島津製作所、建築現場向けに最小サイズの固体グリーンレーザーモジュールを販売
世界最高水準のビームクオリティーを実現した固体グリーンレーザモジュールを発売
-ペルチェ素子内蔵で動作温度範囲-10℃~50℃を確保-
島津製作所は、建築現場において水平/垂直ラインの基準線を照射するツールとして使われるレーザ墨出し機用途において、世界最高水準のビームクオリティーを実現した最小サイズの固体グリーンレーザモジュール「BEAMMATE(TM)」(波長532nm)を開発し、2007年7月11日より販売を開始します。本製品は、千葉県千葉市の幕張メッセで7月11日~13日にかけて開催される「インターオプト’07」において当社ブースに出展する予定です。
【開発の背景】
近年、建築現場で用いられる業務用レーザ墨出し器や、土木作業現場におけるレーザ測量機器、および医用機器における患者の位置決めターゲット用光源などの用途において、これらの光源の多くには赤色半導体レーザ(Laser Diode:LD)が用いられてきました。しかし、赤色に対する人間の目の感度(視感度)は緑色より悪く、特に野外などの明るい現場では視認性がさらに悪くなります。この問題を解決するために、小型で安定性が高く視感度のよいグリーンレーザの要望が高まってきています。しかしながら、グリーンの半導体レーザは未だ研究の初期段階で、実用化には至っていないというのが現状です。一方、固体レーザを用いた小型のグリーンレーザは既に実用化されていますが、温度環境に敏感で、特に野外の苛酷な環境では安定した動作が確保できませんでした。
これらの背景を踏まえ、当社はこれまでに写真印刷機用途などのアプリケーションで培ってきた固体レーザ技術およびマイクロチップレーザ素子の技術を応用して、広範囲の温度環境下で高精度を要求される用途において量産可能なグリーンレーザ用マイクロチップレーザ素子を開発し、コンパクトな固体グリーンレーザモジュール「BEAMMATE(TM)」を製品化しました。
【開発品の特長】
光出力は5mWで、同じ出力の赤色LDと比較して視感度は4倍(当社比)あり、ビーム径はO2.5mm、10m地点においても3mm強(ビーム広がり角=0.3mrad=0.017度)、さらに光の振動方向が常に1平面に固定される度合いを示す偏光消光比は50:1以上という、同クラスのレーザとして世界最高水準の性能を実現しました。
モジュール駆動電圧は+3Vですので電池使用が可能です。超小型のペルチェ素子(熱電変換素子)を内蔵し、レーザ素子を一定温度にコントロールすることによって-10~50℃という広い動作温度範囲を確保しました。また、ペルチェ素子の制御用とレーザ励起用の回路を1つのICに集積し、レーザヘッド部と一体化して構成部品を少なくすることで小型化・軽量化(O20×50.5mm、40g)を実現しました。
小型固体グリーンレーザモジュールの主要部品であるマイクロチップレーザ素子は自社開発品であり、高性能かつ高品質な商品を提供致します。なお、当モジュールはRoHS指令の規制対象物質を使用しておりません。
【今後の展開】
レーザ墨出し器等の測量/工具用途向けに出荷されている赤色LDは、世界市場で約200万個/年の需要があるものと予測されています。その中で、グリーンレーザに置き換わる可能性のある高精度のレーザ墨出し器向けには20万個/年で、国内では5万個/年と見込んでいます。当社は、国内向け高精度レーザ墨出し器用などに小型固体グリーンレーザモジュール「BEAMMATE(TM)」を1万個/月の生産を目指し販売を開始します。
【グリーンレーザの主要データ】
発振波長(nm):532
光出力(mW):5
出力安定範囲(℃):-10~+50
ビーム直径(mm):2.5
拡がり角度(mrad):0.3(=0.017度、10m地点でのビーム径:約3.3mm)
偏光消光比:50:1
サンプル価格(税抜き):47,600円
(※ 参考画像は関連資料を参照してください。)