中外製薬とNITE、モンゴルで新規微生物の探索と産業利用で共同事業を開始
モンゴルにおける微生物の共同探索について
■独立行政法人製品評価技術基盤機構[本部:東京渋谷区、理事長:御園生 誠、略称:NITE(ナイト)]及び中外製薬株式会社[本社:東京中央区、社長:永山 治](以下、中外製薬)は、モンゴルの新規微生物の探索と、それらの産業利用を目的とした共同事業を平成19年7月から開始します。
■モンゴルは寒暖の差が激しく、砂漠、高山、針葉樹林帯、草原、塩湖等のバラエティーに富んだ環境や日本にはない特殊な環境があります。
■苛酷な環境に生息する微生物は、環境に適応するため特殊な能力を有していることが多く、例えば医薬品、健康食品、工業原料等の製造、有害物質の分解による環境浄化等への活用が、モンゴルにおいても、また、日本の産業界においても期待されています。
■モンゴルで探索した微生物は日本に移転され、中外製薬にて創薬等の研究開発に利用された後、NITEから産業界等に提供可能となります。
■収集した微生物は生物多様性条約に基づき、研究成果による得た特許登録および商品化に至った場合は、NITEを通じて、収益の一部をモンゴルに還元します。
【共同事業の位置付け】
今回の共同事業は、平成18年6月にNITEとモンゴル科学院が取り交わした「微生物資源の保全と持続的利用に関する包括的覚え書き」及び「モンゴルにおける微生物の分類学及び形態学の共同研究とその応用に関するプロジェクト」の合意書を背景に、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ゲノム情報に基づいた未知微生物遺伝資源ライブラリーの構築」プロジェクトの一環として実施されます。
NITEがモンゴル政府との間で構築した枠組を利用することにより、企業自らがモンゴルにおいてニーズに合った微生物の探索が可能となります。
【共同事業の目的】
> NITEは、我が国の微生物を中心とした中核的な生物遺伝資源機関として戦略的に微生物の収集・保存・提供を行うとともに、我が国の政府機関を代表し、アジアの資源保有国と生物多様性条約に基づいた協力関係を構築しています。
> NITEは平成18年6月、モンゴル科学院と「微生物資源の保全と持続的利用に関する包括的覚え書き」及び「モンゴルにおける微生物の分類学及び形態学の共同研究とその応用に関するプロジェクト」の合意書を取り交わし、モンゴルにおいて新規微生物の探索・収集、日本への移転、産業界等へ提供を行うとともに、モンゴルへの技術移転、研究者の育成等を通じて、モンゴルにおける微生物学の発展に貢献しています。
> 中外製薬はNITEがモンゴルと構築した協力関係を背景に、企業の目的にあった方法で自ら微生物を収集、分離し、創薬のためのリード化合物の発見を目指します。
> 今回の共同事業はNITEが構築した枠組みを利用することで、企業単独では負担が大きかった生物多様性条約に則った生物遺伝資源へのアクセスが容易になります。加えて、日本の政府機関のバックアップにより日本の企業がモンゴルの生物遺伝資源へアクセスし、企業ニーズに合った微生物を利用できるように産官が共同で海外の微生物探索を行う事業となります。
> 中外製薬は、戦略的アライアンスを締結しているF.ホフマン・ラ・ロシュ社[本社:スイスバーゼル/会長兼CEO:フランツ B. フーマー]との契約により、世界有数の化合物ライブラリーを共有しています。前回のベトナムにおける共同事業に引き続き、今回の共同探索を通して自然環境が豊かで、微生物資源に関しては未着手のモンゴルの生物遺伝資源を天然物スクリーニングに利用できることは、リード化合物創出のチャンスを広げることになり、当社の革新的な医薬品の継続的な創出・提供を促進するものであると確信しています。
【共同事業の概要】
> NITE及び中外製薬は、7月から8月にかけてモンゴルへ渡航し、モンゴル西部のウブス県やウランバートル近郊の草原、森林、塩湖を中心として、微生物を分離するための試料の収集を行います。
> モンゴル科学院バイオロジー研究所の施設で、試料から企業の目的にあった微生物を分離します。
> 分離された微生物は、モンゴル政府の合意の下、日本へ移送されます。
> これらの微生物は中外製薬へ提供され、創薬のための有用物質の探索に使用されます。
> 研究成果から特許登録や商品化に至った場合には、モンゴル政府へ収益の一部が還元されます。
以上
【ご参考】
(※ 関連資料を参照してください。)