日本TI、携帯電話やポータブル・オーディオ・プレーヤー向け新型ヘッドホン・アンプを発売
日本TI、携帯電話やポータブル・オーディオ・プレーヤ向けに
業界で最高のオーディオ性能と最少の静止電流を提供する
DirectPath(TM)ヘッドホン・アンプを発表
I2Cボリューム・コントロール、差動入力、チャージ・ポンプを搭載した
高いサウンド品質を提供する新型ヘッドホン・アンプ
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は本日、携帯電話やポータブル・オーディオ・アプリケーション向けに最適化された新型ヘッドホン・アンプ『TPA6130A2』を発表しました。この製品はTIのDirectPath(TM)アンプ製品ラインの一つであり、市場に供給されているチャージ・ポンプ搭載のヘッドホン・ドライブ・アンプよりも優れた性能を提供し、109dB(デシベル)のPSRR(電源リップル除去比)、4mA(ミリアンペア)と業界で最少の静止電流、業界初の差動ステレオ入力、ソフトウェア方式の64ステップのボリューム・コントロール機能などを提供します。様々な特長を持つ『TPA6130A2』によって、機器メーカーは携帯電話、ワイヤレス・ヘッドホン・ユニット、ポータブル・メディア・プレーヤ、ポータブル・オーディオ・プレーヤなどの製品において雑音による妨害を低減し、バッテリ動作時間の延長、オーディオ品質の向上を実現できます。
本件に関する詳細はhttp://focus.tij.co.jp/jp/docs/prod/folders/print/tpa6130a2.html(日本語)から参照できます。
『TPA6130A2』はTIが1994年に特許を取得したチャージ・ポンプ搭載のヘッドホン・アンプであるDirectPath製品ラインの製品です。アンプとヘッドホンを直結したことによって、アンプの設計が簡素化され、体積が大きく高価なDC(直流)ブロッキング・コンデンサが不要になります。また差動入力によってアンプの入力に誘起する不要な同相ノイズを排除できます。
TIのハイパフォーマンス・アナログ事業部でマーケティング・マネージャのニコラス・ホーランド(Nicholas Holland)は次のように述べています。「『TPA6130A2』に搭載されている新型のDirectPathテクノロジーはお客様の製品において低音域の再生性能の向上、ならびにソリューションの小型化に役立ちます。『TPA6130A2』はポータブル・オーディオ市場の厳しい設計要件を満たす機能を内蔵しています」
高い設計品質とオーディオ品質を同時に実現
電源にリップルなどの雑音が重畳すると、耳に聞こえる雑音がヘッドホンのスピーカーに直接発生するため、オーディオ品質を向上するためには、オーディオ・アンプのPSRR特性を可能な限り高くすることが重要です。携帯電話では高周波の送信回路をはじめ、オーディオ以外のシステム構成要素の信号がバッテリからの電源に重畳し雑音を発生することがあります。高いPSRRによって、このような人工雑音への耐性を確保し、より高いオーディオ品質を実現できます。
従来のヘッドホン・アンプは大きな体積と容量を持つDCブロッキング・コンデンサが必要でした。これらのコンデンサは大きな基板実装面積と同時に高さも必要であり、機器メーカーがソリューションを小型化するためには、より小型で低品質のコンデンサを使用せざるを得ず、このためにヘッドホンの周波数応答が劣化すると共に低音域の再生性能が制限されてきました。
TIのDirectPathチャージ・ポンプ・アーキテクチャでは素子内部で負電圧を発生することから、アンプは真のグラウンド電位と等しい基準電位で動作できます。このアーキテクチャにより、アンプ出力とヘッドホンのスピーカーが直結でき、DCブロッキング・コンデンサを完全に排除できます。このことから機器メーカーは、よりコンパクトなヘッドホン・ドライブ・ソリューションを設計でき、システム・コストおよび基板実装面積を低減しながら低音域の周波数応答を改善できます。
『TPA6130A2』は業界最少の4mAの静止電流ならびに1μA(マイクロアンペア)未満のシャットダウン電流を提供します。機器メーカーはこの高い効率によってバッテリ動作寿命を最長にし、より長い聴取時間を提供するヘッドホン・アンプを実現できます。
