日立マクセル、円筒形二酸化マンガンリチウム一次電池の出荷を開始
重負荷放電特性を向上させた
円筒形二酸化マンガンリチウム一次電池を出荷開始
~ 音声式火災警報器で40%長寿命!(※1) ~
日立マクセル株式会社(執行役社長:角田 義人)は、電極面積を大幅に拡大することで、重負荷放電特性を約40%向上 (※1)させた円筒形二酸化マンガンリチウム一次(CR)電池を3月より出荷開始いたします。
2006年6月施行の改正消防法により新築家屋には火災警報機の設置が義務付けられ、既存家屋においても2011年6月までの設置が義務付けられています。家庭用火災警報機の電源として電池が使用されており、セキュリティ関連機器、ガス、水道、電力等の各種メータ機器の電源用を含め、長寿命で広い使用温度範囲の電池が求められています。
このたび、マクセルは独自の捲回構造によって電極面積を大幅にアップし重負荷放電特性を40% (※1)向上させた円筒形CR電池を開発いたしました。現在主流となっている単調な音で火災を知らせる「ブザー式」の家庭用火災警報機だけでなく、増加傾向にある大電流が必要な「音声式」に対応することができます。また、封止部のパッキングに高融点のエンジニアリングプラスチックを採用するとともに、新たに電解液組成の見直しを行い、電池貯蔵中の劣化を小さくし経年劣化を抑制いたしました。これにより、寿命として10年が要求される火災警報器用途を含め、ガス、水道、電力等の各種メータ用途などに必要となる耐温度特性や長期信頼性を確保することができました。
この新仕様の円筒形CR電池は、市場で主流となっている「CR17450」(外形17.0mm、総高45.0mm、標準容量2600mAh)においては1月に新仕様の切り替えが完了しています。このたび、小型タイプ「CR17335」(外径17.0mm、総高33.5mm、標準容量1750mAh)の性能アップを実現したことから、3月の出荷開始にて新仕様の円筒形CR電池が出揃う予定です。
今後ともマクセルは、独自技術を活かしたお客様に満足いただける製品開発に努めてまいります。
※1 音声式火災警報機の使用を想定した300mA定電流放電(20℃、終止電圧2.0V)容量の従来品との比較値。
■主な特長
1.電極面積アップにより重負荷放電特性の約40%※1向上を実現
独自の捲回構造によって電極面積を50%(当社従来品比)と大幅に拡大させたことで、音声式火災警報機の使用を想定した連続放電試験で約40%(※1)の性能向上を実現しました。
(※1) 300mA定電流放電(20℃、終止電圧2.0V)容量の従来品との比較値。
2.電解液改良により貯蔵劣化を低減
電解液組成の見直しを行った結果、内部抵抗の上昇を従来品の約3分の1(※2)に抑制することができました(図2)。
(※2) 全電池容量(2600mAh)の70%を放電した後、70℃60日貯蔵(常温約5年相当の加速)において。
3.独自の捲回構造により高容量と高出力を実現
マクセル独自の捲回構造(図3)により、相反する特性である高容量と高出力を両立しています。
4.高融点エンジニアリングプラスチックパッキング採用により優れた長期信頼性を実現
封止部のパッキングに高融点エンジニアリングプラスチックを採用することで、電池外部からの水分の侵入抑制や電池内部からの液漏れを防止し、優れた長期信頼性を実現しています。
■製品情報
(型式/公称電圧/標準容量(※3)/標準放電電流/外径/総高/質量の順に記載)
CR17335 / 3V / 1750mAh / 5mA / 17.0mm / 33.5mm / 16g
CR17450 / 3V / 2600mAh / 5mA / 17.0mm / 45.0mm / 22g
(※3) 20℃において5mA放電で、終止電圧2.0Vまで放電した場合の容量。
* 関連資料参照
図1 「CR17450」の放電特性比較
図2 放電深度の内部抵抗比較
図3 「CR17450」断面図