とコストの低減に大きく貢献している。
Virtex-5 SXTデバイスは、ロジックセルを35,000個から95,000個まで、専用DSP48Eスライスを192個から640個まで集積化したいくつかのモデルが用意されており、開発者は総合的にシステムコストを最適化するためにロジックとDSPセルの集積度について適切な組み合わせを選択することが可能になっている。これらのデバイスは、ビデオ処理や医療画像処理で要求されるメモリ依存機能を効率的に実行させるために最高10.3MBのメモリを内蔵してメモリとロジックの比率でも業界最高レベルを実現し、最高毎秒58 Teraビットのメモリ・スループットを達成している。Virtex-5 SXTファミリの詳細情報はWebサイト http://japan.xilinx.com/virtex5/ からも入手可能となっている。
<価格設定と供給体制>
Virtex-5 SXTのエンジニアリング・サンプルは中規模のSX50Tを現在提供中であり、小規模のSX35Tと大規模のSX95Tについては今後4カ月以内に提供可能となる予定である。SXT50Tの価格は1,000個購入時299米ドルに設定されている(2008年後半時)。さらなるコスト低減のために、Virtex-5 EasyPathプログラムが用意されており、これにより量産時には最大80%のコスト低減が可能となる見込みである。
ユーザはISE 9.1iデザイン・ソフトウェアによるサポートを利用することにより、Virtex-5 SXTデバイスの設計をただちに開始することができる。また、ザイリンクスSystem Generator for DSPおよびAccelDSP ツール・セットは2007年2月下旬にリリースされる予定である。Virtex-5 SXTデバイスはMATLAB、Simulink、C/C++、VHDLおよびVerilogなどのデザイン手法、基礎的機能と特定アプリケーション向けの機能の両方に向けて最適化されたDSPアルゴリズムのライブラリ、および汎用的なデザインキットを含む包括的なエコシステムを通してもサポートされている。
※このプレスリリースに記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
<ザイリンクスについて>
ザイリンクス社(NASDAQ:XLNX)は、プログラマブル ロジック ソリューションを提供するリーダである。1984年に創立され、米国カリフォルニア州サンノゼに本社を持つ。日本においては、1989年にザイリンクス株式会社を設立し、FPGAおよびCPLD製品とその開発支援システムの販売とサポートを積極的に行っている。同社についての詳細な情報は日本語対応ホームページ http://japan.xilinx.com/ で公開している。