東レ、日米仏3拠点で炭素繊維の生産設備増強に総額550億円を投資
炭素繊維 日米仏3拠点で4,000トン増設
国内では石川県にプリプレグ生産の新拠点
東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:榊原 定征、以下「東レ」)はこのたび、航空機用途をはじめとするPAN系炭素繊維の本格的な需要拡大に対応するべく、日米仏3拠点で同時に炭素繊維“トレカ”複合材料の生産設備増強を決定しました。総額550億円を投じて、2009年初めまでにグループ全拠点で設備増設を実施する他、国内では愛媛工場(愛媛県松前町)に次ぐ二番目のプリプレグ(炭素繊維樹脂含浸シート)生産拠点として、新たに石川工場(石川県能美市)でプリプレグ生産設備を新設します。
当社は2004年から炭素繊維関連の集中設備投資に取り組んでおり、既に2007年8月までに年13,900トン体制への増設(2003年末7,300トンから13,900トンの増設)を決定、推進しています。今回の決定により、炭素繊維のグループ生産能力は4,000トン増の年17,900トンに、プリプレグは1,160万m2増の年3,380万m2にそれぞれ拡大します。なお、2004年以降の累計投資額は総額約1,100億円に達します。
今回の増設計画では、米国子会社のトーレ・カーボン・ファイバーズ・アメリカ社(CFA社、米国アラバマ州ディケーター市)とフランス子会社のソフィカール社(フランス・アビドス市)にそれぞれ年産1,800トンの大型生産設備を増設し、国内では愛媛工場に年産400トンの高性能炭素繊維の生産設備を増設します。なおCFA社には、今回の増産に対応してプリカーサ(原糸)の生産設備も増設します。一方、プリプレグについては、米国子会社のトーレ・コンポジット・アメリカ社(TCA社、米国ワシントン州タコマ市)に年産580万m2の生産設備を増設する他、石川工場に同能力の生産設備を新設します。
<炭素繊維生産能力>
添付資料をご参照ください。
<プリプレグ生産能力>
添付資料をご参照ください。
これにより、米国ボーイング社が2008年の就航を目指す新型旅客機B787向けの材料供給体制を拡充する他、高付加価値品分野の強化、さらにスポーツ、一般産業の各用途における新規需要の立ち上がりと、逼迫する需給バランスに対応した安定供給体制を構築します。今回、プリカーサからプリプレグにわたり生産体制を拡充することで、日米仏の世界三極による“トレカ”グローバルオペレーションの最適化を図ります。
現在、PAN系炭素繊維の世界需要は約27,000トン(2006年)と推定され、今後も年率15%前後の高成長が見込まれています。ボーイングB787を中心とする航空機需要の本格拡大に加えて、CNGタンクなど石油代替エネルギー関連用途の需要拡大、将来的には自動車分野における本格普及も見据えて、2010年の世界需要は45,500トンに達するものと予測しています。
東レは中期経営課題“プロジェクトInnovation TORAY 2010”(“IT-2010”)に基づく高収益企業への飛躍を目指す中、炭素繊維複合材料事業を戦略的拡大事業と位置づけて積極的な増産投資に取り組んでいます。当社は2010年までに炭素繊維のグループ生産能力を年24,000トンに拡大する一方、炭素繊維・中間基材・コンポジットにわたる垂直統合型の事業展開を推進・強化していきます。東レは世界最大の炭素繊維複合材料メーカーとして、業界のデファクトスタンダードである“トレカ”の技術・品質優位性を強みに、2010年に世界販売シェア40%(2006年現在34%)、連結売上高目標1,600億円を目指して炭素繊維複合材料事業の拡大に取り組んで参ります。
<工場、関係会社の概要>
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