大日本印刷、東大と微小電子機械システム技術応用のマイクロ流路チップを共同開発
大日本印刷 東京大学とバイオMEMSを共同開発
-半導体技術を応用したマイクロ流路チップを試作-
大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義俊 資本金:1,144億円、以下:DNP)は、東京大学の竹内昌治准教授の研究グループと、微小電子機械システム(MEMS: Micro Electro Mechanical Systems)の技術を応用したマイクロ流路チップを共同開発しました。このチップは、半導体で使われるシリコン材料を用いており、基材上に微細な流路とくぼみをパターン形成したものです。今回の成果を基に、DNPはバイオMEMSの試作・量産サービスを本格的に開始します。
バイオMEMSは、医用診断や細菌検査など従来専門業者に依頼していた分析・解析を簡便化するデバイスや、医薬品の開発支援機器として、近年注目されており、マイクロ流路チップはそのひとつです。
竹内准教授の研究グループが設計・開発しているマイクロ流路チップでは、数~数百マイクロメートル幅の流路とくぼみがパターン形成されています。このチップに細胞や微小粒子を含む溶液を流すと、細胞や微粒子がくぼみに個々に取り込まれ、等間隔に配置することができます。また、レーザー照射によって狙った細胞や微粒子を分離することができます。これらはタンパク質の機能解析や創薬などへの利用が期待されています。
今回DNPは、当研究グループの設計を基に、無機材料であるシリコンとガラスを用いた新たなマイクロ流路チップを試作しました。
【共同開発したマイクロ流路チップの特長】
ガラス/シリコン/ガラスの3層構造であり、DNPが得意とするシリコン深掘り技術により中間のシリコン層を貫通エッチングすることにより流路を形成しているため、透過観察が可能です。
バイオMEMS作成でよく使用されるポリジメチルシロキサンなどの有機材料の代わりに、硬度の高いシリコンを基材に使用しているため、サンプル溶液の流速を上げたときに生じる圧力による変形がなく、短時間での分析・解析が可能です。耐熱性もあり、また試薬などの有機溶剤による基材の膨張や腐食がありません。
8インチウェハー(従来のウェハーは4インチまたは6インチサイズ)で試作しているため、1枚のウェハーからとれるチップ数が多く、量産の際には低コスト化が可能です。
【DNPのMEMS事業について】
DNPは、半導体用高精度フォトマスク製造で培った超微細加工技術や精密エッチング(金属腐食)技術を活用して、MEMSの設計から試作・量産までの一貫したサービスを展開しています。現在、国内で唯一8インチ対応のMEMS製造装置を専用で保有しており、MEMSファウンドリとしてさまざまなMEMSを提供しています。また、DNPは自社製品を持たないため、ファウンドリとしての中立性を保っていることも大きな強みとなっています。
【今後の展開】
今後DNPは、竹内准教授の研究グループと、さまざまな条件下での実験を行い、チップの性能・適用範囲を確認するとともに、今回の実績をふまえ、大学・研究機関、医療機器メーカー、製薬会社、電機メーカー向けに、バイオMEMSの試作・量産サービスを積極的に展開していきます。
尚、7月25日(水)~27日(金)に東京ビッグサイトにて開催される「第18回マイクロマシン/MEMS展」のDNPブースに、当チップを展示する予定です。
(※参考画像あり)