富士経済、通販・e-コマースに関する市場調査結果を発表
通販・e-コマース市場調査を実施
―モバイル通販は2008年に2,954億円予測(対06年比 161%)―
総合マーケティングビジネスの(株)富士経済(東京都中央区日本橋小伝馬町 代表取締役 阿部英雄03-3664-5811)は、インターネット通販およびモバイル通販市場が好調に推移する通販・e-コマース市場の調査を行った。その結果を調査報告書「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2006-2007(市場編)」にまとめた。
参入企業各社は、顧客の囲い込みを目的としたポイント制度を導入し、クレジット機能付きカードの発行を進めている。また、インターネット通販ではサイトへの誘導/購買を促すため、アフェリエイト(成果報酬型プログラム)への取り組みを活発化させている。
<調査結果の概要>
■通販全体市場
分類 2006年見込み 2008年予測 対06年比
通販物販 3兆8,135億円 4兆5,984億円 121%
サービス・デジタルコンテンツ 5,995億円 7,932億円 132%
通販市場全体 4兆4,130億円 5兆3,916億円 122%
通販市場は、食料品やアパレルといった物販市場と、チケットやデジタルコンテンツなどを対象としたサービス・デジタルコンテンツ市場から構成されている。
1.通販物販市場
分類 2006年見込み 2008年予測 対06年比
カタログ通販 1兆6,610億円 1兆6,684億円 100%
インターネット通販 1兆5,171億円 2兆1,338億円 141%
テレビ通販 3,395億円 3,850億円 113%
モバイル通販 1,837億円 2,954億円 161%
小売拠点型通販 272億円 303億円 111%
その他 850億円 855億円 101%
通販物販市場全体 3兆8,135億円 4兆5,984億円 121%
物販市場は、インターネットやモバイル通販への新規参入が相次いだことで拡大した。特にインターネット通販は既存の店舗チャネルからの需要シフトによって実績が拡大した。通販形態別に見ると、これまで主力であったカタログ通販が、受発注やカタログコストの削減を目的にインターネット通販へシフトしており、2005年にはカタログ通販の構成比が全体の50%を割り込むまでに縮小している。拡大しているインターネット通販は30~50代の購入チャネルとして定着している一方で、モバイル通販は20~30代を中心に浸透しており、2006年の構成比は約5%であるが、今後伸びが期待できそのウエイトは高まっていくと予測される。テレビ通販は、ジャパネットたかたなどがテレビ通販専門局を立ち上げ、市場が活性化したことが拡大の要因となっており、2006年もジュピター・ショップチャンネルなど上位企業を中心に勢いは変わらず、拡大を続けた。その他、小売拠点型通販は、コンビニチェーン各社がチケットに関連した音楽CDやDVDなど音楽・映像ソフトの取り扱いを開始したことで実績が拡大している。
2.サービス・デジタルコンテンツ市場
サービス・デジタルコンテンツ市場は古くから主力となっている鑑賞・観戦チケットの堅調な推移と、音楽や映像などのデジタルコンテンツの急成長によって拡大が続いており、2005年には5,000億円を超える規模にまで達している。第三世代携帯電話の普及で、これまで音楽配信に積極的ではなかった音楽業界も徐々に配信サービスに参入する企業が現れ、パソコンを使用するインターネット接続の音楽配信サービスも拡大している。2005年にはアップルコンピュータが「iTunes Music Store」で音楽配信事業での日本市場参入を果たし、携帯オーディオ機器「iPod」と合わせた音楽配信サービスが定着、市場の拡大に寄与している。映像配信も回線の高速化とともに映画やドラマなどのストリーミングサービスを行う企業が増加しており、市場全体の拡大に大きく貢献している。音楽・映像配信サービス市場は2006年に前年比28%増の2,482億円に達したと見られる
■注目通販市場(物販)
モバイル通販 2006年見込み 1,837億円 2008年予測 2,954億円(対06年比 161%)
