富士キメラ総研、ITS関連市場の調査結果を発表
ITS関連市場の調査を実施
ITS関連車載機器世界市場 2015年予測 2兆3,266億円(06年比146%)
ITS関連アプリケーション世界市場 2015年予測 5,299億円(06年比669%)
ITS関連車載機器国内市場 2015年予測 7,254億円(06年比136%)
ITS関連アプリケーション国内市場 2015年予測 1,131億円(06年比220%)
マーケティング&コンサルテーションの株式会社富士キメラ総研(東京都中央区日本橋小伝馬町 社長 表 良吉 03-3664-5841)は、世界一安全な道路交通社会の実現に向け官民が連携して普及を目指すITS関連の車載機器、アプリケーション、インフラ、応用分野、通信分野の市場を調査分析し、その将来を予測した。その結果を報告書「2007年版 ITS関連市場の現状と将来展望」にまとめた。
*ITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)
●本報告書のポイント
1.現状の問題点を把握し、ITS普及への条件の明確化
2.中長期的な視点で応用分野を見通すための幅広い観点から捉えたITSロードマップの作成
3.市場予測とITSロードマップ、普及シナリオの並列による市場拡大の根拠とターニングポイントの明確化
4.ITSの普及の鍵となる通信技術の動向の充実
5.海外のITS情報の充実
<注目市場>
■カーナビゲーションシステム
国内市場 2006年 3,640億円 2015年予測 2,798億円(伸長率 77%)
世界市場 2006年 9,762億円 2015年予測 1兆1,657億円(伸長率119%)
GPSなどの情報に基づき、自動車の現在地の周辺地図と、目的地までの走行経路を検索・表示・案内する自動車専用の機器で、現在位置や進行ルート、目的地などの情報入力により、出発地から目的地までの最適な経路案内を行う。そのほかにも、音楽・映像視聴やテレビ受信、道路情報取得、インターネット、情報コンテンツダウンロード、緊急通報機能など、多種多様な機能が搭載されている。
国内市場はほぼ安定した販売数量で推移しており、海外市場はPND(personal navigation device)の急速な普及により販売数量が拡大している。製品の必要性を認めるドライバーが年々増加していることから、今後も安定した販売数量が見込める。普及が一段落する2010年以降に、より市場を拡大するためには、リアルタイムな道路交通情報の受信や、ランプ・ワイパーといった自動車各部を制御し、自動車の安全性、快適性を高めるための機能を搭載し、自動車にとって不可欠な製品という位置づけの強化が求められる。
・2006年~
国内では、自動車にラインやディーラーで装着する製品としての位置づけが益々強まる。そのため、販売数量は安定するが、ライン装着化が進み製品単価が抑制されるため、金額ベースでは徐々に縮小するとみられる。海外では、これまでカーナビ自体の普及が進んでいなかったが、安価なPNDの登場によりここ数年急速に普及が進んでおり、今後も数量ベース、金額ベース共に拡大するとみられる。
・2010年~
国内、海外共に、製品認知度が十分に高まり、普及が一段落し販売数量の伸びは鈍化すると予測される。特に海外では、PND市場が成熟期に入り、2010年以前と比較すると、市場の拡大ペースは大きく鈍化すると予測される。ただし、2010年以降に本格的に実用化されるGalileoや準天頂衛星を利用した、新たな利便性の高いアプリケーションが提供されるようになれば、市場は活性化すると考えられる。
・2015年~
ITS関連技術の進歩により、2015年以降には路車間・車車間通信を活用したリアルタイムな道路交通情報受信や、カーナビに記録されている道路データなどに基づいた自動車各部の自動制御といった機能が実現していく。これらの機能の実現により、カーナビは自動車にとって「あれば便利な製品」から「自動車を操作する上で不可欠な製品」となり、自動車1台にカーナビが1台自動的に搭載されるようになると考えられる。
■ETC/DSRC(ITS)車載器
国内市場 2006年 413億円 2015年予測 603億円(伸長率146%)
世界市場 2006年 998億円 2015年予測 1,437億円(伸長率144%)
ETC(Electronic Toll Collection System)は、高速道路や有料道路の料金所等で車を停止させることなく通行料金の支払いができるシステムであり、このシステムを利用するための車載器が対象である。2006年3月に国土交通省がETC車載器機器番号の活用を打ち出し、既存のETC車載器による多目的利用が可能となった。
