オンコリスバイオファーマと米社、RNA干渉技術を利用した新しいC型肝炎治療薬で提携
オンコリスバイオファーマと米国タチェーレ社は、
RNA干渉技術を利用した新しいC型肝炎治療薬の戦略提携に関する契約を締結
オンコリスバイオファーマ株式会社(東京都港区/代表取締役社長 浦田泰生)とTacere Therapeutics, Inc.(タチェーレ社/米国カリフォルニア州/Sara Hall, President & CEO)は、RNA干渉技術をベースにした新しいC型肝炎治療薬TT-033の開発について、両社が戦略的提携を行うことで合意致しました。今回の契約の中で、オンコリスバイオファーマはTT-033をOBP-701としてアジア地域で開発を行うオプションを獲得しています。また、今回の合意には、オンコリスバイオファーマからタチェーレ社への株式投資が含まれています(金額は非公開)。
オンコリスバイオファーマ代表取締役社長 浦田泰生 コメント 「RNA干渉の技術のパイオニアのひとつであるタチェーレ社と協力関係が築けることは、当社の専門領域に即したパイプラインを拡張する上で大変に意義深いものであり、今回の提携を大変嬉しく思っています。C型肝炎については、現在の治療方法では効果が得られない方や治療継続が困難な方がまだ数多くおられます。OBP-701/TT-033が、そうした患者さんに新しい安全な治療法を提供することができるものとなることを信じています」
タチェーレ社CEOサラ・ホール コメント 「RNA干渉がようやく創薬技術として認識され始めた2004年のコンセプトの段階から、現在のIND準備の段階に至るまで、当社のチームはTT-033に相当の投資をして開発を行ってきましたが、今回その技術がオンコリス社に認められることになり、とても嬉しく思っています。米国当局FDAとのPre-INDミーティングも順調に進み、臨床試験に向けて近づきつつあることに興奮しています。C型肝炎は、日本・中国・韓国などでも引続き医療上の大きな課題であり、オンコリス社の支援を受けて同地域においても開発が進展できることを期待しています。」
◆OBP-701/TT-033について
OBP-701/TT-033は、HCVのウイルスの異なる3箇所に対してRNA干渉を発生させるべく、3種類の異なったshRNA (short hairpin RNA)を、肝臓特異的な感染能力をもつAAV8(Adeno-Associated Virus serotype 8 / アデノ随伴ウイルス8型)に搭載したものです。これまでのサルを用いた数多くの毒性試験から、AAV8の静脈内投与における安全性が確認されているほか、肝臓に高率に集積することが明らかになっており、C型肝炎をターゲットとした治療には最適のベクターであると判断されています。
これまでのタチェーレ社によるマウスを用いた非臨床試験の結果によれば、TT-033を投与後、臓器に対する毒性を示すことなくHCVの標識遺伝子産生が3ヶ月近く阻害されており、1回の投薬で長期間の効果が得られる可能性が示唆されています。本剤はすでにPre-IND審査を行っており、順調に進めば2008年後半には米国でPhase-Iに入る予定です。
◆オンコリスバイオファーマ株式会社について
オンコリスバイオファーマは、癌と感染症を克服するための新薬開発を行っている非公開企業。主要プロダクトであるテロメライシン(R)(OBP-301)は、増殖可能な腫瘍溶解ウイルスで、現在各種固形癌をターゲットとして米国で第I相臨床治験を実施中。癌の診断薬として開発中のテロメスキャン(R)(OBP-401)は、現在癌の細胞診断への応用に向けてフィージビリティー試験をシスメックス社と共同で実施中。また、感染症の分野では、HIVの治療薬である新型の核酸系逆転写酵素阻害剤(NRTI)であるOBP-601が前臨床試験の段階に入っており、その安全性と薬剤耐性ウイルスへの有効性が期待されています。
更に詳しい情報については、次のウェブサイトをご参照下さい。http://www.oncolys.com
◆Tacere Therapeutics, Inc(タチェーレ社)について
タチェーレ社は、独自のRNA干渉による創薬の技術を生かして重篤な感染症に対する治療薬の開発を行っているバイオテクノロジー会社。本社は、米国サンノゼ市。主要開発薬であるTT-033は、RNA干渉の技術をC型肝炎の治療に応用するもの。
更に詳しい情報については、次のウェブサイトをご参照下さい。http://www.tacerebio.com