MTIなど、クラレ製素材「ベクトラン」採用の水輸送用バッグによる海上水輸送試験を実施
スーパー繊維<ベクトラン>使用の水輸送用バッグによる海上水輸送試験を実施
水資源機構、及び日本郵船関連会社のMTIが共同で実施する海上水輸送試験で、淡水を注入し海上をタグボートでえい航する水輸送用バッグの素材に、クラレのポリアリレート系スーパー繊維<ベクトラン>が使用されています。
クラレは、水輸送用バッグの研究開発を進めてきたMTIに<ベクトラン>繊維を供給し、MTIがこの水輸送用バッグを完成させました。今回の<ベクトラン>繊維の採用は、<ベクトラン>繊維がこれまで水産資材分野のロープ・魚網、被覆材・膜体などへ使用されてきた実績とその性能がMTIに評価されたものです。使用される水輸送用バッグは、<ベクトラン>とウレタン樹脂の複合素材からできており、そのサイズは全長44m・幅10メートル・深さ4メートルで、約1,000.の容量があります。
スーパー繊維<ベクトラン>は、高機能繊維として優れた低クリープ性・非吸湿性・極低温下での高強力物性・耐湿摩耗性など、他のスーパー繊維には見られない種々の特長を持っています。用途としては、水産資材・海洋調査用ロープ・プラスチックの補強材などのほか、成層圏飛行船膜材のテンションメンバー・2004年火星に降り立ったNASAの探査機のエアバッグといった<ベクトラン>の性能が際立って活かせる用途に広範囲に採用されています。
日本で初めてとなる今回の海上輸送試験は、3月2日から3月5日までの日程で行われる予定です。和歌山県新宮市の新宮港を水拠出元とし、約170km先の徳島県阿南市の水輸送先・富岡港まで、片道約22時間かけて1往復します。3月3日には富岡港での揚水試験なども予定されています。この試験は経済産業省が実施する「平成18年度工業用水代替水源確保調査」の一環として行われます。渇水時や災害時などの緊急時における機動的な水供給手法の実用化に向け、障害なく安全にえい航できるかを確認することが目的です。
クラレは、クラレ西条(株)(愛媛県西条市)にて、<ベクトラン>の生産設備増強を進めており、2007年10月には現在の600トン/年から1,000トン/年へと供給体制を拡大・強化します。クラレはこの水輸送試験の成功を願い、緊急時における大量の水の確保・供給にこれから貢献していきたいと考えています。
*海上水輸送試験の概要は、添付資料をご参照ください。