DSRC車載器はDSRCのサービスの提供を受けるための専用車載器で、ETC車載器に比べセキュリティが厳格である。DSRCやVICSなど多様なサービスの利用ができるようになるにつれ、今まで個別に提供されていたサービスを一つの車載器で提供しようとする動きが出てきている。ITSの様々なサービスを一つの機器で提供できる車載器(DSRC車載器、ITS車載器)をDSRC(ITS)車載器とし、既存のETC車載器と区別した。
*DSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)
*VICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報通信システム)
・2006年~
多種多様の割引制度が導入され、ユーザーメリットが出てきている。2006年11月より二輪車用ETCがスタートし、新たな市場が立ち上がり始めた。
・2010年~
スマートICが本格運用されていくことによって、ETC車載器なしでは出入りができないICが増えていく。駐車場料金の支払いなどの多目的用途での利用が増えていく。
・2015年~
ロードプライシング施策などによって、ETC車載器を搭載しているユーザーとそうでないユーザーの有料道路利用料金の差が大きくなる。
2006年の国内市場は、数量ベースで約440万台、金額ベースで413億円であった。2006年11月の二輪ETC開始に伴い、同年10月より二輪車専用のETC車載器の販売が開始され、約6,000台が販売された。海外では、有料道路事業者ごとに異なるシステムを導入しているケースが多く、ほとんどの場合相互運用が確保されているため、一つの車載器(タグ)で異なった有料道路の料金支払いが可能である。
ETCのさらなる普及には、ETC車載器を搭載していないと有料道路が利用できない、駐車場が利用できないなど搭載車への利便性の強化が必要であり、そのためには、ユーザーに負担のかからない車載器の費用や取り付け料金・セットアップ料金の設定が必要である。また、有料道路以外でのサービスの認知度を高めて、サービスが受けられる環境を早期に整えることも必要である。利用する場所でのPRだけでなく、ETC優遇サービス、リース制度、ワンストップサービスなどETC車載器普及のための施策等をもっとPRしていかなければならない。
■DSRC路側機
国内市場 2006年 8千万円 2015年予測 23億円(伸長率2,875%)
車両に搭載された車載器と路側装置間でのDSRC通信により料金の支払いや情報享受が可能であり、ITSの開発テーマである「自動料金収受システム」および応用分野のDSRC応用サービスの中心となる路側機である。DSRCは車載器とインフラの間の路車間通信に用いられ、数十メートルの距離内で大量のデータを高速でやり取りできるという特徴を持つ。
現行のETCサービスの次に実用化と普及が期待されるサービスは、駐車場などでの入出門管理、ドライブスルーやガソリンスタンドでのキャッシュレス決済などがある。現在各方面でDSRC普及に向けた実証実験が行われ、一部で駐車場料金決済サービスや車両検知システムなどのサービスが展開されている。DSRC応用サービスの拡大には駐車場やガソリンスタンドなどにインフラを整備していく必要があるが、設置のための登録や資格保有者を置かなければならないなどの課題が残されている。今後は、決済機能のアプリケーションではなく、情報提供型のアプリケーションを早期に実現するために、機能を絞った低コストの路側機の開発を進めていくことが必要である。また、公共サービスを早期に実用化させ、一般ユーザーに利便性を認知してもらうことが重要である。
・2006年~
事業者にとってDSRC路側機の導入メリットが見出せない状況にあり、民間サービス向けではほとんど需要がない。国もインフラ整備の動きが見えていない。
・2010年~
低コストの路側機が市場に投入されてくるが民間事業者にはまだそれほど普及しない。
・2015年~
各アプリケーションを実行するために最低限必要な数のインフラが整備されてくる。
資料タイトル:「2007年版 ITS関連市場の現状と将来展望」
体 裁 :A4判 338頁
価 格 :97,000円(税込み101,850円)
調査・編集 :株式会社 富士キメラ総研 研究開発本部 第一研究開発部門
TEL:03-3664-5815 FAX:03-3661-5134
発 行 所 :株式会社 富士キメラ総研
〒103-0001東京都中央区日本橋小伝馬町2-5 F・Kビル
TEL03-3664-5841(代) FAX 03-3661-7696 e-mail:koho@fuji-keizai.co.jp
この情報はホームページでもご覧いただけます。
URL:http://www.group.fuji-keizai.co.jp/ URL:http://www.fcr.co.jp/
(※ 詳細は添付資料「オリジナルリリース」を参照してください。)