モバイル通販は手軽さが強みだが、当初は高額商品を携帯電話で購入することへの抵抗感が懸念されていた。しかし携帯電話が情報端末として生活に浸透するにつれて高価格帯商品の取り扱いも徐々に増えており、消費者の意識の変化によってモバイル通販利用は拡がりを見せている。
2006年4月には携帯電話など携帯端末に向けたワンセグ放送が開始され、またEdyなどの電子マネーサービスやSuicaカードの代替機能など携帯電話サービスも日々進化しており、これにあわせてモバイル通販も動画配信や自社ポイントのEdyへの交換、ドコモコインなど新たなノベルティ導入もあり大きな進化を続けている。参入企業では進化の速い携帯電話環境に合わせたモバイル通販システム強化が必要となっている。
インターネット通販
2006年見込み 1兆5,171億円 2008年予測 2兆1,338億円(対06年比 141%)
インターネット通販はカタログ通販に次ぐ通販形態に成長しており、各社もインターネット通販への注力を進めていることからカタログ通販やテレビ通販からのシフトによって2007年にはカタログ通販を上回るまでに成長すると予測される。2006年12月にはwww by Samantha Thavasa(サマンサタバサジャパンリミテッドの子会社)が大手百貨店の伊勢丹や阪急、商業施設ルミネ、パルコなどと組んで「www CITY&Communications」をオープンしており、2007年にはアマゾン・ジャパンの仮想ショッピングモールサービス参入が予想され、既存の楽天、ヤフーも含めた仮想ショッピングモール間の競合がさらに激化していくと見られる。
■注目商品カテゴリー市場(物販)
書籍・ソフト 2006年見込み 2,672億円 2008年予測 3,894億円(対06年比 146%)
1990年代以前は総合通販やTV通販などが取り扱う書籍・ソフトが中心であったがインターネットが普及し始めた1990年代後半から各社がオンラインショップを開設、メインはインターネット通販へ移っていった。
インターネットの普及とともに1990年代後半からリアル店舗を持つ書店やCDショップがオンラインショップを開設、通販市場に参入したことで、書籍・ソフトの本格的な市場形成に至った。2000年以降は各社とも取り扱い冊数・タイトルの拡充を進める傾向が強まっており、当初は書籍のみを展開していた紀伊国屋書店も映像ソフトの注力度を高めるなど、各社が書籍、音楽・映像ソフトを広く網羅する品揃えを進めている。市場の中心となっているインターネット通販では検索機能の強化によって膨大な品揃えから簡単に商品を検索できる点やリアル店舗に比べ映像ソフトの値引き販売を行う点が消費者にとってメリットとなっている。また近年は各社が一定金額以上の購入で送料無料サービスを実施していることから通販の利用率が高まっており、市場の大幅拡大につながっている。
食品・産直品 2006年見込み 3,206億円 2008年予測 4,019億円(対06年比 125%)
食品・産直品市場は産地からの直送を訴求することで需要を獲得し、さらに近年の「お取り寄せ」ブームや高級おせちなどへの需要の高まりがプラス要因となり、市場が拡大している。また、楽天、ヤフーなどのインターネット仮想モールでの購入が増加し、カタログ通販では採算ベースに乗らなかった小規模店による通信販売参入が続いていることも市場規模拡大につながっている。
2006年はやずやの広告中止による大幅減、アサヒ緑健、宇治田原製茶場直売部といった食品専門通販の、競合激化による伸び悩みがあったものの、インターネット通販やテレビ通販が新規顧客増によって大幅に増加しており、市場全体では引き続き拡大が見込まれる。
<調査対象>
* 関連資料 参照
<調査方法>
富士経済専門調査員によるヒアリング調査および各種公開資料等による文献調査
<調査期間>
2006年10月~12月
以上
資料タイトル:「通販・e-コマースビジネスの実態と今後 2006-2007(市場編)」
体裁 :A4判 189 頁
価格 :100,000円(税込み 105,000円)
CD-ROMセット価格 110,000円(税込み 115,500円)
調査・編集 :富士経済 東京マーケティング本部 第2事業部
TEL:03-3664-5831 (代) FAX:03-3661-9778
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