ヘッドホンの設計において大きな問題となるのはコストです。『TPA6130A2』はボリューム・コントロールも内蔵しており、音量調節用のポテンショメータも不要です。I2Cコントロール・バス経由で64ステップのボリュームを管理することによって、ヘッドホン信号のSNR(信号-雑音比)の向上という恩恵も提供します。ヘッドホンの音量はソフトウェア経由で制御されるため、機器メーカーはオーディオ信号源を最高出力で駆動して『TPA6130A2』の内蔵ボリューム機能を減少または増加に制御し、可能な限り高いSNRおよび最高のオーディオ品質を実現します。
また『TPA6130A2』には高性能のポップノイズ低減回路を集積しました。この回路はポップノイズを耳に聞こえないレベルまで抑圧します。また『TPA6130A2』は5V(ボルト)電源で16Ω(オーム)のヘッドホン・スピーカー駆動時に138mW/チャネル(ミリワット/チャネル)の出力電力、また出力電力35mW、1kHz(キロヘルツ)において0.0055% THD+N(全高調波+ノイズ)特性、8kV(キロボルト)のESD(静電気放電)保護などの特長も備えています。さらに、2.5V~5.5Vと広い電源電圧範囲によって『TPA6130A2』ヘッドホン・アンプを電源に直接接続でき、LDO(ロー・ドロップアウト)レギュレータなどの専用パワー・マネジメント素子が不要となり、全体的な設計を簡素化できます。
『TPA6130A2』の特性表
項目 TPA6130A2
機能 I2Cボリューム・コントロール付き、DirectPath(TM)ステレオ・ヘッドホン・アンプ
ヘッドホン・チャネル数 2(ステレオ)
出力電力 138mW
負荷インピーダンス(最小値) 16Ω
電源電圧範囲 2.5V~5.5V
THD+N(半値出力、1kHz) 0.0055%
静止電流(1チャネルあたり、代表値) 2mA
シャットダウン電流 1μA
PSRR 109dB
動作温度範囲 -40℃~+125℃
ピン/パッケージ 16WCSP、20QFN
1,000個受注時の単価(参考価格) 1.55ドル
価格と供給について
『TPA6130A2』は現在量産出荷中で、TIおよび販売特約店から供給されます。パッケージは2mm(ミリメートル)角のWCSPです。1,000個受注時の単価の参考価格は1.55ドルです。4mm角のQFNパッケージ、評価モジュールおよびソフトウェアの供給は2007年初めに予定されています。TIのオーディオ・ソリューション・ガイドはhttp://www.ti.com/audioからダウンロードできます。TIのポータブル・アプリケーション向けのパワー・マネジメント製品に関してはhttp://power.tij.co.jp(日本語)から参照できます。
ハイパフォーマンス・アナログ製品に関する情報は、インターネットでも発信しています。(http://www.tij.co.jp/analog)
*すべての商標および登録商標はそれぞれの所有者に帰属します。
テキサス・インスツルメンツおよび日本テキサス・インスツルメンツについて
テキサス・インスツルメンツ(本社:米国テキサス州ダラス、社長兼CEO:リッチ・テンプルトン、略称:TI)は、グローバルな半導体企業であり、デジタル家電、ワイヤレス市場などに向けたDSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)とアナログICを中核とするトータル・ソリューションを提供しています。そのほか、教育関連テクノロジーを展開、世界25ヶ国以上に製造・販売拠点を持っています。
日本テキサス・インスツルメンツ(本社:東京都新宿区、社長:山崎俊行、略称:日本TI)は、テキサス・インスツルメンツの子会社で日本市場における大手の外資系半導体サプライヤです。資本金は362億5,000万円です。大分県日出、茨城県美浦に生産工場があり、茨城県つくばと神奈川県厚木にテクノロジー・センターがあります。
TIに関する情報はインターネットでも発信しています。(http://www.tij.co.jp)
読者向けお問い合わせ先
日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
プロダクト・インフォメーション・センター(PIC)
URL:http://www.tij.co.jp/pic/
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